Strongは無料のままでもワークアウトの記録を無制限に保存できる筋トレ記録アプリです。無料版でひとつだけ効いてくる制限が「カスタムルーティン(テンプレート)は3つまで」で、4分割以上のメニューを組んでいる人はここで有料のStrong PROを検討することになります。この記事では使い方と、無料版で止まる境界線、日本での料金を公式の掲載情報から整理します。

先に立場を書いておきます。筆者はLiftLogという筋トレ記録アプリを個人で開発・運営しています。競合にあたる記事なので、判断材料は公式の掲載内容とApp Storeの公開レビューに限り、Strongが勝つ点もLiftLogが負ける点も同じ基準で書きます。

Strongはどんなアプリか

Strongはシンガポールの Strong Fitness PTE Limited が開発する、ウェイトトレーニングの記録に特化したアプリです。キャッチコピーは "Think less. Lift more."(考える量を減らして、もっと挙げよう)。

Strong公式サイトのトップページ。バーベルを持ち上げる人物の写真を暗く敷いた背景の中央に「Think less. Lift more.」と大きく置かれ、その下に説明文とApp Store・Google Playのダウンロードボタンが並んでいる
出典: Strong 公式サイト(https://www.strong.app/)2026-08-01 取得。画像の著作権は Strong に帰属します

App Storeでの初回公開は2011年9月で、2026年8月時点でおよそ15年。日本のApp Storeでの評価は4.78・1,658件、最新バージョンは6.4.3(2026年7月23日公開)です。対応環境はiOS 15.0以降、Apple WatchはwatchOS 10.0以降が必要で、Androidにも対応しています。ブラウザで使うWeb版はありません。

性格を一言でいえば、記録装置に振り切っていることです。メニューを提案する機能もフォームを採点する機能もなく、何をやるかは自分で決める前提。決まったものを速く正確に残すところだけを担当します。この割り切りが15年支持されてきた理由であり、向き不向きの分かれ目でもあります。

Strongの使い方

記録の始め方とテンプレート化

記録の入口は「Empty Workout(空のワークアウト)」と「Template(テンプレート)」の2つで、初日は空のワークアウトで構いません。

開始すると「Log Workout」画面になるので、Add Exercises から種目を選びます(ジム固有のマシンはカスタム種目として追加できます)。次に Add Set でセットの行を足して重量とレップ数を入力し、チェックボックスで完了。種目の順番はドラッグ&ドロップで入れ替えられます。終わったら右上の Finish です。

ここからが分かれ目で、完了したワークアウトは履歴(History)から + Save as Template でテンプレートにできます。次回はそれを選べば、種目とセット数がそろった状態から始められます。

なお、以前「ルーティン(Routine)」と呼ばれていた機能が現在の「テンプレート」です。日本語の解説では今も「ルーティン」表記が多いので同じものだと思って読んでください。無料版の「3つまで」はこの数です。

レストタイマーとセットの残し方

セットにチェックを入れると、レストタイマーが自動で走り出します。初期値は全種目2:00で、種目ごとの「...」メニューから変更でき、ウォームアップと通常のセットで別々にも設定できます。2分は多くの種目に長めなので、補助種目が多い人は最初に短くしておくと待ち時間が減ります。

記録の粒度が細かいのもStrongの持ち味で、次の3つはいずれも無料です。

  • スーパーセット — 複数種目をグループにして A1→B1→A2→B2… の順で交互に行う
  • セットタグ — 各セットをウォームアップ・ドロップセット・フェイラーとして区別できる。ウォームアップは集計と記録判定から外れるので、アップの重量が自己ベストとして残る事故を防げる
  • RPE — そのセットのきつさを記録できる

RPEを残し始めると、次は「RPE8で5回挙がったなら次は何キロか」が問題になります。

RPE換算計算機RPEと回数から1RMを推定し、次のセットの目標重量まで計算できます(登録不要)

過去の記録の見方

種目名をタップすると詳細画面が開きます。タブは About(動画や画像つきの手順)・History・Charts・Records の4つ。Records画面には全期間のベスト、レップ数ごとのベスト、推定最大挙上重量が出ます。公式ヘルプによると対象は12レップ以下のセットのみで、それ以上は推定値を過大に見積もるため除外されています。

ベンチプレスの1RM計算機挙げた重量と回数を入れるだけで、最大挙上重量を推定できます。計算式の出典つき(登録不要)

4つのタブのうち Charts だけはStrong PRO限定です。ここから先が有料の話になります。

無料版でできること・できないこと

App Storeの説明文には、無料版の範囲がはっきり書かれています。

無料版の Strong でもワークアウトの保存数に制限はありませんが、カスタムルーティンは 3 つまでにしか作成できません。

(出典: App Store 日本ストアの説明文・2026年8月1日確認)

ただし有料になるのはテンプレートの数だけではありません。公式ヘルプの「What is Strong PRO?」に挙がるPRO機能を整理します。

Strong 無料版とStrong PROの違い
機能無料版Strong PRO
ワークアウトの保存件数無制限無制限
テンプレート(旧ルーティン)3つまで無制限
種目ごとのチャート×
部位サイズの測定(首・胸・上腕など15項目)×
体重・体脂肪率・カロリーの記録
プレート計算機×
ウォームアップ計算機×(手動でタグ付けは可)
アイコン(iPhone)とテーマの変更×
タイマー / スーパーセット / RPE / セットタグ / CSV書き出し / Watch

出典: What is Strong PRO? - Strong Help Center2026-08-01 確認)

最終行は公式のPRO機能一覧に無く、各機能のヘルプ記事にもPRO限定の記載がないことから無料と判断しました。仕様は変わるため最新はアプリ内で確認してください

見落とされがちですが、プレート計算機とウォームアップ計算機はPRO限定です。どちらも高重量を扱う人ほど効きます。ただし後者は、%1RMの表を見ながらセットタグで手動のアップを作れば代用できます。

1RM計算機(%1RM換算表つき)Epley式とBrzycki式で最大挙上重量を推定し、そこから各パーセンテージの重量を早見できます

もうひとつ、PROを解約しても記録は消えません。 「ワークアウトデータはPROユーザーかどうかにかかわらず常に利用でき、ロックアウトされることはない」と公式ヘルプが明記しています。ここは安心材料です。

ルーティン3つで足りるかは、分割法で決まる

「無料で足りるか」は機能表を眺めても決まりません。決めるのは自分の分割法です。テンプレートは「トレーニングの日」の種類ぶんだけ必要になるので、そのまま数えれば判定できます。

分割法別・必要なテンプレート数の目安
メニューの組み方必要な数無料版で足りるか
全身法(毎回同じ種目)1足りる
上半身 / 下半身の2分割2足りる
押す / 引く / 脚の3分割(PPL)3ちょうど足りる
胸肩 / 背腕 / 脚 / 肩腕 の4分割4足りない
部位別の5分割5足りない
PPLを週2周し、A/Bで種目を変える6足りない
ジムと自宅でメニューを分けている分割数×23分割以上なら足りない

テンプレート1つ=トレーニング1日ぶんとして数えた目安です。種目を固定せず毎回変える人はこの数え方に当てはまりません

つまり、3分割までなら無料のままで何年でも使えます。4つ目が必要になったときの選択肢は3つ。Strong PROを買うか、超えるぶんを「空のワークアウト」から毎回種目を足して記録するか(手間はかかりますが成立します)、テンプレート数に上限のない別のアプリに移るかです。

Strong PROの料金と、契約前に知っておきたいこと

説明文にある月4.99ドル、年29.99ドルは米国向けの表記で、「iTunesアカウントの設定によって価格が異なる場合があります」と注記されています。では日本ではいくらか。ここが少し厄介で、日本のApp Storeの「App内課金」欄には同じ名前のプランが複数の金額で並んでいます

App Store 日本ストアの「App内課金」表示(2026-08-01 時点)
プラン名表示されている金額
Strong PRO (1 Month)¥550 / ¥580
Strong PRO (6 Months)¥2,200
Strong PRO (1 Year)¥2,700 / ¥3,300 / ¥3,500
Strong PRO Forever(買い切り)¥13,000 / ¥15,000
Strong PRO¥450

出典: Strong Workout Tracker Gym Log - App Store(日本)2026-08-01 確認)

同名プランが複数金額で並ぶ理由は公式に説明がありません。自分に提示される金額は必ずアプリ内の購入画面で確認してください

年額なら月あたり225〜292円、月額なら550〜580円でおよそ2倍の差が出ます。続ける前提なら年額が得です。買い切りの「Strong PRO Forever」があるのも大きく、13,000円を年額3,300円と比べるとおおよそ4年で並びます。

解約は期間終了の24時間前までに自動更新をオフにする必要があり、未使用ぶんの返金はありません。App内課金とサブスクリプションはファミリー共有の対象外です。

古くからのユーザーへ1つ。Strongはかつて「Unlock Strong」「Strong Combo Pack」という買い切りを販売しており、購入済みなら「購入情報の復元」でPRO機能にアクセスできると説明文にあります。心当たりがあるなら、課金する前に復元を試してください。

Apple Watchと日本語対応の実情

Strongには評価の高いApple Watchアプリがあり、手首からワークアウトの記録・管理、重量とレップの編集、心拍数とカロリーの記録ができます。ただし公式ヘルプはiPhoneアプリとWatchアプリの両方を使うことを想定していると書いており、プレート計算機とウォームアップ計算機はWatch非対応です。「Watchだけで完結させたい」という期待で入れるとずれます。watchOS 10.0以降が必要な点も、古いApple Watchなら先に確認してください。

日本語については、App Storeの言語欄に日本語を含む11言語が記載され、ストアの説明文も日本語化されています。一方で公式ヘルプセンターと問い合わせ窓口は英語のみです。

アプリ内の表示そのものは判断がつきませんでした。日本のレビューには「日本語化されて欲しい!」(v5.15.18)と「日本語でも使えてトレーニングメニューをメモできます」(v5.14.3)がどちらもあり、バージョンで印象が割れています。表示の程度は自分の端末で確かめてくださいとしか書けません。少なくとも、日本語でサポートを受けられるアプリではない点は確かです。

ストアレビューが語る良い点・気をつけたい点

ここは筆者の主観ではなく、App Store日本ストアの公開レビューに語ってもらいます。平均4.78で満足の声が大半ですが、両方から3件ずつ引きます。

評価されている点

無料でも相当使えます、本当に素晴らしい!(★5・v5.15)

痒いところに手が届くトレーニング記録アプリです。自分でルーティン決めてる人は無料アカウントでも十分だと思います。(★5・v5.7)

種目の間のタイマーがとても良い。メニューも複数テンプレートとして登録するので、その日のトレーニングメニューを呼び出せます。(★5・v5.15.14)

無料の範囲で足りているという声が具体的に出てくるのが、このアプリの特徴です。

入れる前に確認したい点

Apple Watchと連携させたいのですが設定できません...。アプリ自体はすごく良いのに残念です。(★3・v5.15.11)

UIは素晴らしいですし、使いやすいです。 が、高すぎます(★3・v5.15.5)

1000円以上もして買い切りで購入したのに 久々に起動したら料金システムが変わっていて 今まで蓄積していたすべてのデータが消され有料からも外されていた。(★1・v6.2.6)

Watch設定でつまずいた投稿は複数のバージョンにまたがるので、Watch連携が目当てなら無料の範囲で接続を確認してから課金するのが安全です。いずれも投稿時点のバージョンでの声で、最新の6.4.3で再現するかは確認していません。Strongが悪いという話ではなく、「知らずに入れるとがっかりする点」として読んでください。

Strongが向いている人・そうでない人

Strongを選ぶべき人

  • メニューを自分で組める人。必要なのは記録装置だけ、という人にはこれ以上ない選択肢です
  • 3分割までで回している人。無料のまま制限に当たりません
  • 買い切りで済ませたい人。Strong PRO Foreverがあるアプリは多くありません
  • 実績を重視する人。15年動き、日本ストアだけで1,658件の評価がある記録アプリはほとんどありません

別のアプリも見たほうがいい人

  • 4分割以上で組んでいる人。テンプレート3つの壁に最初のひと月で当たります
  • メニューを提案してほしい人。Strongに提案機能はありません
  • 日本語のサポートが必要な人。ヘルプも問い合わせも英語です
  • パソコンでも記録を見たい人。Web版がありません

LiftLogと比べるとどう違うか

筆者が開発しているLiftLogと並べます。有利な軸だけを選ばないよう、Strongが勝つ行も同じ表に入れました。

Strong と LiftLog の比較(2026年8月時点)
比較軸StrongLiftLog
料金無料 + Strong PRO(月550円〜 / 買い切りあり)主要機能はすべて無料・広告なし
テンプレートの数無料は3つまで / PROで無制限上限なし
メニューの提案なし(自分で組む前提)AIが記録を読んで提案(1日10往復まで)
グラフ・チャート種目ごとのチャートはPRO限定無料
対応環境iPhone / Android / Apple WatchiPhone / Android / Apple Watch / ブラウザ
日本語対応アプリは対応。ヘルプ・サポートは英語のみ日本語で開発・サポートも日本語
種目の解説動画収録種目に動画・画像つきの手順ありなし(種目名と部位・器具のみ)
運用実績2011年公開・日本ストアで1,658件の評価2026年公開・評価件数はまだごくわずか

Strong 側は App Store 日本ストアの掲載内容と公式ヘルプ、LiftLog 側は自社の実装にもとづく2026年8月1日時点の情報です

表の下2行が、LiftLogが正直に負けている部分です。種目の解説はStrongに動画や画像つきの手順があり、LiftLogは種目名と対象部位・器具しか持っていません。やり方から知りたい初心者にはStrongのほうが親切です。運用実績も、15年動くアプリと今年公開したアプリでは比べるまでもありません。

逆にLiftLog側の理由は、テンプレート数に上限がないこと、チャートが無料なこと、ブラウザから使えること、記録を読んでメニューを提案するAIがあることです。操作の詳細はLiftLogの使い方にまとめています。

「Strongで足りているならStrongでいい」というのが率直なところです。分割が3つ以内で、メニューを自分で組めて、英語のヘルプが苦にならないなら、乗り換える理由はありません。

乗り換えるときの流れ

移る場合は、細かい操作より順番が重要です。まずCSVを書き出し(iOSは設定の「Export Strong Data」、Androidは「Export Data」。有料・無料を問わず使えます)、次に移行先が取り込めるかを確かめ、1〜2週間は並行で記録してから課金を止めます。Strongは解約後も無料版で記録を読めるので、慌てて消す必要はありません。なお公式ヘルプには「書き出したファイルをStrongに再インポートすることはできない」とあり、書き出しはできても戻す方向はできません

まとめ

  1. 記録は Add Exercises → Add Set → チェック → Finish。終わったら履歴から「+ Save as Template」でテンプレート化する
  2. 無料版は保存件数が無制限。制限はテンプレート4つ目以降と、チャート・部位サイズ・プレート計算機・ウォームアップ計算機
  3. 足りるかは分割法の数で決まる。3分割までなら無料のままでいい
  4. Strong PROは月550円前後・年2,700〜3,500円前後、買い切りもある。金額はアプリ内で確認する
  5. ヘルプとサポートは英語。Apple WatchはwatchOS 10以降が必要で、iPhoneとの併用が前提

15年動き続けている記録アプリには、それだけの理由があります。メニューを自分で組める人にとって、Strongは今でも有力な選択肢です。