10RMは「10回」ではなく「10回で限界がくる重量」です。RMは重量に付ける単位で、数字の部分がその重量で挙がる限界回数を表します。1RMはその数字が1、つまり1回で限界の重量です。この記事はRMという単位の読み方と使い方だけを扱い、◯kgを◯回から1RMを出す計算式は1RMの計算式まとめ、回数と%1RMの対応表は1RM換算表にまとめてあります。

RMとは|重量に付ける単位で、数字は「限界回数」

RMはRepetition Maximum(レペティション・マキシマム)の略で、日本語では「最大反復回数」と訳されることがあります。ベンチプレス60kgが10回で限界なら、その60kgが10RMです。数字が表しているのは回数ですが、単位が付く先は重量だという点が、RMという言葉のいちばんの引っかかりどころです。

「最大反復回数」という訳語が回数に見える

「最大反復回数」という訳語だけを見ると、RMは回数を指す言葉のように読めます。ただし、実際に指定しているのは重量です。アメリカスポーツ医学会(ACSM)が2009年に出したポジションスタンドは、初心者向けの負荷設定を「it is recommended that loads correspond to a repetition range of an 8-12 repetition maximum (RM)」と書いています。主語はloads、つまり複数の重量で、RMはその重量に付く条件として使われています。

「10RMで10回」と「10回できる重量を探す」は同じことではない

「10RMだから10回で止める」という理解は、決められた回数をこなす話に見えます。実際の10RMは11回目が挙がらない重量のことなので、先に決まっているのは回数ではなく重量の側です。何kgかは、その重量で試して初めてわかります。

上げ幅の決め方も、先のACSMの一文がそのまま書いています。「When training at a specific RM load, it is recommended that 2-10% increase in load be applied when the individual can perform the current workload for one to two repetitions over the desired number」——狙った回数より1〜2回多くできるようになったら、負荷を2〜10%上げるという内容です。裏を返すと、10RMのつもりで扱っている重量で12回挙がるようになった時点で、その重量はもう10RMではありません。上げ幅の刻み方や、上げたあとに回数が落ちたときの扱いは重量を上げるタイミングにまとめています。

1RM・%1RMとの関係|同じ単位の数字違いと、相対表記

1RMはRMの数字が1のとき、つまり1回で限界の重量です。RMはkgで表す絶対値、%1RMはその1RMを100%とした相対値という違いがあります。

目的別の負荷は、この2つの書き方が両方とも使われています。先のACSMは初心者向けを「8-12 repetition maximum (RM)」、上級者向けを「a wider loading range from 1 to 12 RM ... with eventual emphasis on heavy loading (1-6 RM)」とRMで指定します。一方、厚生労働省のe-ヘルスネットは「マシンを使用する場合は最大挙上重量の60~80%の重さを8~12回繰り返し、大きな筋群をまんべんなく鍛えることが推奨されています」と、%とRMを1文の中で併記しています。同じ負荷を、単位を変えて書いているだけです。

「10RM=75%」が目安どまりな理由

「10RMは1RMの75%」という対応はよく見かけますが、この数字は種目差と個人差で動きます。Reynoldsら(2006)が18〜69歳の70名にバーベルベンチプレスとレッグプレスの1RM・5RM・10RM・20RMを実測させたところ、10回できた重量はベンチプレスで1RMの75.65%、レッグプレスで70.10%でした。同じ10回でも、種目が違えば5ポイント以上離れます。

個人差の側にも報告があります。Zourdosら(2016)はバックスクワットで29名を対象に測定し、「the traditional recommendations allow for 10 repetitions at 75%, whereas our data indicate 5–7+ repetitions could be performed」と書いています。従来「75%で10回」とされてきた負荷で、この集団では5〜7回以上できたということです。バックスクワット・29名という条件つきの結果なので、そのまま別の種目や別の人に当てはめることはできません。

回数ごとの%1RMを全部見たい場合は1RM換算表、その%をどの式で出しているかは1RMの計算式まとめにまとめてあります。

RMで書ける記録・書けない記録|RPE指定との違い

RMは限界まで挙げたという条件を含んだ単位です。ここまでの定義から導けることとして、余力を2回残して10回で止めたセットは10RMではありません。追い込みが足りない日の記録をRMで書くと、実力より軽い数字になります。

余力の量そのものを記録したい場合は、RMではなく「あと何回いけたか」を数値化する書き方になります。目安の一覧と使い方はRPEとはにまとめました。

記録にはどう残すか|「10RM」ではなく「重量×回数」で残す

「今日は10RMだった」というRM表記だけの記録は、あとから使えません。何kgだったかが残らないためです。記録に残すのは重量と回数、そして限界まで行ったかどうかの3つで、これは記録のつけ方が挙げる最小構成にそのまま乗ります。

アプリの「推定1RM」という表示も、RMの一種ではなく1RMへの換算です。LiftLogは、ウォームアップを除く完了セットをEpley式で1本ずつ1RMに換算し、そのなかの最大値を推定1RMとして表示します。10回のセットでも5回のセットでも同じ1RMという軸に乗るので、RMを実測しなくても月をまたいだ比較ができます。裏を返すと、余力を残したセットまで計算に含めているわけではないので、追い込みが浅い日が続くと推定1RMも低めに出ます。

1RM計算機重量と回数から最大挙上重量を推定できます。Epley式・Brzycki式の両方と%1RM換算表つき(登録不要)

まとめ

  • RMは重量に付く単位。10RMは10回という回数ではなく、10回で限界がくる重量を指す
  • ACSMのポジションスタンド(2009年)は「loads correspond to ... repetition maximum (RM)」と書いており、RMは重量側の言葉
  • 10RMのつもりの重量で狙った回数より1〜2回多く挙がるようになったら、その重量はもう10RMではない
  • 「10RM=75%」は目安。実測ではベンチプレス75.65%・レッグプレス70.10%、集団によっては75%で5〜7回以上できたという報告もある
  • RMは限界まで挙げた前提の単位。余力を残したセットはRMで書けず、RPE/RIRの出番になる