レッグカールは、膝を曲げる動きだけで太もも裏のハムストリングスに負荷をかけるマシン種目です。「効果」で調べたときに欲しいのは、続けると何がどれだけ変わるかという数字だと思いますが、日本語の解説では基礎代謝やヒップアップといった言葉が並ぶ一方で、変化量を示した資料はほとんど見当たりません。この記事では、12週間の介入で筋体積が何%増えたか、シーテッドとライイングで差が出た研究、つま先の向きを検証した試験、そして公開データにもとづく重量の読み方を順に扱います。

主に効く部位
脚(裏側)ハムストリングス
器具
マシンシーテッド / ライイング
動作の分類
単関節膝の屈曲のみ
難易度
初級シート合わせが要点

レッグカールで実際に増えるもの

ExRx.netの分類では、シーテッド・ライイングとも主働筋はハムストリングス、協働筋は腓腹筋・薄筋・縫工筋・膝窩筋です。動作の分類は「Isolated(単関節)」で、動くのは膝関節だけになります。大臀筋は主働筋にも協働筋にも入っていません。股関節が固定されたまま動かないので、当然といえば当然の分類です。

変化量については、Maeoらが2021年に発表した研究があります。健康な若年成人20名が、片脚をシーテッド、もう片脚をうつ伏せのライイングという形で12週間トレーニングしました。条件は70%1RMで10回×5セット、週2回。膝の可動域は両条件とも0〜90度にそろえてあります。

12週間後、MRIで測ったハムストリングス全体の筋体積はシーテッドで約14%、ライイングで約9%増えました。1RMはシーテッドで40.9kgから53.6kg(+31.1%)、ライイングで23.9kgから30.3kg(+26.6%)です。

日本語の解説でよく挙げられる基礎代謝の向上やヒップアップについては、レッグカール単体で検証した資料を確認できませんでした。書けるのは、ハムストリングスの筋体積と膝を曲げる力が増えたところまでです。

シーテッドとライイングで差が出る理由

同じ研究は、シーテッドとライイングを直接比べた数少ない資料でもあります。片脚ずつ割り付ける設計なので、体質や生活習慣の差が入り込みません。

12週間後の筋体積の増加率(Maeo ほか 2021)
部位シーテッドライイング
ハムストリングス全体+14.1%+9.3%
大腿二頭筋 長頭(股関節をまたぐ)+14.4%+6.5%
半腱様筋(股関節をまたぐ)+23.6%+19.3%
半膜様筋(股関節をまたぐ)+8.2%+3.6%
大腿二頭筋 短頭(膝だけ)差は確認されず差は確認されず

ANCOVA で調整した平均変化。抄録では二関節筋が +8〜24% 対 +4〜19%、単関節筋が +10% 対 +9% と記載されている(2026-08-08 取得)

読みどころは最終行です。股関節をまたぐ3つの筋では差がつき、膝だけをまたぐ大腿二頭筋短頭では差がつきませんでした。シーテッドは股関節が約90度に曲がった状態、ライイングは約30度で、股関節をまたぐ筋はシーテッドのほうが引き伸ばされます。著者らは、筋が長い状態でのトレーニングが筋肥大を促した可能性を挙げています。差がついたのが股関節をまたぐ筋だけだった、という結果はこの説明と方向が合います。

一方、筋損傷への保護効果はどちらも同等でした。エキセントリック運動の72時間後、未鍛錬の対照脚では半腱様筋のT2値が+52%だったのに対し、シーテッド脚は+4%、ライイング脚は+6%です。

つま先の向きで効きは変わるか

「つま先を伸ばすとハムに効く」「手前に引くとふくらはぎに逃げる」という調整は定番ですが、これを直接検証した試験があります。

Cadeoらが2023年に発表した研究では、同じ人の片脚を底屈、もう片脚を背屈に割り付けてレッグカールを行いました。結果は、膝屈筋群の筋電図に差がなく、10週間後の大腿二頭筋長頭の筋厚と等尺性トルクにも足首の向きによる差はありませんでした。筋厚とトルクは両脚とも増えているので、効かなかったのではなく、足首の向きが結果を分けなかったという読み方になります。

ただし1つだけ差が出ています。背屈側の脚のほうが総トレーニング量が多かったという報告です。これはExRx.netの「足首を背屈させると腓腹筋の活動性不全が減り、膝を曲げる動きを手伝えるようになる」という注記と方向が一致します。手伝いが入るぶん、同じ重量で回数が伸びたと考えると筋が通ります。

実用面では、向きを変えること自体より、変えたら記録に残すことのほうが効きます。同じ重量で回数が変わった理由が足首なのか実力なのかは、条件を書いていなければ判定できません。

グッドモーニング・RDLとの役割の違い

ハムストリングスは、膝を曲げる仕事と股関節を伸ばす仕事の両方を持っています。レッグカールは前者だけ、グッドモーニングやルーマニアンデッドリフトは後者だけを担当します。この分担は、動員される筋の内訳にも出ます。

Bourneらが2017年に発表した研究では、男性24名が10種目を行い、外側(大腿二頭筋)と内側ハムストリングスの筋電図比が比べられました。挙げる局面では、比が最も高かったのが45度ヒップエクステンションとランジ、最も低かったのがレッグカールです。つまりレッグカールは内側の半腱様筋側に寄り、股関節を伸ばす種目は大腿二頭筋長頭側に寄ります。

一方、ハムストリングス全体の活動量で見ると順位は変わります。McAllisterらが2014年に、レッグカール・グッドモーニング・グルートハムレイズ・ルーマニアンデッドリフトを85%1RMで比較した研究では、活動が最大になったのはルーマニアンデッドリフトとグルートハムレイズでした。著者らはこの2種目を推しています。

同じ脚の日に入れる種目としては、股関節を伸ばす側のヒップスラストも選択肢になります。

平均重量と重量設定の目安

トレーニング記録サービスのStrength Levelの集計では、シーテッドレッグカールの平均は男性80kg・女性49kg、ライイングレッグカールの平均は男性63kg・女性37kgです。いずれも1回だけ挙げられる重量、つまり1RMの推定値になります。

シーテッドレッグカールの平均重量の目安(kg・1RM
レベル男性女性
初心者(Beginner)3520
初級者(Novice)5532
中級者(Intermediate)8049
上級者(Advanced)11069
エリート(Elite)14392

出典: Seated Leg Curl Standards (kg)Strength Level2026-08-08 確認)

海外のトレーニング記録サービスに投稿された自己申告データで、日本の平均を示すものではありません。集計対象は457,839件の投稿から絞り込まれた有効記録125,544件(男性98,023件・女性27,521件)、期間は2017年8月18日〜2026年3月5日。加えてマシン種目のため、表示重量が何を指すか(スタックの表示か実際の負荷か)の定義はページ上に見当たりませんでした。機種が違えば同じ数字になりません

ライイングの数字は一段低くなります。

レベルライイング 男性ライイング 女性
初心者26kg15kg
初級者43kg25kg
中級者63kg37kg
上級者89kg53kg

いずれも1RMで、2026-08-08にStrength Levelから取得した値です。レベルの区切りは投稿記録の中での順位で決まっていて、初心者は下位5%より強い水準、中級者は50%、上級者は80%を指します。中級者がちょうど真ん中なので、平均として引用されるのはこの値です。

マシンの表示重量は他のジムに持ち込めない

同じ「膝を曲げる」動きなのに、シーテッドの平均はライイングの1.27倍(男性)です。これはStrength Levelだけの現象ではありません。Maeoらの研究では、同じ20名が同じ12週間の開始時点で、シーテッド40.9kg・ライイング23.9kgという1.7倍の差を出しています。使われたマシンはシーテッドがLife Fitness、ライイングがSenohで、機種も姿勢も違うため原因は切り分けられません。

はっきりしているのは、表示重量はマシンごとに別の目盛りだということです。てこの比も滑車の掛け方も機種で違うので、他人の数字も、別のジムで出した自分の数字も、そのまま比べられません。

1RMからセットで扱う重量へ

表の数字は1RMなので、セットに使うには換算が要ります。よく使われるEpley式とBrzycki式は10回のときにちょうど一致して 1RM=重量×4/3 になるため、逆に解くと10回できる重量は1RMの75%になります

  • シーテッドの男性平均80kgなら、10回で60kg前後
  • シーテッドの女性平均49kgなら、10回で37kg前後
  • ライイングの男性平均63kgなら、10回で47kg前後
  • 体重70kgの男性・シーテッド初心者34kgなら、10回で26kg前後
1RM計算機(%1RM換算表つき)重量と回数から1RMを推定できます。逆に1RMから回数ごとの重量も引けるので、表の数字を自分のセットに翻訳できます(登録不要)

回数別の重量を一覧で見たい場合は1RM換算表にまとめています。

投稿されたセット構成も集計されていて、シーテッドは男女とも3セット×10回が22%で最多、ライイングの男性は3セット×10回が23%で最多でした。これは実際に行われた組み合わせの分布であって、推奨されている回数ではありません。回数の正解は目的と全体のメニューで変わるので、この種目単体では決められません。頻度については、厚生労働省のe-ヘルスネットが「成人および高齢者に、筋トレを週2〜3日実施することを推奨する」としています。

記録に残す項目

この種目で残しておきたいのは、重量と回数に加えてマシンの種類・シートやパッドの位置・足首の向きです。どれも数字を動かす要素なのに、記録から抜け落ちやすいところでもあります。

ExRx.netはシーテッドについて「膝がてこの支点と一直線になるようにシートの背もたれを合わせる」と書いています。ここが数センチずれると、同じピン位置でも膝にかかるモーメントが変わります。ピンの段数だけを記録していると、シート位置が変わった日の増減を実力の変化と読み違えます。項目の決め方そのものは筋トレ記録のつけ方にまとめています。

重量を上げるかどうかの判断は、単発の数字ではなく推移で見ることになります。基準の作り方は筋トレで重量を上げるタイミング、伸びているかを推移で確認する方法は筋トレの成果を見える化する方法にあります。

まとめ

  • 出典を付けて言える効果は、ハムストリングスの筋体積が12週間で約14%(シーテッド)・約9%(ライイング)増えたという報告まで。基礎代謝やヒップアップを単体で検証した資料は確認できなかった
  • 動くのは膝関節だけの単関節種目で、主働筋はハムストリングス、協働筋は腓腹筋・薄筋・縫工筋・膝窩筋。大臀筋は分類に入っていない
  • シーテッド優位の差がついたのは股関節をまたぐ3つの筋だけで、膝だけをまたぐ大腿二頭筋短頭では差がつかなかった。筋損傷への保護効果は同等
  • つま先の向きは、筋電図でも10週間の筋厚・トルクでも差が出なかった。背屈側で総トレーニング量が多かったという報告はある
  • 膝を曲げる動きは内側の半腱様筋寄り、股関節を伸ばす動きは大腿二頭筋長頭寄り。置き換えではなく補完の関係にある
  • 平均はシーテッドが男性80kg・女性49kg、ライイングが男性63kg・女性37kg。いずれも1RMで、10回できる重量はその75%
  • マシンの表示重量は機種ごとに別の目盛り。同じマシンで記録した前回の自分とだけ比べる

まずは膝を支点に合わせてから、10回そろえられる重量を1つ決めてください。次に見るのは平均ではなく、同じマシンで記録した前回の数字です。