リアレイズは、上体を前に倒した姿勢からダンベルを横へ開いて三角筋の後部を狙う種目です。検索されやすいのは手順そのものより「効いている感じがつかめない」ほうで、原因になりやすいのは前傾の浅さと肩甲骨から動かしてしまうことの2つに絞れます。この記事では、前傾の作り方から下ろしまでの手順、効かせるコツとして確認できる条件、公開データから見た片手あたりの重量の目安を順に整理します。
- 主に効く部位
- 三角筋 後部腕を横後方へ開く動き
- 器具
- ダンベル重さは片手1個あたり
- 難易度
- 中級前傾を保てることが前提
- 重量の目安(1RM)
- 15kg体重70kg男性・中級者・片手(推定)
リアレイズのやり方|上体を床と平行に近づけてから始める
動作自体は、肘の角度を固定したまま上腕を横へ開いて戻すだけです。整えるところは、始める前に前傾を作り切ることと、動作中その角度を変えないことの2つに集中します。
両手にダンベルを持ち、足を腰幅に開いて立つ― 重さは、前傾を作った状態で肘を肩の高さまで上げられる範囲から選びます
膝を軽く曲げ、股関節から上体を倒す― 背中は反らせも丸めもせず、床と平行に近いところまで倒します。膝を曲げるのは、もも裏が硬くても背中の面を保てるようにするためです
腕を真下に垂らし、肘を軽く曲げて固定する― ExRx.netの記載では肘の角度は10〜30度で、動作中ずっと同じ角度に保ちます。手のひらは向かい合わせにします
肘を肩の高さまで、体の横へ開いていく― 上腕を体幹に対して垂直に保つのが方向の基準です。上体が倒れているので、腕は床と平行に近い面を通ります
肘が手首より高い状態を保つ― ExRx.netはこの高さを保つ方法として「小指側を上げる」と記載しています。手のひらが下を向いたまま上げると、肘より手首が先に上がりやすくなります
同じ道をたどって、腕が真下に垂れる位置まで下ろす― 下ろし切った位置が次の1回の開始位置です。途中で止めると開始位置が毎回変わります
ExRx.netはこの動作を、外旋でも伸展でもなく肩関節の水平外転(腕を体の前から横後方へ開く動き)と説明しています。方向がずれているかどうかは、上体の角度と腕が通る面を見れば外から確認できます。
立位・座位・うつ伏せの3つの形
同じ動作を、上体の角度を誰が保つかで作り分けられます。
立位(ベントオーバー) — 股関節から上体を倒して自分で角度を保ちます。器具はダンベルだけで済む反面、疲れてくると上体が起き上がってきます
座位 — ベンチの端に座り、足を膝より前に置いて上体を太ももに預けます。角度が固定されやすくなりますが、体格や柔軟性によってはこの姿勢に入れないことがあります
ベンチにうつ伏せ — ベンチに胸を預けて寝る形です。上体を支える仕事がベンチ側に移り、反動も使いにくくなります。フラットが基本で、緩い傾斜をつける形も使われます
効かせるコツ|狙いから外れる2つの逃げ道をふさぐ
三角筋の後部は、自分の目で動きを見られない位置にあります。加えて、この種目の主動作である水平外転は、日常生活で強く力を出す場面が多い方向ではありません。感覚を頼りに「効いた」を判定しようとすると基準がぶれるので、外から確認できる条件から順に固定していきます。
1. 前傾が浅いと、狙いが中部へずれる
いちばん効くのがここです。ExRx.netはこの種目の注記として、「上体を45度に置くのは三角筋後部を狙うのに十分な角度ではない」と明記し、上体を床と平行に近づけるよう記載しています。同じ内容は座位版のページにも書かれています。
理由は方向にあります。上体が立っているほど、腕を横に開く動きは「真横に上げる」に近づきます。真横に上げる動きは三角筋の外側部が担当する方向で、StatPearlsの記述でも外側部は腕を15度から100度まで上げる動きに働くとされています。つまり前傾が浅いリアレイズは、フォームが悪いというよりサイドレイズに寄っていくわけです。
前傾は「深いほうが効く」ではなく、この種目が成立するための条件です。倒し切れないなら、重量を落とすか、座位・うつ伏せに切り替えて角度を確保するほうが早く揃います。
2. 肩甲骨を「寄せない」の本当の意味
もう1つの逃げ道が、肩甲骨を寄せる動きから始めてしまうことです。指導の場では「肩甲骨を寄せない」というキューが広く使われます。
ここで押さえておきたいのは、肩甲骨を寄せる筋はこの種目の協働筋として最初から組み込まれていることです。ExRx.netの分類では、主働筋が三角筋後部で、協働筋に僧帽筋の中部・下部、菱形筋、棘下筋、小円筋、三角筋の外側部が並びます。活動をゼロにすることはできません。
問題になるのは順番のほうです。肩甲骨を寄せる動きを先に出すと、動作がローイング(引く種目)に近づき、上腕を横へ開く動きが後回しになります。肩甲骨の位置を保ったまま上腕を開き、寄る分は結果として寄る、という順番にすると、狙いの方向が残ります。
肩がすくむ場合も同じ構図です。肩がすくむと動きが上方向に変わり、「上腕を体幹に対して垂直に保つ」という基準から外れます。
3. 肘の角度と高さを固定する
ExRx.netの手順は、肘について2つのことを書いています。1つは10〜30度の曲げを動作中ずっと保つこと。もう1つは肘を手首より高い位置に保ち、その方法として小指側を上げることです。
肘を伸ばしたり曲げたりしながら上げると、腕全体の長さが変わるので負荷のかかり方が毎回変わります。手首が先に上がる形も、腕を開く動きから外れます。この2つは動画を横から撮れば確認できるので、感覚ではなく映像で見たほうが早いところです。
4. 重量より先に「同じ条件で繰り返せるか」を確認する
前傾の角度、肘の角度、肘を上げる高さ。この3つが毎回変わっていると、重量を上げたのか条件が緩んだのかを後から切り分けられません。重量を1段階上げるのは、前回と同じ条件で目標回数を通せたときに限る、と先に決めておくと迷いません。
厚生労働省のe-ヘルスネットも、漸進性の原則を「体力・競技力の向上に伴って、運動の強さ・量・技術課題を次第に高めていくことです。いつまでも同じ強度の繰り返しではそれ以上の向上は望めません」と説明しています。上げ幅とタイミングまでは決められていないので、そこは自分の記録から判断することになります。
平均重量の目安|片手1個あたり・1RM換算
トレーニング記録の投稿サイト Strength Level は、ユーザーの申告記録をもとにレベル別の基準値を公開しています。ただし「リアレイズ」という項目名では登録されていません。同サイトでこの動作にあたるのは Dumbbell Reverse Fly で、別名として Rear Delt Fly・Bent Over Lateral Raise・Reverse Fly が登録されています。英語では同じ動作が複数の呼び名を持っていて、Wikipediaの項目も rear delt raise の別名として rear delt fly・reverse fly・rear lateral raise・bent-over lateral raise を挙げています。この対応を確認したうえで、以下の数値を使っています。
集計対象は222,440件のコミュニティ記録から17,684件の有効結果(男性15,434件・女性2,250件、2019年1月27日〜2026年3月5日)で、平均は男性17kg・女性10kg(いずれも1RM=1回だけ挙げられる重量)とされています。
| レベル | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 初心者 | 2 | 2 |
| 初級者 | 7 | 5 |
| 中級者 | 15 | 9 |
| 上級者 | 26 | 14 |
| エリート | 39 | 21 |
出典: Dumbbell Reverse Fly Standards/Strength Level(2026-08-08 確認)
※ 男性は体重70kg、女性は体重55kgの行を抜き出した値です。数字は1RM(1回だけ挙げられる重量)の推定値で、片手のダンベル1個あたり・シャフト約2kgを含みます。海外ユーザーの自己申告データにもとづく集計であり、日本の平均を示すものではありません。上体の角度が揃っていないため、前傾の深さによる差は反映されていません
この表を読むときの注意は2つあります。1つは片手1個あたりであること。中級者の15kgは、15kgのダンベルを両手に1つずつ持つという意味です。もう1つは1RMであること。10回続けるセットで使う重量は、ここから逆算します。
1RM計算機重量と回数から最大挙上重量を推定できます。Epley式・Brzycki式の両方と%1RM換算表つき(登録不要)そのうえで、この種目に関しては表の数字を目標にしないほうが実際的です。前傾の深さが揃っていない申告データなので、上体を起こして重い重量を扱った記録と、床と平行に近い姿勢で行った記録が同じ集計に入っています。Strength Level 自身、この種目を肩ではなく背中のカテゴリに分類しています。他人の数字より、同じ条件で残した自分の前回の記録のほうが基準として正確です。
サイドレイズとの違い|三角筋は前・中・後で担当が違う
三角筋は1つの筋肉ですが、前部・外側部・後部で担当する方向が分かれています。StatPearlsの記述では、それぞれの働きは次のように整理されています。
- 前部 — 大胸筋とともに、歩行時に腕を前へ振る動きに働く
- 外側部 — 腕を15度から100度まで上げる動きに働く
- 後部 — 広背筋とともに、歩行時に腕を後ろへ引く動きに働く
種目の対応もこの分かれ方に沿います。腕を真横に上げるサイドレイズは外側部、頭上へ押すショルダープレスは前部が主役になり、腕を横後方へ開くリアレイズが後部にあたります。前傾が浅いリアレイズがサイドレイズ寄りになるのは、腕が通る方向が外側部の担当範囲に近づくためです。
数字の面では、Strength Level の集計はサイドレイズとリアレイズで別々に行われているので、平均値どうしを並べて優劣を判断することはできません。サイドレイズ側の目安はサイドレイズの平均重量に、押す種目の目安はダンベルショルダープレスの平均重量にそれぞれまとめています。
記録に残すと、次の重量が決まる
この種目で記録として意味を持つのは、重量と回数だけではありません。前傾の角度・肘を上げた高さ・反動の有無という条件のほうが数字を左右します。同じ「8kg×12回」でも、上体が起きていた日と床と平行に近かった日では別の運動です。
とはいえ項目を増やすと続きません。実際的なのは、「立位」「座位」「ベンチ」のどれで行ったかと、崩れ始めた回数をひとことだけ残すことです。「10回目から上体が起きた」と1行あれば、次のセットの重量を決められます。記録する項目の決め方は筋トレ記録のつけ方完全ガイドにまとめています。
伸びているかどうかは、単発の重量ではなく推移で見ます。軽い重量の種目は1段階の刻みが大きく(2kgや2.5kg)、重量だけを見ていると横ばいに見える期間が長くなります。回数の伸びを含めて同じものさしに載せる方法は筋トレの成果を見える化する方法で整理しています。手で集計するのが負担なら、ジムの筋トレ記録アプリ比較で無料枠と料金を比べています。
まとめ
- リアレイズは、上体を前に倒した姿勢から腕を横後方へ開く種目。動作は肩関節の水平外転で、狙いは三角筋の後部
- 前傾は深さの好みではなく条件。上体45度では三角筋後部を狙う角度として不足とされていて、床と平行に近づけるのが基準
- 前傾が浅いままだと、腕の通る方向が外側部の担当範囲に近づき、サイドレイズ寄りの動きになる
- 肩甲骨を寄せる筋は協働筋として最初から入っている。目標は「寄せない」ではなく先に動かさない
- 肘は10〜30度で固定し、肘を手首より高く保つ(小指側を上げる)
- 平均は男性17kg・女性10kg(1RM)。体重70kgの男性・中級者で15kg、体重55kgの女性・中級者で9kg。いずれも片手1個あたり・シャフト約2kg込みの海外ユーザー申告データ
- 前傾の深さが揃っていない集計なので、表の数字は目標ではなく位置の確認に使う
- 記録には「立位・座位・ベンチのどれか」と「崩れ始めた回数」を1行だけ足す


