筋トレMemoは、部位と種目を選んで重量・回数を打ち込むだけの、日本語で作られた筋トレ記録アプリです。使い方は「本日のトレーニングを追加」を押して部位と種目を選び、セットごとに数字を入れるだけ。前回の記録をそのままコピーする機能があるので、2回目以降は数十秒で終わります。一方で、検索で多い「機種変更で記録が消えた」については、アプリ単体でデータだけを移す方法が公開されていないという事情があります。この記事では使い方と、機種変更のときに何をすべきかを整理します。

最初に立場を開示します。**筆者は競合にあたる筋トレ記録アプリ「LiftLog」を個人で開発しています。**そのうえで、この記事に書く筋トレMemoの事実は、App Store・Google Playの掲載内容、公式サイト、公開されているユーザーレビューで裏が取れたものだけに限定しました。画面の細かい挙動を想像で書いたり、他社アプリのスクリーンショットを載せたりはしていません。確認できなかったことは「確認できなかった」と書きます。

筋トレMemoはどんなアプリか

開発・運営は株式会社筋トレMEMOです。App Storeでの初回公開は2018年5月で、8年以上続いているアプリになります。

  • 料金: 無料。アプリ内課金として「筋トレMemo-日本 ¥500」があり、買い切りで広告が消えます
  • 対応: iPhone / iPod touch / Mac(M1以上)/ Apple Vision。iOSは15.6以降。Android版もあります
  • 評価: App Storeで4.65(48,843件)、Google Playで4.7(3,440件)
  • 実績: 公式サイトは累計ダウンロード110万件以上、月間利用者数30万人以上と掲載しています

数字だけ見ても、この分野の日本語アプリとしては相当に厚い実績です。記録アプリは「使う人が多い=バグが出尽くしている」ことに価値がある道具なので、ここは無視できない強みだと思っています。

公式の機能一覧には次のように書かれています(App Store掲載より)。

  • 重さ・レップス・補助有無を記録。単位はキログラムとポンドの両方
  • グラフ表示での分析、有酸素運動の記録
  • 種目メニューごとの履歴確認、RM自動計算
  • 種目は部位ごとに追加・削除でき、部位そのものも追加できる
  • 部位ごとに最後のトレーニングからの経過時間を表示
  • セット間隔タイマー、前回からの履歴コピー、SNS共有

基本の使い方は「本日のトレーニングを追加」から

ここからの操作手順は、公式の機能説明と、複数の第三者記事で記述が一致した部分だけを書いています。バージョンによって画面は変わるので、細部が違う場合はアプリ内の表示に従ってください。

記録の流れ

  1. アプリを開き、ホームの**「本日のトレーニングを追加」**をタップします
  2. トレーニングした部位を選び、続いて種目を選びます
  3. セットごとに重量と回数を入力します。セットを増やすときは「+」で追加します

一覧に目的の種目がない場合は、種目選択画面の右上にある**「部位・種目を追加」**から自分で登録できます。ここは筋トレMemoの気持ちのいいところで、種目だけでなく部位そのものを増やせます。公式の説明文でも「『胸筋(上部)』でも『大円筋』でも自由に追加OK!」と書かれているとおり、自分の分割法に合わせて棚から作り替えられます。

体重や体脂肪率は、下部の**「体組成」**タブから記録します。

前回の記録をコピーする

続けて使ううえで効いてくるのがこの機能です。種目を開くと前回の記録が画面上部に表示され、ファイルマークのアイコンをタップすると前回の内容がそのままコピーされます。前回と同じメニューなら、数字を打ち直さずに済みます。

App Storeのレビューでも「同じメニューを継続して行うので、コピーできる機能があるのはとても使いやすくて嬉しいです」「前回履歴も見やすく、前回の重量・回数も見れるのでいざトレーニングする時に確認が出来る」といった声が並んでいて、この部分がアプリの評価を支えていることがわかります。

タイマーと最高記録、RM計算

セット間の休憩には、画面右上のタイマーを使います。時間になると音・振動とメッセージで知らせてくれます。

王冠マークからは、その種目の過去の最高記録(重量・回数・RM)を確認できます。RMは「その重量で何回挙げられるか」から最大挙上重量を推定した値で、筋トレMemoは自動で計算してくれます。

ひとつ補足しておくと、1RMの推定値はどの計算式を使うかで数キロ変わります。レビューにも換算式についての指摘が投稿されていました(内容の正誤はこちらでは検証できていません)。式による違いを自分の目で確かめたい場合は、下の計算機で同じ重量・回数を入れてみてください。

1RM計算機Epley式とBrzycki式の両方で最大挙上重量を推定できます。%1RM換算表と式の出典つき

筋トレMemoの良い点

実際に触ってみて、そしてレビューを通して読んで、この4つが強いと感じました。

1. 記録が速い。 部位 → 種目 → 数字、という導線に迷いがありません。前回コピーがあるので、同じメニューを回している期間はほとんど手が止まりません。

2. 分類を自分で作れる。 種目の追加ができるアプリは多いですが、部位まで自由に増やせるアプリはそれほど多くありません。「胸(上部)」と「胸(中部)」を分けて管理したい人には、これだけで乗り換える理由になります。

3. 補助あり/なしを記録できる。 潰れる直前で補助してもらったセットを、そのまま同じ扱いで記録に残すと、あとで数字を読み違えます。これを区別して残せるのは、追い込む人ほどありがたい設計です。

4. 日本語で、日本のユーザー向けに作られている。 海外製の高機能アプリは、種目名が英語だったり日本のジムにないマシン名だったりします。筋トレMemoにはその摩擦がありません。

そして地味ですが重要な点として、開発元は不具合を公式サイトで公表しています。2026年2月6日には「バージョン3.11.4で種目が重複して登録される障害が発生していた」と告知し、修正版の3.11.5を配信したうえで、対処が難しい人向けに連絡先を案内しています。問題が起きたことを隠さないのは、長く使う道具として信頼できる部分です。

惜しい点は、ユーザーの声で見たほうが早い

ここからは弱点の話になりますが、先に書いておくと筋トレMemoは悪いアプリではありません。8年動き続けて48,000件超の評価で4.65という数字が、それを示しています。以下は「筋トレMemoに向いていない使い方」を見分けるための材料として読んでください。筆者の主観ではなく、App Store・Google Playに投稿された実際のレビューから引用します(2026年8月1日時点・バージョン3.11.14)。

広告の出るタイミング。 無料版では画面下部の広告に加えて、動画広告が挟まることがあります。「アプリ起動時だけでなくメニューを打ち込む時にも出るのはだるすぎる」「3〜4種目入力するとCMが流れて入力待たなきゃならない」といった投稿があります。関連して「このアプリを開くと音楽やラジオが止まる」という声も複数見られました。ジムで音楽を聴きながら記録する人には効いてくる部分です。500円の買い切りで広告は消せるので、続ける気があるなら早めに払ってしまうのが実際的だと思います。

まれに落ちることがある。 「履歴から戻るボタンを押すとアプリが強制終了する」「たまにクラッシュして使えなくなる。バックアップを取っておくようオススメする」といった投稿があります。

記録を一括で書き出せない。 ストア掲載の機能一覧に一括書き出しの記載はなく、レビューでも「今はAIが優秀なので、今行っているメニュー内容をAIに喰わせて分析させたいが、現状一括データ出力機能はない」という要望が出ています。Androidについては「データはGoogleドライブにアップロードできる」という利用者の投稿がありましたが、公式の説明ではないため、お使いの環境で設定画面を確認してください。

問い合わせの返答について。 「問い合わせをしても返ってこない」という趣旨のレビューが複数あります。一方で公式サイトには問い合わせフォームとメールアドレスが用意され、障害時にはSNSのDMでも受け付けると案内されています。窓口はあるので、急ぎでなければフォームから、OSとアプリのバージョンを添えて送るのが確実です。

そして、この記事を読んでいる人の多くが引っかかっているであろう論点が次です。

機種変更でつまずくのは、設計の裏返しでもある

筋トレMemoは、ダウンロードしてすぐ「本日のトレーニングを追加」から記録を始められます。アカウントを作る手順は、公式にも使い方を紹介している記事にも出てきません。メールアドレスもパスワードも預けずに始められるのは、素直に良いところです。

その代わり、記録がどこに保存されているかは公開されていません。機種変更でリセットされたという投稿が複数あることから、記録は主に端末側にあると考えられます(公式仕様の公開がないため、ここは推測です)。アカウントに紐づいていないぶん、新しい端末で「ログインしたら戻ってくる」という動きにはなりません。

実際のレビューを引用します。

機種変の際に間違えて通常のデータ移行ではなく、iCloudからを選択したら、データ移行ができませんでした。FAQを確認しましたが、ここでミスすると回復手段は一切ないようです。OSをまたいだデータ移行もできないとのこと。

データだけの転送ができないのが辛いです。お金払うから、このアプリのデータ移行をさせて欲しいです。

「登録なしですぐ使える」と「端末を替えると引き継ぎが端末移行に依存する」は、同じ設計から出てくる表と裏です。これは欠点というより方針の違いなので、その前提で手順を組みます。

機種変更のときにやること

1. 移行の前に、控えを取っておく

一括書き出しがない前提で動きます。新しい端末を触り始める前に、古い端末で次を残してください。

  • 主要種目の直近の重量×回数を、スクリーンショットかメモアプリに控える
  • 王冠マークで確認できる最高記録を種目ごとに控える
  • 自分で作った部位・種目の名前の一覧を控える(ここが消えると作り直しがいちばん面倒です)
  • 筋トレMemoにはSNS共有・画像保存の機能があるので、これを控えとして使う手もあります

全期間の記録を手で写すのは現実的ではありません。優先度は「最高記録 → 直近の重量 → カスタム種目名」の順です。この3つがあれば、最悪の場合でも次のトレーニングの重量は決められます。

2. iPhoneからiPhoneへ移す

Appleが用意している端末移行の手順に、アプリのデータを含める形になります。

  1. 古いiPhoneでバックアップを取ります(Appleのバックアップ手順
  2. 新しいiPhoneの電源を入れ、初期設定の流れの中で「クイックスタート」または「iCloudバックアップから復元」を選びます(Appleのクイックスタート手順
  3. 転送が終わるまで2台を近づけたまま、電源につないで待ちます

ポイントはタイミングです。Appleの手順はいずれも新しいiPhoneの初期設定の中で行うもので、設定を終えてホーム画面が使える状態になってから「やっぱりアプリのデータだけ移したい」と思っても、アプリ単体でそれを行う方法は公開されていません。機種変更の予定が決まった時点で、この順番だけ頭に入れておいてください。

なお、有料版を購入している場合、課金そのものは同じApple Accountであれば復元できます。ただし課金の復元と記録の復元は別の話です。広告は消えても記録が戻るわけではありません。

3. Android同士の場合/OSをまたぐ場合

Androidについては、Google Playのレビューに「データはGoogleドライブにアップロードできる」という利用者の投稿があります。公式の機能説明ではないため断定はできませんが、移行の前にアプリの設定画面を一度開いて、バックアップ関連の項目があるか確認する価値はあります

iPhoneからAndroid、AndroidからiPhoneのようにOSをまたぐ移行については、できないという投稿が複数あります。この場合は手入力で作り直すか、これを機に別のアプリへ移るかの二択になります。

4. うまくいかなかったら

記録が消えてしまった場合は、公式サイトのお問い合わせフォームから連絡してください。フォームには「ご利用のOS(iOS/Android・バージョン)やアプリのバージョンもあわせてご記載いただけますと、対応がスムーズです」と案内があります。復旧できる保証はありませんが、状況を伝える窓口は用意されています。

筋トレMemoとLiftLogを並べてみる

ここからは自社アプリの話が入るので、比較の材料は両方のストア掲載で確認できる項目だけに絞ります。

筋トレMemo と LiftLog(2026年8月1日時点のストア掲載内容)
項目筋トレMemoLiftLog
料金無料 + 買い切り500円(広告非表示)無料(アプリ内課金なし)
広告あり(有料版で非表示)なし
対応OSiOS 15.6以降 / Android / Mac(M1以上)iOS 17.0以降 / Android / ブラウザ
Apple Watch掲載ページに記載なし対応
AIによるメニュー提案掲載機能に記載なしあり(1日10往復まで)
記録の一括書き出し掲載機能に記載なしCSVエクスポート
機種変更時端末まるごとの移行に依存同じアカウントでログイン
ストア評価4.65(48,843件)5.0(1件)

いずれも 2026-08-01 時点の App Store / Google Play 掲載内容にもとづく。「記載なし」は掲載情報の範囲で確認できなかったという意味で、機能の不存在を断定するものではない。

表のいちばん下の行が、LiftLogの正直な弱点です。筋トレMemoは2018年公開で48,843件の評価がある一方、LiftLogは2026年5月公開で評価はまだ1件しかありません。長く多くの人に使われて安定してきたアプリと、出たばかりのアプリでは、こなしてきた不具合の数がまるで違います。「枯れている道具を選びたい」という基準なら、筋トレMemoのほうが理にかなっています。

もうひとつ、LiftLogのAIトレーナーには1日10往復という上限があります。使い放題ではありません。

LiftLogの中身はLiftLogの使い方(初回設定からAI提案まで)にまとめてあるので、機能の詳細はそちらを見てください。

筋トレMemoが向いている人/別のアプリも見たほうがいい人

筋トレMemoで十分な人

  • 部位・種目を自分の分割法に合わせて細かく作り込みたい人
  • 記録を自分で読んで、次の重量を自分で決められる人
  • 有酸素も体組成も同じアプリにまとめたい人
  • アカウントを作らず、個人情報を預けずに始めたい人
  • 広告を500円で消して、あとは変えずに長く使いたい人

別のアプリも比べたほうがいい人

  • Apple Watchだけでセットを記録したい人
  • 記録をCSVで書き出して、表計算ソフトやAIに読ませたい人
  • 端末を頻繁に買い替える、あるいはiPhoneとAndroidを行き来する可能性がある人
  • 何をどれだけやるかを、記録にもとづいて提案してほしい人

上の4つに当てはまらないなら、乗り換える理由はとくにありません。今のアプリを使い続けるのがいちばんコストが低い選択です。

乗り換えるなら、この順番で

もし別のアプリに移ると決めた場合は、順番を守れば失敗しません。古いアプリを消すのは最後です。

  1. 筋トレMemoの記録から、主要種目の最高記録と直近の重量×回数、カスタム種目名を控える
  2. 新しいアプリを入れ、控えた種目名で自分の種目を作る
  3. 直近1〜2回ぶんだけ先に入力して、数字の扱い(片手か両手か、補助ありのセットをどう残すか)を決める
  4. 2週間は両方に記録する。新しいアプリの操作が体に入るまでの保険です
  5. 問題なければ筋トレMemoは残したまま、記録先だけ切り替える

過去の記録を全部移す必要はありません。半年前の数字より、来週のセットで何キロを持つかのほうが大事だからです。移行のときは重量の決め直しでつまずきやすいので、目安が欲しい場合はRPE(きつさ)から逆算するのが早いです。

RPE換算計算機RPEと回数から1RMを推定し、次のセットの目標重量まで計算できます(登録不要)

まとめ

  • 筋トレMemoの使い方は「本日のトレーニングを追加」→ 部位 → 種目 → 重量と回数。前回コピーで2回目以降は速い
  • 部位そのものを追加でき、補助の有無まで残せる。分割法を自分で組む人に強い
  • 無料版には広告があり、買い切り500円で消せる
  • 機種変更はアプリ単体でデータだけを移す方法が公開されていない。iPhone同士なら、新端末の初期設定の中でクイックスタートかiCloud復元を行う
  • 移行の前に、最高記録・直近の重量・カスタム種目名だけは手元に控えておく

記録アプリでいちばん惜しいのは、続けた記録が引き継げずに消えることです。どのアプリを使うにしても、「この記録は端末が変わっても残るか」は一度確認しておく価値があります。