パソコンで筋トレの記録を扱う方法は、大きく3つに分かれます。ブラウザで動くWeb版のあるアプリを使う、スマートフォンのアプリで記録してCSVを表計算ソフトで開く、最初から表計算ソフトで管理する。どれが合うかは「パソコンで何をしたいか」で決まります。入力までパソコンでやりたいのか、溜まった記録を見返すだけなのか、自分の手で集計したいのか。3つの方法を順に見たうえで、主要アプリのパソコン対応を一覧にしました。
パソコンで記録を扱う方法は3つ
やりたいことは人によって違います。選べるのは次の3つです。
ブラウザで動くWeb版のあるアプリを使う — ― 入力も見返しもパソコンで完結します。同じアカウントでスマートフォンとも同期します
スマートフォンで記録し、CSVで書き出して表計算ソフトで開く — ― 入力はスマートフォンのまま。パソコンでやるのは見返しと集計だけです
最初から表計算ソフトで管理する — ― 自由度は最大ですが、入力の手間もグラフ作りも自分持ちになります
「WindowsでAndroid版のアプリを動かす」という4つめの手は、もう選べません。Windows 11にはAndroidアプリを動かす仕組み(Windows Subsystem for Android)がありましたが、Microsoftの公式ドキュメントには、2025年3月5日以降、Windows Subsystem for AndroidとAmazon AppstoreがMicrosoft Storeで提供されなくなったと記載されています(原文は英語)。これから始める人には使えません。
Macは事情が違います。Appleシリコン(M1以降)を積んだMacなら、対応しているiPhone / iPadのアプリをMac App Storeからそのまま入れて動かせます。判断の基準はApp Storeのアプリページにある「互換性」欄で、ここにMacの記載があるかどうかを見ます。ただし操作はタッチ前提の画面をトラックパッドで触る形になるので、キーボードで数字を打ち込む快適さを期待すると違います。
つまり実質的な分かれ道は、ブラウザで動くかと、CSVで書き出せるかの2点です。
主要アプリのパソコン対応
| アプリ | パソコンのブラウザ(Web版) | データの書き出し |
|---|---|---|
| LiftLog | あり。登録・記録・グラフ・書き出しまでブラウザで完結 | CSV(ワークアウトのみ・9列) |
| Hevy | あり(hevy.com)。公式ヘルプに「ウェブブラウザ…からワークアウトを記録」と記載 | アプリ内から「計測データ」と「ワークアウト」を別々に |
| JEFIT | あり(jefit.com のダッシュボード)。History / Progress / Workouts などの画面がある | 公式ヘルプで公開されている手順を確認できず |
| Strong | 公式サイト・公式ヘルプに記載なし | CSV(iOSは「Export Strong Data」/ Androidは「Export Data」) |
| 筋トレMemo | 公式サイトに記載なし | 公式サイト・ストアの説明に記載なし |
| バーンフィット | 記録用のWeb版はなし(AIルーティン作成と1RM計算のブラウザツールは公開) | 公式ヘルプに記載なし |
| Gymwork | 一般ユーザー向けの記載を確認できず | 公式サイト・ストアの説明に記載なし |
| FitNotes | なし(Android専用) | CSV(Settings > Spreadsheet Export) |
※ 各社の公式サイト・公式ヘルプ・App Store / Google Play の掲載(2026-08-07 閲覧)に基づく。LiftLog は自社の実装内容。「記載なし」は公開情報から確認できなかったという意味で、機能の不在を断定するものではありません
一覧にすると、ブラウザで記録まで完結できるアプリは多くないことがわかります。ジムで手に持って使う道具である以上、スマートフォンを軸に設計されているアプリが多数派です。
App Storeの互換性欄で見ると、Macに対応しているアプリと、iPadに対応しているアプリで分かれます。LiftLogはiPhoneとMac(macOS 14.0以降・Apple M1以降)に対応していますが、iPadの記載はありません。HevyはiPadとApple Visionに対応していて、Macの記載はありません。大きい画面をiPadで使いたいならHevy、MacのApp Storeからそのまま入れたいならLiftLog、という分かれ方になります。
方法1|ブラウザで完結するアプリを使う
パソコンで入力までやりたいなら、これがいちばんまっすぐな道です。ブラウザでアカウントを作れば、その場から記録を始められます。
LiftLogのWeb版は、liftlog.lee-way.jp をブラウザで開いて登録すれば、インストールなしで記録から見返しまで完結します。必要なのはGoogleアカウントか、メールアドレスとパスワード(8文字以上)だけです。アカウントはiPhone・Android・Web版で共通なので、ジムではスマートフォンで記録して、家のパソコンで見返す、という使い分けもできます。
パソコンで開いたときに効くのは次の3つです。
- 種目ごとのグラフ — 推定1RM・最大重量・ボリュームを1ヶ月/3ヶ月/6ヶ月/1年で切り替えて見られます
- テンプレートの並べ替え — 種目の順番をドラッグで入れ替えるので、マウスのほうが速く終わります
- CSVの書き出し — 設定画面から1クリックでダウンロードされます
ただし、パソコンで開いても画面が横に広がるわけではありません。画面幅1024pxを境に、狭ければ下のタブバー、広ければ左のサイドバーに変わりますが、本文の横幅は最大672pxの1カラムのままです。数字がずらりと並ぶ管理画面を想像していると違います。「スマートフォンと同じ画面を、大きな文字とキーボードで扱える」ものだと思ってください。表の形で一覧したいなら、次の方法2(CSV)のほうが目的に合います。
記録のしかたもアプリ版と少し違います。Web版にはセット種別(ウォームアップ・ドロップなど)とRPEの入力欄がなく、レストタイマーは開いているタブの中でしか動きません。前回値の確定も、アプリ版は完了チェック1タップで済むのに対してWeb版は2アクションかかります。画面ごとの手順はLiftLog Web版の使い方にまとめています。
RPE換算計算機RPEと回数から1RMを推定し、次のセットの目標重量まで計算できます(登録不要)Hevyのウェブ版との違い
ブラウザで記録できるアプリとして、もう1つ選択肢になるのがHevyです。公式サイトには「Also on desktop」というセクションがあり、hevy.com への導線とあわせて、ルーティンの作成・種目の進捗の確認・他のユーザーのルーティンの保存が挙げられています。公式ヘルプ(日本語版)にも「スマホ、ウェブブラウザ、スマートウォッチ(Apple WatchやWearOS)からワークアウトを記録」と書かれているので、閲覧専用ではありません。
| 項目 | LiftLog Web版 | Hevy ウェブ版 |
|---|---|---|
| ブラウザからの記録 | ○ | ○(公式ヘルプに記載) |
| カスタム種目 | 作成も編集もできる | 「Webアプリからも作成できますが、Webアプリ上では編集できません」(公式ヘルプ) |
| 書き出しの経路 | ブラウザの 設定 > データのエクスポート から | アプリの プロフィール > 設定 > データのエクスポートとインポート から |
| 書き出せるデータの範囲 | ワークアウトのみ。体重などの計測値は含まれない | ワークアウトと計測データを別々に書き出せる |
| 公開API | なし | あり。「Currently, this API is only available to Hevy Pro users.」 |
| iPad向けの対応 | App Storeの互換性欄にiPadの記載なし | あり(App Storeの説明文に「Fully featured iPad app」) |
※ Hevy 側は公式サイト・公式ヘルプ日本語版・API ドキュメント・App Store の掲載(2026-08-07 閲覧)に基づく。LiftLog 側は自社の実装内容
下3行がLiftLogの弱いところです。書き出せるのはワークアウトだけで、体重などの計測値は含まれません。公開APIもなく、iPad向けの対応もありません。 数字を自分のプログラムに流し込んで加工したい人や、iPadの大きい画面で扱いたい人にとっては、この差がそのまま効きます。逆に、ブラウザから種目を作って名前を直したい、ブラウザの設定画面からそのままCSVを落としたい、という使い方はLiftLog Web版だけで完結します。
方法2|CSVで書き出して表計算ソフトで開く
使っているアプリにWeb版がなくても、記録をパソコンに持ってくる手段はあります。CSVでの書き出しです。CSVは表計算ソフト(Excel、Numbers、Googleスプレッドシート)でそのまま開ける形式で、書き出してしまえば、あとはパソコンの上での作業になります。
最初に押さえておくべき性質が2つあります。
書き出しは一方通行です。 表計算ソフトで直した数字をアプリに戻す道は、ほとんどのアプリで用意されていません。Strongの公式ヘルプは「書き出したファイルをStrongに再インポートすることはできない」と明記していますし、FitNotesも「CSVファイルからデータを復元することはできない」として、復元にはバックアップ機能を使うよう案内しています。取り込みに対応しているアプリ自体が少なく、対応していても受け付ける形式が限られます。この事情はHevyのデータをエクスポートして移行する手順で整理しています。パソコンで扱うのは「控え」であって「本体」ではない、と考えておくとずれません。
列の構成はアプリごとに違います。 業界共通のフォーマットはないので、自分のファイルの1行目(ヘッダー)を開いて、日付・種目名・セット番号・重量・回数がどの列に入っているかを確かめるところから始まります。日本語が文字化けする場合は、ファイルをダブルクリックで開くのではなく、表計算ソフト側の「テキストファイルとしてインポート」から文字コードをUTF-8に指定して開き直してください。
LiftLogのCSVは、設定画面の「データのエクスポート」から「ワークアウトデータをダウンロード」を押すと取得できます。1セットが1行で、日付・ワークアウト名・種目名・セット番号・重量・回数・セット種別・RPE・メモの9列です。BOM付きで書き出しているので、Excelでそのまま開いても日本語が化けません。
書き出したあと、パソコンで何ができるか
表計算ソフトに持っていく目的は、たいてい次のどれかです。
- 種目ごとの推移をグラフにする — 日付と重量の2列を選んで折れ線グラフを挿入するだけで作れます
- 週ごと・月ごとの総ボリュームを出す — 重量×回数の列を足して、日付でまとめます
- 自己ベストを一覧にする — 種目ごとの最大値を関数で拾います
このうち推定1RMだけは計算式を知らないと出せません。どの式を使うか決める前に、下の計算機に自分の数字を入れて挙動を見ておくと迷いません。
1RM計算機重量と回数から最大挙上重量を推定できます。Epley式・Brzycki式の両方と%1RM換算表つき(登録不要)方法3|最初から表計算ソフトで管理する場合の限界
「アプリを使わず、最初から表計算ソフトで管理すればいいのでは」という考え方もあります。実際、費用はかかりません。ExcelはMicrosoftアカウントがあればブラウザ版を無料で使えますし、Googleスプレッドシートも同じです。項目も並びも自分の好きなように設計できます。
一方で、ジムで使うことを前提にすると、次の4点が壁になります。
前回の記録を自分で探すことになる。 アプリの記録画面は「前回: 60kg × 8回」のように直前の値を自動で出しますが、表計算ソフトでは自分でスクロールして探すか、関数を組むかのどちらかです。セットとセットの合間にこれをやるのは、思っているより負担になります。
スマートフォンでの入力が重い。 表計算ソフトのスマートフォン版はセルを1つずつタップして数字を入れる操作になり、汗をかいた手では扱いにくくなります。ジムで使う前提なら、ここがいちばん脱落しやすいところです。
レストタイマーがない。 セット間の休憩を測る機能はないので、別のタイマーアプリと行き来することになります。
グラフと集計を自分で作り続ける必要がある。 最初に組んでしまえば済む話ではありますが、種目を増やすたび、書式を変えるたびに手が入ります。
裏返すと、入力の速さより自由度を優先する人には表計算ソフトが向いています。特殊な種目を扱っている、独自の指標で管理している、プログラムを自分で組んでいる、といった場合です。逆に「毎回の入力を短く終わらせたい」が最優先なら、アプリで記録してCSVで書き出す(方法2)ほうが、結果として表計算ソフトの中身も充実します。
パソコンで何をしたいかで選ぶ
同じ「パソコンで使いたい」でも、目的が変われば答えは変わります。
入力もパソコンでやりたい
ブラウザで動くWeb版があるアプリを選ぶ以外にありません。 自宅でのトレーニング、ジムにノートパソコンを持ち込む場合、あるいは「その日の記録を帰宅後にまとめて入力する」使い方がここに当てはまります。あとからまとめて入力するなら、過去の日付にさかのぼって記録を追加できるかどうかも先に確認しておいてください。
溜まった記録を見返したいだけ
入力はスマートフォンのまま、見返しだけパソコンというのがいちばん現実的です。Web版があるアプリならログインするだけで済みますし、なければCSVを書き出して表計算ソフトで開きます。見返す頻度が月に1回程度なら、CSVで十分間に合います。
自分の手で集計したい
CSVで書き出せるアプリを選ぶことが条件です。 アプリ内のグラフでは足りない指標(自分で決めた週あたりのセット数、部位ごとの配分など)を出したい場合、書き出しの有無がそのまま可否になります。使うアプリを決める段階で、書き出し機能があるかどうかを確認しておくと後戻りがありません。数字を自動で取り出したいなら、公開APIを提供しているHevyのようなアプリも候補に入ります(利用にはHevy Proへの加入が必要です)。
まとめ
- パソコンで筋トレの記録を扱う方法は、Web版のあるアプリ / CSVで書き出して表計算ソフト / 最初から表計算ソフトの3つ
- WindowsでAndroidアプリを動かす回避策は2025年3月5日に終了。MacはApp Storeの「互換性」欄にMacの記載があるアプリなら動く
- ブラウザで記録まで完結できるアプリは限られる。LiftLogとHevyはブラウザから記録でき、JEFITもブラウザのダッシュボードを持つ
- 書き出しは一方通行。表計算ソフトで直した内容をアプリに戻せるアプリはほとんどない
- 決め手は「パソコンで何をしたいか」。入力までならWeb版、見返すだけならCSVでも足りる

