ジムに着いてから「今日は何をやろう」で10分溶ける。この状態を解決するアプリは、いまはいくつもあります。ただしメニューの作られ方はアプリごとに違い、大きく3タイプに分かれます。条件を入力すると組み上がるタイプ、自分の記録を読んで提案するタイプ、あらかじめ用意されたプログラムから選ぶタイプです。この違いが「初日から使えるか」「使うほど自分に合ってくるか」を決めます。この記事では主要アプリがどのタイプなのかを公開情報から並べ、AIの提案が実際にどう返ってくるかまで見ていきます。

メニューを考えてくれるアプリは3タイプに分かれる

同じ「メニューを提案してくれる」でも、何を材料にしているかが違います。

タイプ1:条件を入力すると組み上がる

目標・頻度・使える器具・鍛えたい部位といった質問に答えると、その条件に合うプログラムが出てくる方式です。初回起動の日から使えるのが最大の利点で、記録がゼロでも成立します。

材料が「あなたが自己申告した条件」なので、実際に何キロ挙がるかまでは初期状態では織り込まれません。そのぶん、多くのアプリが後から重量の伸ばし方を案内する仕組みを別に持っています。

タイプ2:記録の蓄積を読んで提案する

過去のワークアウトを材料にして、その都度メニューを作る方式です。前回の重量、鍛えていない部位、空いた日数といった情報が提案に入るので、使うほど自分の数字に寄っていきます

弱点は逆側にあります。記録が溜まるまでは材料が足りず、提案は一般論に近づきます。始めた当日にメニューが欲しい人には、この立ち上がりの遅さが不満になります。

タイプ3:用意されたプログラムから選ぶ

コーチや運営があらかじめ組んだプログラム(5x5、PPL、分割法など)を選び、その通りに進める方式です。中身が固定されているぶん内容の質が読めるのと、何週間先まで何をやるかが決まっているので迷いが起きません。

そのかわり、自分の弱点や当日の調子に合わせて中身が変わることはありません。プログラム側に自分を合わせにいく使い方になります。

主要アプリの提案の作られ方

公開されている説明とヘルプから、日本のApp Storeで配信されている6本を並べます。材料は各社の公式掲載に限り、書かれていないことは「確認できなかった」としています。

メニュー提案の方式と無料で使える範囲(2026年8月7日時点)
アプリ提案の作られ方自分の記録が反映されるか無料で使える範囲
Gymworkタイプ1+3。目標・頻度・鍛えたい部位を入力するとAIがプログラムを自動作成。プロ選手やコーチのプログラム配信もある重量・回数の提案は「過去の筋トレログをもとに」と説明。RPEを入れると次回の提案が精密になるとも記載記録とカスタムルーティンは無料。プログラム配信はPRO中心
Hevyタイプ1。10項目の質問(目標・経験・体格・器具・頻度・1回の時間・重点部位など)に答えるとプログラムを生成「プログレッシブオーバーロード」として、進歩に応じた重量の増やし方を案内すると説明プログラム作成(Hevy Trainer)はPro専用。無料はルーティン4つまで
Fitbodタイプ1。目標・レベル・使える器具に合わせてワークアウトを自動生成すると説明「提案への編集から学習する」「進捗に合わせる」と説明。どこまで記録を使うかは公開情報からは確認できなかった無料で使える範囲は公開情報からは確認できなかった。App内課金は月額¥1,400/¥2,500、年額¥8,800/¥15,000の表示
バーンフィットタイプ3が中心。「自分でメニューを組まなくてもプログラムが用意されている」と記載。ルーティンの自作も可能AI週間レポートは「運動と食事の記録に基づいて」分析すると説明。メニュー生成への反映は公開情報からは確認できなかったワークアウトの記録は無料。過去記録の呼び出しなどはPRO
筋トレMemo掲載の機能一覧にメニュー提案の記載はない。前回からの履歴コピーで同じ内容を繰り返す形無料。買い切り¥500で広告が消える
LiftLogタイプ2。質問のたびに直近の記録とプロフィールをAIに渡し、その場でメニューを組む。ワークアウト中も相談できる直近30日のワークアウト数、直近90日の種目別最大重量、直近14日の履歴をそのまま渡している主要機能は無料・App内課金なし。ただしAIとのやりとりは1日10往復まで

Gymwork・Fitbod・バーンフィット・筋トレMemoは各App Storeの掲載、HevyはHevyヘルプセンターの記述に基づく(いずれも2026-08-07 閲覧)。LiftLog側は開発者による記述。金額と機能は変わるため、購入前にアプリ内の表示を確認してください

表で分かるのは、「AI」という言葉と方式は一致しないということです。Hevyのプログラム作成機能はヘルプで「私たちのプログラムはアルゴリズムによって生成されており、AIを使ってユーザーごとにプログラムを作成しているわけではありません」と明記されています。質問に答えると条件に合う構成が組み上がる仕組み、という理解が正確です。逆に、AIと名前が付いていても中身が食事の写真判定である場合もあります(バーンフィットのAIレンズがこれにあたります)。

もう1つ、条件入力型でも重量については記録を見にいくアプリが多い点も押さえておいてください。Gymworkは「過去の筋トレログをもとに最適な負荷を提案」と書いていますし、HevyもProgressive Overloadとして重量の増やし方を案内すると説明しています。「条件入力型は記録を見ない」わけではありません。 違いは、メニューの骨格を決めるときに何を材料にしているかです。

各アプリの詳細は個別の記事にまとめてあります。

AIの提案は実際にどう返ってくるか

記録を読んで提案するタイプが具体的に何をしているのか、LiftLogを例に中身を開けます。

「今日のメニューを提案して」を押すと、AIには質問文だけでなく次のデータが毎回まとめて渡ります。

  • プロフィール(年齢・性別・身長・基礎代謝・週あたりの頻度・トレーニング環境・目標体重や体脂肪率との差)
  • 直近30日のワークアウト数と、最後にトレーニングした日
  • 直近90日でよく使った種目の最大重量、上位10件(ウォームアップのセットは除外)
  • 直近14日のトレーニング履歴(日付・種目・重量×回数。ドロップセットやフェイラーの注記つき)
  • 直近の体重・体脂肪率と、過去のAIフィードバック5件

返ってくるのは自由な文章ではなく、実装であらかじめ形を決めたデータです。AIには次の5項目を必ず埋めさせています。

  1. ワークアウト名
  2. 種目名(アプリに登録済みの種目一覧から完全一致で選ばせる。一覧にない種目名は使わせない)
  3. 各セットの重量と回数
  4. 種目ごとのレスト時間(秒単位。上限は120秒)
  5. ひとことメモ(「前回比+2.5kg」のように、その重量にした理由を添える欄)

この5項目がそのままカードとして表示されます。種目名の下に「60kg × 8rep」、その下に「レスト 1分30秒」とメモが並ぶ形です。カードの「ワークアウトを開始」を押すと、この内容が入った状態で記録画面が開きます。「テンプレートに追加」を選べば次回以降も呼び出せます。

LiftLogのAIトレーナー画面。メニューの相談に対してAIが具体的な種目・セット数を提案し、入力欄の上に定型質問のボタンが並んでいる
LiftLog AIトレーナー画面AIトレーナーの画面。入力欄の上は「今日のメニューを提案して」などの定型質問(表示しているのはサンプルデータで、実際の回答内容ではありません)2026-07-12 撮影)

数値の決め方にも実装側で方針を置いています。目標が筋肥大寄りなら6〜12レップ、減量寄りなら12〜20レップ、健康維持なら10〜15レップというようにレップ数と休憩時間を変え、重量は直近90日の最大重量を基準に換算します(筋肥大なら最大重量の70〜85%、高レップ系なら50〜65%が目安)。レスト時間は上限120秒までです。初回セットアップでトレーニング環境を「自宅メイン」にしていれば、バーベル・マシン・ケーブル種目は提案から外れ、自重とダンベルの種目だけが出ます。

この作りの弱点もはっきりしています。 直近90日の最大重量が空なら、換算の基準そのものがありません。記録が少ないうちは、プロフィールから組んだ一般的なメニューに近づきます。使い方の詳細はLiftLogの使い方|初回設定からAI提案までにまとめてあります。

提案された重量が自分の感覚と合っているか確かめたいときは、推定1RMを自分で計算してみると判断しやすくなります。

1RM計算機Epley式とBrzycki式の両方で最大挙上重量を推定できます。%1RM換算表と式の出典つき

どのタイプを選べばいいか

条件で分けると、次のようになります。

今日ジムに行くのに何も決まっていない → 条件入力型(タイプ1) 記録がゼロでも成立するのはこのタイプだけです。GymworkやHevy Trainerのように、質問に答えれば当日から使えます。

記録は溜まっているのに、重量の上げどきが分からない → 記録を読む型(タイプ2) 前回から重量が動いていない、鍛えていない部位がある、といった状態を材料にできるのは記録を見ているアプリです。LiftLogはワークアウト中に「重すぎる」「軽すぎる」「種目を変えたい」をワンタップで送ると、変更案のカードが返り、適用すると次のセットの重量や種目が書き換わります。

フォームから知りたい、何をやるかを長期で任せたい → プログラム選択型(タイプ3) Gymworkのプロ選手・コーチのプログラム配信や、バーンフィットの用意されたプログラムが当てはまります。実演動画があるアプリなら、初めてのマシンでも動きを確認しながら進められます。

メニューはもう決まっている → 提案機能で選ばない この場合は記録の速さで選ぶほうが満足度が高くなります。筋トレMemoのように提案機能を持たないアプリでも、前回の履歴コピーで十分回ります。アプリごとの記録の速さはHevyとStrongを徹底比較でも触れています。

使う前に知っておきたい3つの制約

1つ目は、回数や有料枠の制限です。 LiftLogのAIとのやりとりは1日10往復まで(ワークアウト中の相談は別枠で1回のワークアウトあたり10往復)で、使い放題ではありません。Hevy Trainerはプログラム作成そのものがPro専用で、FitbodにもApp内課金として月額・年額が掲載されています。この点はLiftLogが胸を張れる部分ではなく、毎日何度も相談したい人には上限が先に来ます。

2つ目は、提案が実行に移せるかです。 提案を読むだけで終わるのか、そのまま記録に入れられるのかで手間がまったく違います。カードから記録を開始できるか、テンプレートとして保存できるかは、無料の範囲で一度通して確かめられます。

3つ目は、提案に使える種目の範囲です。 LiftLogは登録済みの種目一覧から選ばせる作りなので、一覧にない種目は提案に出てきません(ジム固有のマシンはカスタム種目として自分で追加できます)。実演動画つきで種目を教えてほしい場合は、動画を持つアプリのほうが向いています。

なお、どのタイプを選んでも、提案されるのは条件と記録から組み立てた計画であって医学的な処方ではありません。筋トレ(レジスタンス運動)そのものの考え方は厚生労働省 e-ヘルスネットも参考になります。きつさの感覚を数値で残しておくと、次回の重量を決める材料が増えます。

RPE換算計算機RPEと回数から1RMを推定し、次のセットの目標重量まで計算できます(登録不要)

まとめ

  • メニューを考えてくれるアプリは、条件入力型・記録を読む型・プログラム選択型の3タイプに分かれる
  • 条件入力型は初日から使えるが、骨格を決める材料は自己申告の条件。記録を読む型は使うほど寄ってくるが、最初の2〜3週間は一般論に近い
  • 「AI」の表記と方式は一致しない。Hevyはヘルプで「アルゴリズムであってAIではない」と明記している
  • 条件入力型でも重量については記録を見にいくアプリが多い。GymworkもHevyも過去の実績に応じた負荷を案内すると説明している
  • 選ぶ前に、回数・有料枠の制限、提案から記録に入れる導線、提案に使える種目の範囲の3つを無料の範囲で確かめる

今日ジムに行くのに何も決まっていないなら条件入力型を、記録は溜まっているのに次の重量で迷っているなら記録を読む型を試してください。どちらも無料の範囲で挙動を確認できるので、判断は実際の画面で下すのが確実です。