HevyとStrongはどちらも海外製の筋トレ記録アプリで、機能を一覧で並べるとよく似ています。実際に差が出るのは、日本語で使ったときの手触り・無料版で止まる場所・データを持ち出せる方向の3点です。

この記事では6つの軸で並べ、「どちらを選ぶべきか」を条件別の結論まで書きます。

先に立場を明かします。筆者は競合にあたる筋トレ記録アプリ LiftLog の開発者です。 そのため記事の前半はHevyとStrongの比較だけに使い、自社アプリの話は後半の1セクションにまとめました。事実は両アプリの公式ヘルプとApp Storeの掲載(いずれも2026年8月1日確認)に限り、確認が取れなかった項目は「不明」と書きます。

比較する6つの軸

アプリ比較は軸を決めずに始めると、片方に都合のいい項目だけが並びます。先に軸を宣言します。

  1. 日本語対応 — アプリの表示・種目名・公式ヘルプ
  2. 無料版の制限 — 無料のままどこで止まるか
  3. 料金 — 有料に上げる場合の金額と、買い切りの有無
  4. Apple Watch — 手元だけで記録できるか
  5. SNS・コミュニティ — 続ける動機を外から補えるか
  6. データ移行 — 書き出しと取り込みの方向

選択に効きやすいのは1と2で、3〜6は使い方によって順位が変わります。

なお記録の基本操作には差がありません。どちらも「種目を足す → 重量と回数を入れる → チェックで完了 → レストタイマーが自動で走る」という同じ流れで、ここで優劣はつきませんでした。だから軸に入れていません。

6軸での違い(一覧)

HevyとStrongの違い(2026年8月1日時点)
比較軸HevyStrong
日本語対応アプリ・公式ヘルプとも日本語あり。種目名は英語圏の呼称ベースアプリはApp Storeの言語欄に日本語を含む11言語。公式ヘルプと問い合わせは英語のみ
無料版の制限ルーティン4つ/カスタム種目7つ/統計の履歴3か月/測定は体重と腹囲のみテンプレート3つ/種目ごとのチャートはPRO限定/部位サイズ・各種計算機もPRO限定
料金(App Store 日本)月¥300・¥550/年¥2,600/買い切り¥11,800月¥550・¥580/6か月¥2,200/年¥2,700〜¥3,500/買い切り¥13,000・¥15,000
Apple Watch対応(ライブシンク)。必要watchOSは不明対応。watchOS 10.0以降が必要で、iPhoneとの併用が前提
SNS・コミュニティフォロー・フィード・リーダーボードあり該当する機能は確認できず
データ移行CSVで書き出し可。取り込みはStrongのCSVのみ対応CSVで書き出し可。Strongへの取り込みは公式が「できない」と明記

出典は両アプリの公式ヘルプおよびApp Store日本ストアの掲載(2026-08-01 閲覧)。「不明」は公式の記載を見つけられなかった項目です。仕様と価格は変更されることがあります

各アプリ単体の使い方・画面名・評判は、それぞれの記事にまとめてあります。この記事では違いの部分だけを扱います。

軸1:日本語で困らないのはHevy

決め手は「詰まったときに日本語で読めるか」です。

Hevy はアプリの表示が日本語に対応しており、App Storeの対応言語にも日本語が含まれます。さらに公式ヘルプセンターに日本語版があり、レストタイマーの設定もライブアクティビティの有効化も日本語の手順で読めます。一方、公式サイトのブログやトレーニングガイドは英語のみです。

Strong もApp Storeの言語欄に日本語を含む11言語が記載され、ストアの説明文は日本語化されています。ただし公式ヘルプ(help.strongapp.io)と問い合わせ窓口は英語のみです。最新版のアプリ内表示がどこまで日本語かは、日本のレビューに「日本語化されて欲しい」という声と「日本語でも使える」という声がバージョン違いで混在しており、確認できませんでした

ただしHevyにも日本語の弱点があります。種目名が英語圏の呼称をもとにしているため、日本で使われている名前で検索しても出てこないことがあります。App Storeのレビューでも「トレーニング名が日本で周知されているものと違う名称で登録されている」という指摘があり、同じレビューが「筋肉や器具から探せば見つかる」とも書いています。これは品質の問題というより、英語圏で作られたライブラリを翻訳した構造から来る違いです。

この軸の結論: サポートやヘルプを日本語で受けたいならHevy。英語のヘルプが苦にならないなら、この軸は差になりません。

軸2:無料版は「止まる場所」が違う

どちらもワークアウトの保存件数は無制限で、記録するだけなら無料のまま何年でも続けられます。違うのは、どこで壁に当たるかです。

無料版どうしの比較(有料に上げない場合)
できることHevy 無料版Strong 無料版
ワークアウトの保存無制限無制限
テンプレート(ルーティン)4つまで3つまで
カスタム種目7つまで公式ヘルプに上限の記載なし
種目ごとのグラフ見られる(履歴は3か月分まで)チャートはPRO限定で見られない
身体の測定体重と腹囲のみ体重・体脂肪率・カロリー(部位サイズはPRO限定)
ウォームアップ計算機利用不可(Pro限定)利用不可(PRO限定)
プレート計算機不明(公式の無料/Pro比較表に記載なし)利用不可(PRO限定)
CSVでの書き出し可能可能

Hevy側は公式ヘルプの無料版/Pro版比較表と関連記事、Strong側は公式ヘルプ「What is Strong PRO?」および各機能のヘルプ記事(いずれも2026-08-01 閲覧)に基づく。Strongの「上限の記載なし」「Hevyのプレート計算機」は公式の記述を見つけられなかったという意味で、上限や機能の不在を保証するものではありません

読み取れることは3つです。

  1. テンプレートの数はHevyが1つ多い(4対3)。押す・引く・脚の3分割ならどちらも足りますが、4分割に増やした瞬間にStrongは有料の判断が発生します
  2. 無料でグラフを見たいならHevy。Strongは種目ごとのチャート自体がPRO限定なので、無料のままだと数字は残っても推移が追えません
  3. カスタム種目を多く登録するならStrong。Hevyの無料枠は7つで、通うジムのマシンが独自ブランド中心だとすぐ埋まります

なおスーパーセット・セットタグ・RPEの記録は、どちらも無料の範囲です。RPEを残し始めると次は「この重さで何回できたなら次は何キロか」が問題になるので、換算は手元で済ませてしまうのが早いです。

RPE換算計算機RPEと回数から1RMを推定し、次のセットの目標重量まで計算できます(登録不要)

Strongの無料版でチャートが見られないぶんは、記録した重量と回数から推定値を出せば部分的に補えます。

1RM計算機(%1RM換算表つき)Epley式とBrzycki式で最大挙上重量を推定し、各パーセンテージの重量を早見できます

軸3:料金は幅で見る。買い切りはどちらにもある

日本のApp Storeの「アプリ内課金」欄をそのまま並べます。

App Store 日本ストアに掲載されているアプリ内課金(2026-08-01 時点)
期間Hevy ProStrong PRO
月額¥300 / ¥550¥550 / ¥580
6か月(掲載なし)¥2,200
年額¥2,600¥2,700 / ¥3,300 / ¥3,500
買い切り¥11,800(Lifetime)¥13,000 / ¥15,000(Forever)
その他¥450(「Strong PRO」名義)

両アプリとも同じ名前のプランが複数の金額で並んでおり、どれが現在の新規購入価格かはストアの表示だけでは判別できません。適用される金額は必ずアプリ内の購入画面で確認してください。英語の公式案内ではHevyが月$2.99、Strongが月$4.99・年$29.99(いずれも米国価格)と記載されています

掲載されている金額の幅で見ると、Hevyのほうが低い側に寄っています。年額は¥2,600と¥2,700〜¥3,500で、買い切りも¥11,800と¥13,000〜¥15,000です。ただし複数価格が並ぶ理由はどちらの公式にも説明がなく、「Hevyのほうが安い」と断定はできません。

見落とされがちな共通点として、買い切りが両方にあります。長く使うつもりなら、年額を何年払うかと買い切りを比べる計算が両アプリで成立します。

軸4:Apple Watchで完結させたいならHevy

Hevy のApple Watchはライブシンクに対応し、手元で重量やセット数を確認できます。App Storeの日本のレビューでは「前回の同じ種目の重量やセット数との比較も表示されるため、成長がわかりやすい」と評価されており、iPhoneをロッカーに置いたまま進められる点が支持されています。必要なwatchOSのバージョンは公式の記載を見つけられませんでした(不明)。

Strong にもApple Watchアプリがあり、記録・重量とレップの編集・心拍数とカロリーの記録ができます。ただし公式ヘルプがiPhoneアプリとの併用を前提と明記しており、プレート計算機とウォームアップ計算機はWatchでは使えません。watchOS 10.0以降が必要な点も、古いApple Watchを使っているなら先に確認が要ります。日本のレビューには「Apple Watchと連携させたいのですが設定できません」という声もありました(投稿時点のバージョンでの声で、最新版で再現するかは未確認です)。

この軸の結論: Watch中心の運用ならHevy。Strongを選ぶなら、watchOSのバージョンと連携の設定を無料の範囲で確かめてから課金するのが安全です。

軸5:SNSはHevyにしかない

Hevy には友達をフォローする機能、写真つきの投稿が流れるフィード、リーダーボードがあります。App Storeのレビューには「励まし合うことができて続きやすい」という声があり、続ける動機として機能しています。見せたくない場合は非公開プロフィールにでき、ワークアウト単位で公開範囲も変えられます。

Strong については、公式ヘルプにもストアの掲載にも、フォローやフィードに相当する機能の記載を見つけられませんでした。記録装置に振り切った設計です。

この軸の結論: 人と繋がることが継続の燃料になるならHevy。ひとりで黙々と進めたい人にとっては、この軸は差になりません(むしろStrongのほうが静かです)。

軸6:移行は「Strong → Hevy」の一方向だけ

実用上いちばん見落とされる差がここです。

  • Hevy: プロフィール>設定>データのエクスポートとインポートから、計測データまたはワークアウトデータをCSVで書き出せます。取り込みは公式にはStrongアプリのCSVのみ対応で、ファイルは英語で書き出す必要があります
  • Strong: iOSは設定の「Export Strong Data」、Androidは「Export Data」でCSVを書き出せます。公式ヘルプは**「書き出したファイルをStrongに再インポートすることはできない」と明記**しています

つまり、StrongからHevyへは公式の移行手段があり、HevyからStrongへは公式の手段がありません。どちらも使ったことがなく、後から乗り換える可能性を残したいなら、この向きは判断材料になります。

どちらを選ぶべきか(条件別の結論)

両論併記で終わらせないために、条件ごとに答えを書きます。

  • 英語に抵抗がなく、メニューは自分で組めるStrong。2011年公開で日本のApp Storeでも4.78・1,658件の評価があり、スーパーセット・セットタグ・RPEといった記録の粒度が無料で揃います
  • 日本語で困りたくない(ヘルプも日本語で読みたい)Hevy。日本語ヘルプの有無がそのまま差になります
  • 無料のまま使い続けたいHevy。テンプレート4つとグラフ(3か月分)が無料で、無料での「見える範囲」が広いです。ただし分割が3つ以内でグラフを見ないなら、Strongの無料でも不足しません
  • Apple Watch中心で記録したいHevy。StrongはwatchOS 10以降が必要で、iPhoneとの併用が前提です
  • ジム固有のマシンを8つ以上登録したいStrong(またはHevy Pro)。Hevyの無料枠は7つで、ここは早く埋まります
  • 人と繋がって続けたいHevy。Strongに該当機能は見当たりません
  • 買い切りで済ませたい → どちらでも可能。掲載金額はHevy ¥11,800、Strong ¥13,000〜¥15,000です
  • 将来ほかのアプリへ移るかもしれない → 現状はStrong → Hevy の向きだけが公式対応です

ひとことでまとめると、迷いの大半は「日本語のヘルプが要るか」と「無料のまま何を見たいか」の2問で決まります。どちらも完成度の高いアプリで、外れを引く比較ではありません。

3本目の選択肢としてのLiftLog

ここから開発者としての立場で書きます。前半で自社を出さなかったのは、比較の途中で自分のアプリを挟むと軸そのものが疑わしくなるからです。HevyかStrongで足りているなら、そのままでいいと思います。

そのうえで、上の6軸で「どちらも引っかかる」場合の3本目としてLiftLogがあります。日本語で開発している国産アプリで、主要機能はすべて無料・広告なし、iPhone / Android / Apple Watch / ブラウザで使えます。

3本を同じ軸で並べる(2026年8月時点)
比較軸HevyStrongLiftLog
日本語アプリ・ヘルプとも日本語。種目名は英語圏基準ヘルプ・サポートは英語のみ日本語で開発・サポートも日本語
テンプレートの数無料は4つまで無料は3つまで上限なし
グラフ無料は3か月分までPRO限定無料
対応環境iPhone / Android / Apple WatchiPhone / Android / Apple WatchiPhone / Android / Apple Watch / ブラウザ
メニューの提案Hevy Trainer(Pro専用・公式は「AIではない」と明記)なし(自分で組む前提)記録を読んだAIが提案(1日10往復まで)
収録種目と解説400種類以上。デモアニメと手順つき種目詳細に動画・画像つきの手順あり解説動画なし(種目名と部位・器具のみ)
SNS・コミュニティフォロー・フィード・リーダーボード確認できずなし
他アプリからの取り込みStrongのCSVのみ不可非対応(書き出しのみ)
運用実績2019年公開・日本で4.8/1,544件2011年公開・日本で4.78/1,658件2026年公開・評価件数はごくわずか

HevyとStrongは各社の公式ヘルプおよびApp Store日本ストアの掲載(2026-08-01 閲覧)、LiftLogは開発者による記述です

表の下4行が、LiftLogが正直に負けている部分です。種目の収録数と解説はHevyに、動画つきの手順はStrongに及びません。 コミュニティ機能もなく、HevyやStrongからCSVを取り込む手段も用意していないため、乗り換えると記録は手動でやり直しになります。運用実績も、15年動くアプリや評価1,500件超のアプリとは比べるまでもありません。

逆にLiftLog側の理由は、テンプレート数に上限がないこと、グラフが無料なこと、パソコンのブラウザから使えること、そして記録を読んだAIが次のメニューを提案することです。操作の詳細はLiftLogの使い方にまとめています。

まとめ

  • 比較の軸は6つ。日本語対応 / 無料版の制限 / 料金 / Apple Watch / SNS / データ移行。記録の基本操作は両者ほぼ同じで差がつかない
  • 日本語で困りたくないならHevy。アプリだけでなく公式ヘルプにも日本語版がある。ただし種目名は英語圏の呼称ベース
  • 無料版はHevyのほうが見える範囲が広い(テンプレート4つ・グラフ3か月分)。Strongは種目ごとのチャートがPRO限定。逆にカスタム種目の上限はHevyだけにある(7つ)
  • 料金は掲載額の幅でHevyが低い側。買い切りは両方にある(¥11,800 / ¥13,000〜)
  • 移行はStrong → Hevyの一方向のみが公式対応。逆向きの手段はない

まずは無料のまま2〜3週間ずつ使い、テンプレートの数とグラフで先に不満が出るほうを外す、という決め方が確実です。どちらも記録の保存件数は無制限なので、試すこと自体にコストはかかりません。

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