「ヘルスケア連携あり」と書かれていても、実際に何が同期されるかはアプリごとにばらばらです。決まるのは方向(アプリから書き出すのか、ヘルスケアから読み込むのか)と、項目(ワークアウト・消費カロリー・体重・体脂肪率・食事の栄養)の2つで、この2つが噛み合わないと「連携したのに欲しい数字が入ってこない」という結果になります。
この記事では、筋トレ記録アプリのヘルスケア連携を項目単位で並べます。事実は各アプリの公式ヘルプとストアの掲載(いずれも2026年8月8日確認)に限り、確認が取れなかった項目は「公開情報からは確認できなかった」と書いています。
「ヘルスケア連携」を3つに分けて見る
連携の可否を1文字で表した表では選べません。見るべきは次の3つです。
- 書き出す項目 — アプリの記録がヘルスケア側に残るか。ワークアウト、消費カロリー、体重、体脂肪率でそれぞれ扱いが違います
- 読み込む項目 — ヘルスケア側の数字がアプリに入ってくるか。体重計アプリの体重、食事記録アプリのカロリーとPFCが対象です
- iOSとAndroidの差 — iPhoneはヘルスケア(HealthKit)、AndroidはHealth Connectという別々の仕組みで、同じアプリでも対応項目がずれることがあります
たとえば「体重計で測った値を筋トレアプリでも見たい」なら必要なのは読み込みで、「筋トレをアクティビティリングに反映したい」なら必要なのは消費カロリーの書き出しです。求めるものが逆なら、連携をオンにしても何も変わりません。
取り上げるのは、公式ヘルプまたはストアの説明文にヘルスケア連携の記載があるLiftLog・Hevy・Strongの3本です。
連携項目の一覧
| 連携する項目 | LiftLog | Hevy | Strong |
|---|---|---|---|
| ワークアウトの書き出し | ○(筋力トレーニングとして時間帯を記録) | ○(Strength Trainingとして記録) | ○(ヘルスケア側で確認できると記載) |
| 消費カロリーの書き出し | ×(値を付けていない) | ○(概算値を一緒に送ると記載) | 記載は確認できず(Watch利用時はリングに反映と記載) |
| 体重・体脂肪率の書き出し | ○(当日7:00 JSTの記録として) | 公開情報からは確認できず | ○(同期できると記載・方向の明記はなし) |
| 体重・体脂肪率の読み込み | △(iOSのみ。Androidは書き出しのみ) | 公開情報からは確認できず | ○(同期できると記載・方向の明記はなし) |
| 食事の栄養の読み込み | ○(カロリー・タンパク質・炭水化物・脂質) | 公開情報からは確認できず | ○(摂取カロリーと炭水化物・脂質・タンパク質) |
| 心拍数 | ×(非対応) | Apple Watchで記録と記載 | Apple Watchで記録と記載 |
| Android(Health Connect) | ○(読み込みは栄養のみ) | ○ | ○(6.0で対応・公開ベータと記載) |
※ 出典は各アプリの公式ヘルプおよび App Store / Google Play 日本ストアの掲載(いずれも 2026-08-08 閲覧)。「確認できず」は公開されている情報に記載を見つけられなかったという意味で、機能が無いことを示すものではありません。LiftLog の項目はアプリの実装で確認した内容です。仕様は更新で変わります
書き出す側:ワークアウトと消費カロリー
書き出しでいちばん差が出るのは、ワークアウトそのものではなく消費カロリーを付けるかどうかです。
Hevy はApp Storeの説明の機能一覧に「HealthKitとCareKitを使えば、HevyでのトレーニングをHealthアプリにエクスポート。この機能は設定でオンにできます。」と記載しています。公式ヘルプはさらに踏み込んでいて、完了したワークアウトは消費カロリーの大まかな推定値とともにヘルスケアへ送られ、Hevyからのワークアウトは「Strength Training」としてのみ記録されると説明しています。同じページに、Apple Watchと同期している場合はHevyに表示される消費カロリーがヘルスケア側で計算された値になるとも書かれています。使い方全体はHevyの使い方完全ガイドにまとめています。
Strong は公式ヘルプの「ヘルスケアと同期する理由」として、栄養情報の出し入れ、体重と体脂肪率の記録、そしてStrongの外でワークアウトを見られること(Apple Watchを使っている場合はアクティビティリングを含む)の3点を挙げています。消費カロリーの値をStrong側から書き出すかどうかは、この記述だけでは確認できませんでした。詳しくはStrongアプリの使い方にまとめています。
LiftLog は、ワークアウトを終了して保存が済んだ時点で、そのワークアウトをヘルスケアに書き出します。書き出すのは開始時刻・終了時刻と、筋力トレーニングという種別で、消費カロリーの値は付けていません。ここは他の2本に届いていないところで、アクティビティリングを筋トレで埋めたい人の期待には応えられません。
もうひとつ、3本に共通する前提があります。ヘルスケアに残るワークアウトには、種目名も重量もレップ数も入りません。 ヘルスケアやHealth Connectの「ワークアウト」は時間帯と種別を持つ枠組みなので、セット単位の中身はアプリの側にしか残らないという構造です。「今週どれだけ運動したか」はヘルスケアで、「何キロ挙がるようになったか」は記録アプリで見ることになります。
1RM計算機(%1RM換算表つき)ヘルスケアには残らない「どれだけ強くなったか」を、重量と回数から推定できます(登録不要)読み込む側:体重と食事の栄養
読み込みは、二重入力をなくすための機能です。体重計アプリや食事記録アプリがすでにヘルスケアへ書いている数字を、筋トレアプリ側が拾いにいきます。
LiftLog はiOSで、体重・体脂肪率と、摂取カロリー・タンパク質・炭水化物・脂質の4項目を読み込みます。体重と体脂肪率は書き出しもするので双方向で、ヘルスケアで測った値がアプリに入り、アプリで記録した値がヘルスケアに出ます。栄養の4項目は読み込み専用で、あすけんのような食事記録アプリがヘルスケアに書いた数値がそのままアプリの栄養の集計に反映されます。取り込みはバックグラウンドでも動くので、ヘルスケア側が更新されると自動で入ってきます。
Strong は公式ヘルプで、体重・体脂肪率・摂取カロリーの3つがApple ヘルスケアと同期できると案内しています。栄養については別のヘルプ記事があり、Apple ヘルスケアに対応した食事記録アプリから炭水化物・脂質・タンパク質を取り込める、総カロリーもヘルスケアかGoogle Fit経由での取り込みを勧める、と書かれています。読み込む項目という意味では、LiftLogとほぼ同じ範囲です。なお部位サイズ(首・胸・上腕など15項目)はStrong PRO限定なので、無料の範囲で同期できるのは体重・体脂肪率・摂取カロリーの3つになります。
Hevy については、ヘルスケアから何かを読み込むという説明を公開情報の中に見つけられませんでした。公式ヘルプのMyFitnessPal連携の記事も、ヘルスケアやHealth Connectを「仲介役」としてHevyから受け取ったデータをMyFitnessPalへ渡す流れとして説明しています。
iOSのヘルスケアとAndroidのHealth Connectは別物
「Androidでも同じように使える」とは限りません。Health Connectは、Androidで健康・フィットネスアプリ同士のデータをやりとりするための仕組みで、Android SDK 28(Android 9)以降に対応しています。iPhoneのヘルスケアとは別の実装なので、アプリ側も別々に作る必要があり、そこで項目の差が生まれます。
LiftLog のAndroid版は、ワークアウト・体重・体脂肪率をHealth Connectへ書き出し、読み込むのは栄養の4項目だけです。iOS版にある体重・体脂肪率の読み込みには対応していません。体重計アプリの数値をLiftLogに取り込みたい場合、現時点でそれができるのはiPhoneだけ、ということになります。
取り込みのタイミングも違います。iOSはヘルスケア側が更新されると自動で反映されますが、Androidは設定画面の「今すぐ同期」か「過去の履歴をすべて取り込む」を押したときと、連携した直後に取り込みが走ります。放っておいて勝手に増えるわけではないので、月に一度まとめて押す程度の運用になります。
Strong のAndroid版については、公式ヘルプが「Strong 6.0はHealth Connectに対応しており、現在は公開ベータで提供している」と案内しています(ページの最終更新表示は2024年11月21日)。Hevy は公式ヘルプにHealth Connectの独立したセクションがあり、Health Connect経由でGoogle FitやMyFitnessPalへデータを渡す手順が用意されています。
目的別の結論
やりたいことから逆に選ぶと早いです。
- 体重を1か所で管理したい(体重計アプリの数値を筋トレアプリでも見たい) → LiftLog(iPhone)かStrong。どちらも体重・体脂肪率をヘルスケアと同期できます。AndroidでLiftLogを使う場合、体重の読み込みには対応していません
- 筋トレを消費カロリーとしてアクティビティリングに反映したい → Hevy。消費カロリーの概算値を付けて書き出すと公式ヘルプに記載があります。StrongもApple Watch利用時のリング反映に触れています。LiftLogはこの用途に向きません
- 食事記録アプリのカロリーとPFCを持ち込みたい → LiftLogかStrong。どちらもヘルスケア対応の食事アプリから栄養を読み込めます。LiftLogはAndroidでも読み込めます
- 心拍数も一緒に残したい → HevyかStrong。どちらもApple Watchでの心拍数の記録に触れています。LiftLogは非対応です
- ワークアウトを他のアプリやサービスへ渡したい → Hevy。ヘルスケアとHealth Connectを仲介役にしてMyFitnessPalやGoogle Fitへ渡す手順が公式に用意されています
- とりあえず記録がヘルスケアに残ればいい → 3本ともできます。この条件なら連携以外の使い勝手で選んで問題ありません
ひとことでまとめると、書き出したいのか読み込みたいのかで答えが変わります。カロリーを外に出したいならHevy寄り、体重と食事を中に入れたいならLiftLogかStrong寄り、という分かれ方です。
LiftLogの連携でできること・できないこと
範囲をそのまま書きます。
できること
- ワークアウトを筋力トレーニングとしてヘルスケア/Health Connectに書き出す(開始・終了の時刻と種別)
- 体重・体脂肪率を書き出す(当日7:00 JSTの記録として。編集すると書き出し済みの値も差し替わります)
- 体重・体脂肪率を読み込む(iOSのみ。ヘルスケア側で測った値がアプリの記録に入ります)
- 摂取カロリー・タンパク質・炭水化物・脂質を読み込む(iOS・Androidとも。1日単位で合算されます)
- 連携をオンにしたあとで過去分をまとめて取り込む(設定の「過去の履歴をすべて取り込む」)
できないこと
- 消費カロリー(アクティブエネルギー)の書き出し
- 心拍数の記録・読み込み
- Androidでの体重・体脂肪率の読み込み
- 部位サイズ(周径6か所)の同期
- ヘルスケア側にあるワークアウトの読み込み(他アプリで記録した筋トレはLiftLogには入りません)
- アプリ側で計測値を削除したときに、書き出し済みのサンプルまで消すこと(ヘルスケア側に残るため、不要なら健康アプリの画面で消す必要があります)
連携の設定は、初回セットアップの「ヘルスケア連携」か、設定タブの「Apple ヘルスケアと同期」(Androidは「Health Connect と同期」)から切り替えます。オフのままでも記録・AI提案・グラフはすべて使えます。アプリ全体の使い方はLiftLogの使い方にまとめています。
まとめ
- 「ヘルスケア連携あり」だけでは選べない。見るのは方向(書き出す/読み込む)と項目(ワークアウト・消費カロリー・体重・体脂肪率・栄養)
- 消費カロリーを書き出すと公式に説明しているのはHevy。LiftLogは時間帯だけを書き出し、カロリーの値は付けていない
- 体重と食事の栄養を読み込むのはLiftLogとStrong。Hevyの読み込み項目は公開情報からは確認できなかった
- iOSとAndroidは別物。LiftLogは体重の読み込みがiOSのみで、Androidの取り込みは手動操作が起点になる
- ヘルスケアに残るワークアウトに重量とレップは入らない。伸びの確認は記録アプリ側で行う
連携は設定を1つオンにするだけなので、迷ったら無料の範囲で入れて、1回ワークアウトを保存してからヘルスケアを開くのがいちばん早いです。欲しい数字が入っているかどうかは、そこで分かります。
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