ダンベルショルダープレスの平均重量は、トレーニング記録サービスのStrength Levelの集計で男性30kg・女性15kgです。ただしこの数字には条件が2つ付いています。片手(ダンベル1個)あたりの重量であること、そして1回だけ挙げられる最大重量(1RM)として集計されていることです。10回続けられる重量に直すと、片手で男性が約22.5kg、女性が約11kgという換算になります。片手か両手合計か、1RMか10回できる重量かで数字は2倍以上変わるので、比べる前にここをそろえる必要があります。
- 主に効く部位
- 三角筋前部・中部が中心
- 器具
- ダンベル2個ベンチがあれば座位でも
- 重量の数え方
- 片手あたり両手の合計ではない
- 男性の平均
- 30kg片手・1RM(Strength Level)(推定)
ダンベルショルダープレスの平均重量|男女別・レベル別
まず全体の分布から確認します。次の表は、トレーニング記録サービスのStrength Levelが公開しているレベル別の重量です。
| レベル | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 初心者(Beginner) | 13 | 6 |
| 初級者(Novice) | 21 | 10 |
| 中級者(Intermediate) | 30 | 15 |
| 上級者(Advanced) | 42 | 21 |
| エリート(Elite) | 55 | 28 |
出典: Dumbbell Shoulder Press Standards (kg)/Strength Level(2026-08-08 確認)
※ 海外のトレーニング記録サービスに投稿された自己申告データです。記録を投稿する利用者の中での分布であり、ジムに通う人全体や日本人の平均ではありません。数値はダンベル1個あたりで、シャフト分(通常2kg)を含みます
レベルの区切りは投稿された記録の中での順位で決まっています。Strength Levelの定義では、初心者は下位5%より強い水準、初級者は20%、中級者は50%、上級者は80%、エリートは95%より強い水準を指します。中級者がちょうど真ん中なので、一般に「平均」として引用されるのはこの中級者の値です。経験年数の目安も併記されていて、初級者は6か月以上、中級者は2年以上、上級者は5年超の継続が想定されています。
この集計のもとになっているのは、2017年3月19日から2026年3月5日までに投稿された有効記録621,197件(男性540,746件・女性80,451件)です。件数は十分に多いものの、記録サービスに自分の重量を投稿する人の分布であることは動きません。ジムに通っている人全体の平均ではなく、日本人の平均でもない、という前提で読んでください。
表の数字は「片手あたり」
この種目でいちばん誤解が起きるのがここです。Strength Levelは表の下に「Dumbbell weights are for one dumbbell and include the weight of the bar, normally 2 kg / 4.4 lb」と書いていて、ダンベル1個あたりの重量であること、シャフト分(通常2kg)を含むことを明示しています。
つまり中級者の30kgは、30kgのダンベルを両手に持って押している状態です。両手合計に直せば60kgぶんを頭上に上げていることになります。ネット上で見かける「平均◯kg」の数字が媒体によってかみ合わないように見えるのは、片手で書いているか合計で書いているか、そして次に説明する1RMかどうかの2点がそろっていないためです。
体重別の目安
同じ性別でも体重が違えば挙がる重量は変わります。Strength Levelは体重別の表も公開しています。
| 体重(男性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 50kg | 7 | 12 | 19 | 27 | 36 |
| 60kg | 10 | 15 | 23 | 32 | 43 |
| 70kg | 12 | 19 | 27 | 37 | 48 |
| 80kg | 15 | 22 | 31 | 42 | 54 |
| 90kg | 18 | 25 | 35 | 46 | 59 |
| 体重(女性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 40kg | 4 | 7 | 11 | 16 | 22 |
| 50kg | 5 | 8 | 13 | 18 | 25 |
| 60kg | 6 | 10 | 15 | 20 | 27 |
| 70kg | 7 | 11 | 16 | 22 | 29 |
いずれも片手あたりの1RM(kg)です。表にない体重なら、体重比で概算できます。男性は体重の0.15倍(初心者)・0.25倍(初級者)・0.40倍(中級者)・0.55倍(上級者)・0.70倍(エリート)、女性は0.10倍・0.15倍・0.25倍・0.35倍・0.45倍が、それぞれの水準としてStrength Levelに示されています。体重70kgの男性が中級者の水準を狙うなら、片手28kg前後という計算です。
表の数字は「1回だけ挙がる重量」|10回できる重量への直し方
Strength Levelは平均について「The average Dumbbell Shoulder Press is 30 kg for men and 15 kg for women (1RM)」と書いています。1RM=1回だけ挙げられる最大重量なので、この重量で10回続けられるという意味ではありません。実際のトレーニングで使う重量に直すには、ここを換算する必要があります。
換算には推定式を使います。よく使われるEpley式(1RM = w × (1 + r ÷ 30))とBrzycki式(1RM = w × 36 ÷ (37 − r))は、10回のときにちょうど同じ値になり、どちらも 1RM = 重量 × 4/3 になります。逆に解けば、10回できる重量はおよそ1RMの75%です。
- 男性の平均30kg → 10回できる重量は約22.5kg(片手)
- 女性の平均15kg → 10回できる重量は約11kg(片手)
この10回という回数には根拠があります。Strength Levelには実際のセットの組み方も集計されていて、男性の19%・女性の22%が3セット×10回で、いずれも最多でした。次いで多いのが3セット×8回(男女とも12%)です。多くの人が10回前後で組んでいるので、10回換算の数字のほうが自分のセットと比べやすくなります。
1RM計算機重量と回数から1RMを推定できます。Epley式・Brzycki式の両方と%1RM換算表つき(登録不要)同じ人でも数字が変わる|座位・立位・可動域
平均と自分の数字を比べる前に、押さえておきたい条件が3つあります。
1つ目は座位か立位かです。 Saeterbakkenらが2013年に発表した研究(男性15名)では、立位でダンベルを使ったときの1RMが、座位でダンベルを使ったときより約10%低く、立位でバーベルを使ったときより約7%低かったと報告されています。同じ人が同じ日に測っても、姿勢が変わればこれだけ差が出るということです。ベンチの背もたれに体を預けられる座位のほうが、体幹を安定させる負担が減るぶん数字は出やすくなります。
この研究にはもう一つ重要な結果があります。最も数字が低かった立位ダンベルが、三角筋の筋活動はいちばん高かったという点です。挙がる重量が小さいことと、肩に効いていないことは別の話になります。
2つ目は可動域です。 どこまで下ろすか、どこまで押し切るかの基準は、この種の集計データでは定められていません。耳の高さで折り返す人と、肩の高さまで深く下ろす人では挙がる重量が変わりますが、投稿された記録はどちらも同じ1つの数字として並びます。平均値に幅が含まれるのは、この違いが混ざっているためでもあります。
3つ目はスタート位置に持っていく動作です。 ダンベルは重くなるほど、肩の高さまで構えること自体が難しくなります。挙上そのものはできても、セットアップで消耗して回数が落ちることがあります。バーベルにはない、ダンベル特有の条件です。
バーベルのショルダープレスとの違い
同じStrength Levelで、バーベルのショルダープレス(オーバーヘッドプレス)の平均は男性62kg・女性33kgです。こちらは「Barbell weights include the weight of the bar, normally 20 kg / 44 lb.」とあるとおり、バー(通常20kg)を含む合計重量として集計されています。
ダンベルの中級者30kgを両手合計に直すと60kgなので、単純計算ではバーベルの62kgと近い規模になります。ただし2つの表は別々の集計で、対象者も期間も同じではないため、厳密な比較ではありません。あくまで桁感の確認として見てください。
同一人物で比べた実測としては、先ほどのSaeterbakkenらの研究が、立位ダンベルの1RMは立位バーベルより約7%低かったと報告しています。ダンベルは左右が独立していて軌道が固定されないぶん、支える負担が増えるためと説明されています。
数字を伸ばすことを目的にするならバーベル、左右差の確認や軌道を自分で決めたい場合はダンベル、という使い分けになります。どちらが優れているという話ではなく、記録として比べられるのは同じ種目・同じ姿勢どうしだけという点が実務上は重要です。ダンベルの記録とバーベルの記録は別々に残してください。
基本のやり方
重量の話の前提として、フォームの基本形も確認しておきます。
ダンベルを持って構える― 座位ならベンチに深く座り、太ももにダンベルを乗せてから膝で押し上げて肩の高さに構えます。立位なら足を肩幅程度に開きます
手のひらを前に向け、肘を肩の真下あたりに置く― 前腕が床に対して垂直になる位置がスタートです。肘が体の後ろに入りすぎないようにします
真上に押し上げる― 頭の上でダンベルが近づく軌道になります。肘は伸ばし切る手前で止めます
ゆっくり下ろす― 押すより下ろすほうを時間をかけます。落とすように戻すと負荷が抜けます
スタート位置まで戻して繰り返す― 下ろす深さを毎回そろえます。回数が進むほど浅くなりやすいので、深さの基準を決めておきます
座位で行う場合、背もたれの角度をどうするかは目的によって変わります。垂直に近いほど肩に集中し、寝かせるほど胸の関与が増えていきます。同じ角度で続けることのほうが、角度そのものより記録の比較には効いてきます。
重量をどう決めて、どう伸ばすか
平均は自分の位置を確認する材料にはなりますが、次のセットの重量を決めてはくれません。決める材料になるのは自分の前回の記録です。
厚生労働省のe-ヘルスネットは、筋トレの負荷について日常生活レベル以上の負荷を繰り返しかけ、慣れてきたら少しずつ負荷を高めていく(=漸進性過負荷の原則)ことが重要と説明しています。同じ情報シートは成人および高齢者に、筋トレを週2〜3日実施することを推奨するとしています。「少しずつ高めていく」を実行するには前回の重量と回数が要りますが、ダンベルショルダープレスのように片手の重量で管理する種目は、記憶だけだと特にあいまいになりがちです。
記録するのは種目・重量・回数の3つで足ります。項目の決め方は筋トレ記録のつけ方にまとめていますが、この種目に限ってはもう1つ注意があります。重量は必ず片手あたりで統一して書くことです。ある日は「20kg」(片手)、別の日は「40kg」(合計)と混ざると、自分の記録どうしも比較できなくなります。
伸びているかどうかは、重量だけを見ていると分かりません。片手20kgで8回だったものが同じ20kgで10回になっていれば前進していますが、重量の欄は動いていないからです。回数の伸びも含めて追う方法は筋トレの成果を見える化する方法で整理しています。記録の手間そのものが続かない原因になっている場合は、記録を10秒で終わらせる手順のほうから読んでください。
まとめ
- ダンベルショルダープレスの平均は男性30kg・女性15kg。ただし片手あたりで、1RMの数字
- レベルの区切りは投稿記録の中での順位。中級者がちょうど真ん中で、これが「平均」として引用される
- 10回できる重量はおよそ1RMの75%。片手で男性22.5kg・女性11kgが換算の目安
- 体重別では、男性は体重の0.40倍・女性は0.25倍あたりが中級者の水準(片手・1RM)
- 座位と立位で1RMは約10%変わる。立位のほうが数字は低く出るが、三角筋の筋活動は高いという報告がある
- バーベル版の平均は男性62kg・女性33kg(バー込みの合計)。ダンベルとバーベルの記録は分けて残す
- 平均は現在地の確認まで。次の重量を決めるのは自分の前回の記録
まずは片手あたりの重量で、10回続けられる重量を1つ記録するところから始めてください。比べる相手は平均ではなく、前回の自分です。


