ベンチプレスの平均重量は、トレーニング記録サービスのStrength Levelの集計で男性96kg・女性51kgです。この数字には条件が2つ付いています。バー(通常20kg)を含んだ合計重量であること、そして1回だけ挙げられる最大重量(1RM)として集計されていることです。10回続けられる重量に直すと、男性が約72kg・女性が約38kgという換算になります。日本語の記事でよく見る「男性40kg」という数字は、これとは測っている対象が違う数字です。
- 主に効く部位
- 大胸筋三角筋前部・上腕三頭筋も動員
- 器具
- バーベルフラットベンチとラック
- 重量の数え方
- バー込みの合計プレートだけではない
- 女性の平均
- 51kgバー込み・1RM
- 男性の平均
- 96kgバー込み・1RM(Strength Level)(推定)
ベンチプレスの平均重量|男女別・レベル別
まず全体の分布から確認します。次の表は、トレーニング記録サービスのStrength Levelが公開しているレベル別の重量です。
| レベル | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 初心者(Beginner) | 49 | 19 |
| 初級者(Novice) | 70 | 33 |
| 中級者(Intermediate) | 96 | 51 |
| 上級者(Advanced) | 127 | 72 |
| エリート(Elite) | 160 | 97 |
出典: Bench Press Standards (kg)/Strength Level(2026-08-11 確認)
※ 海外の記録サービスに投稿された自己申告データです。記録を投稿する利用者の中での分布であり、ジムに通う人全体や日本人の平均ではありません。有効記録10,923,537件(総投稿48,718,584件・男性9,906,475件/女性1,017,062件・2015年3月22日〜2026年3月10日)で、数値はバー(通常20kg)を含む合計重量、1RM基準です
レベルの区切りは投稿された記録の中での順位で決まっています。Strength Levelの定義では、初心者は下位5%より強い水準、初級者は20%、中級者は50%、上級者は80%、エリートは95%より強い水準を指します。初級者は6か月以上、中級者は2年以上、上級者は5年超の継続が経験年数の目安として併記されています。中級者がちょうど真ん中なので、一般に「平均」として引用されるのはこの中級者の値です。
この集計のもとになっているのは、2015年3月22日から2026年3月10日までに投稿された48,718,584件から絞り込まれた有効記録10,923,537件(男性9,906,475件・女性1,017,062件)です。件数は多いものの、記録サービスに自分の重量を投稿する人の分布であることは動きません。
数字は「バー込みの合計重量」
Strength Levelは表の下に「Barbell weights include the weight of the bar, normally 20 kg / 44 lb.」と書いていて、バー(通常20kg)を含む合計重量であることを明示しています。男性の平均96kgは、20kgのバーに合計76kg分のプレートを付けた状態です。
この点は同じサイトのダンベル種目と数え方が違います。ダンベルプレスとベンチプレスの違いで扱っているダンベル種目では、集計値はダンベル1個あたりの重量で、両手の合計ではありません。バーベル種目は合計、ダンベル種目は片手あたり。媒体をまたいで数字を比べるときは、まずここをそろえてください。
体重別の目安
同じ性別でも体重が違えば挙がる重量は変わります。Strength Levelは体重別の表も公開しています。
| 体重(男性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 50kg | 27 | 41 | 58 | 78 | 101 |
| 55kg | 32 | 47 | 65 | 87 | 110 |
| 60kg | 37 | 53 | 72 | 95 | 119 |
| 65kg | 42 | 59 | 79 | 102 | 128 |
| 70kg | 47 | 64 | 85 | 110 | 136 |
| 75kg | 51 | 70 | 92 | 117 | 144 |
| 80kg | 56 | 75 | 98 | 124 | 151 |
| 85kg | 60 | 80 | 104 | 130 | 158 |
| 90kg | 65 | 85 | 109 | 137 | 165 |
| 体重(女性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 40kg | 10 | 19 | 33 | 49 | 68 |
| 45kg | 12 | 22 | 36 | 54 | 74 |
| 50kg | 14 | 25 | 40 | 58 | 79 |
| 55kg | 17 | 28 | 44 | 62 | 84 |
| 60kg | 19 | 31 | 47 | 66 | 88 |
| 65kg | 21 | 33 | 50 | 70 | 92 |
| 70kg | 22 | 36 | 53 | 74 | 96 |
| 75kg | 24 | 38 | 56 | 77 | 100 |
| 80kg | 26 | 40 | 59 | 80 | 104 |
いずれもバー込みの1RM(kg)です。元データは男性140kg・女性120kgまで公開されていて、この表はその一部を抜き出したものです。体重70kgの男性が中級者の水準を狙うなら85kg前後、体重55kgの女性なら44kg前後という計算になります。
年齢別の目安
年齢によっても分布は変わります。ピークは25〜40歳の横ばいの期間で、そこから10年ごとに下がっていきます。
| 年齢(男性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 20歳 | 47 | 68 | 94 | 124 | 156 |
| 25〜40歳 | 49 | 70 | 96 | 127 | 160 |
| 50歳 | 43 | 62 | 85 | 112 | 142 |
| 60歳 | 36 | 52 | 72 | 95 | 120 |
| 70歳 | 29 | 42 | 59 | 77 | 97 |
| 年齢(女性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 20歳 | 19 | 32 | 49 | 70 | 94 |
| 25〜40歳 | 19 | 33 | 51 | 72 | 97 |
| 50歳 | 17 | 29 | 45 | 64 | 86 |
| 60歳 | 14 | 24 | 38 | 54 | 72 |
| 70歳 | 12 | 20 | 31 | 44 | 59 |
この年齢別の表は同じ人を追跡した記録ではなく、その年齢で記録を投稿している人たちの分布です。加齢にともなう変化そのものを示すものではありません。
デクラインベンチプレスの平均重量
デクラインベンチプレスにも独立した集計があります。平均は男性105kg・女性54kg(バー込みの1RM)です。
| レベル | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 初心者(Beginner) | 52 | 20 |
| 初級者(Novice) | 76 | 35 |
| 中級者(Intermediate) | 105 | 54 |
| 上級者(Advanced) | 140 | 79 |
| エリート(Elite) | 178 | 106 |
出典: Decline Bench Press Standards (kg)/Strength Level(2026-08-11 確認)
※ 海外の記録サービスに投稿された自己申告データです。有効記録58,440件(総投稿333,184件・男性55,333件/女性3,107件・2017年8月18日〜2026年3月5日)で、フラットの有効記録10,923,537件と比べると規模は約187分の1、期間も異なります。数値はバー(通常20kg)を含む合計重量、1RM基準です
フラットの数値と比べると、デクラインは全レベルでフラットを上回ります。当方で計算すると、男性は106〜111%、女性は105〜110%です。インクラインベンチプレスの平均重量で確認したとおりインクラインはフラットの88〜90%(男性)なので、デクライン>フラット>インクラインの順に重量が並びます。
ただし重い重量が挙がることと、胸の下側がより働くことは別の話です。競技ボディビルダー10名を対象に80%1RMで比較した研究では、大胸筋の胸肋部(下側)の筋活動はデクラインとフラットで同程度で、どちらもインクラインより高いという結果でした。デクラインに変えれば下側の刺激が増える、とは言えません。
デクラインの有効記録は58,440件で、フラット(10,923,537件)の約187分の1です。期間も2017年8月から2026年3月までとフラットより短く、同じ人が両方を測った差ではありません。
「平均40kg」と「平均96kg」の差は母集団の違い
日本語圏で流通している「男性40kg」という数字の出どころをたどると、筋トレを定期的に行ったことのない大学1年生を対象にした研究に行き着きます。被験者は男性67名(体重61±8kg)・女性36名(体重51±4kg)でした。
この研究のベンチプレス1RMは、トレーニング前が男性46.0±8.6kg・女性21.8±3.7kgです。8〜10週間、週1回のトレーニング後は男性53.7±9.4kg・女性27.7±5.3kgまで伸びています。「40kg」「20kg」という数字も、よく併記される「体重の6割」という比率も、この原典の値とは一致しません。
一方の96kg・51kgは、記録サービスに自分の重量を投稿する層の中央値です。どちらも正しく、測っている対象が違うだけです。ジムに通い始めたばかりで自分の位置を知りたいなら前者、記録を継続していて伸びを見たいなら後者と比べるほうが実感に近くなります。
この研究はバーベルを使い2.5kg刻みで1RMを測定していますが、バーの重さを合計に含めているかどうかは論文に記載がありません。そのため本記事では「バーベルで、2.5kg刻みで測定された1RM」までにとどめます。
ベンチプレス100kgは上位何パーセントか
体重を言わずに割合は決まりません。体重を指定しない全体の分布では、中級者96kg(上位50%)・上級者127kg(上位80%)なので、100kgは中央値をわずかに超えた位置になります。
同じ100kgでも体重で位置が変わる
体重別の表で見ると、同じ100kgでも位置は変わります。
| 体重 | 中級者(上位50%) | 上級者(上位80%) | 100kgの位置 |
|---|---|---|---|
| 60kg | 72 | 95 | 上位80%〜95%の帯 |
| 70kg | 85 | 110 | 上位50%〜80%の帯 |
| 80kg | 98 | 124 | 上位50%を少し超えたところ |
| 90kg | 109 | 137 | 上位20%〜50%の帯 |
| 100kg | 120 | 149 | 上位20%〜50%の帯 |
出典: Bench Press Standards (kg)(2026-08-11 確認)
※ 公開されている区切りは5%・20%・50%・80%・95%の5点だけです。中間の値は算出できないため「〜の帯」で示しています。順位はStrength Levelに記録を投稿している利用者の中でのものです
どの体重でも「〜の帯」までしか言えないのは、区切りがこの5点だけで、その間の値が算出できないからです。年齢でも同じ動きがあり、60歳の男性なら上級者95kg〜エリート120kgの帯に位置します。
「1%」という数字の出どころ
日本語の記事では「1%」「0.3%」「上位1〜3%」といった数字を見かけますが、根拠が示されているものは確認できませんでした。
確認できたのは、筋トレ関連のネット調査(男性280名・2023年2月)で聞いた結果です。100kg以上を挙げられるのは9%でした。達成までの期間は2年以内が7割でした。Strength Levelの体重を問わない全体の分布(中央値付近)とはかなり開きがありますが、これは母集団の違いで説明できます。記録サービスに投稿する人、ネット調査に回答した人、日本人男性全体は、それぞれ別の集団です。
日本人一般人口を母集団にしたベンチプレスの統計は確認できませんでした。
表の数字は「1回だけ挙がる重量」|10回できる重量への直し方
Strength Levelは平均について「The average Bench Press is 96 kg for men and 51 kg for women (1RM)」と書いています。1RM=1回だけ挙げられる最大重量なので、この重量で10回続けられるという意味ではありません。
換算には推定式を使います。よく使われるEpley式(1RM = w × (1 + r ÷ 30))とBrzycki式(1RM = w × 36 ÷ (37 − r))は、10回のときにちょうど同じ値になり、どちらも 1RM = 重量 × 4/3 になります。逆に解けば、10回できる重量はおよそ1RMの75%という換算になります。
- 男性の平均96kg → 10回できる重量は約72kg
- 女性の平均51kg → 10回できる重量は約38kg
ただしベンチプレスは低回数寄りに組む人が多いようです。Strength Levelのセット×レップ集計では、男性は5セット×5回が19%で最多(女性は16%)で、3セット×10回は男性6%・女性8%にとどまります。回数ごとの換算値をまとめて見たいときは1RM換算表が早見に使えます。10回換算はあくまで目安の作り方であって、実際の組み方はもっと少ない回数に寄っています。
ベンチプレスの1RM計算機重量と回数から1RMを推定できます。Epley式・Brzycki式の両方と換算表つき(登録不要)スクワット・デッドリフトと合わせた合計の目安は、BIG3の重量目安で体重別にまとめています。
フラットは大胸筋の中部・下部がいちばん働く角度
主働筋は大胸筋で、三角筋前部と上腕三頭筋が協働筋として働き、肩甲帯が安定を担います。
傾斜を0度・15度・30度・45度・60度で比べた研究(訓練者30名・60%1RMで8回)では、大胸筋の中部と下部の筋活動が最大になったのは0度(水平)でした。上部が最大になるのは30度、三角筋前部が最大になるのは60度で、上腕三頭筋の活動は角度によらずほぼ一定という結果です。同じ研究は、45度を超える傾斜は三角筋前部の活動を高め、大胸筋のパフォーマンスを下げると結論しています。
胸を厚くしたいならまずフラットから、という判断の根拠はここにあります。
基本のやり方|下ろす位置と足の踏み方をそろえる
セーフティを合わせる― バーを下ろしきった位置より少し低いところに設定します
肩甲骨を寄せて寝る― 背中をベンチに預け、肩甲骨を寄せたまま固定します。目線がバーの真下に来る位置に寝ます
足を踏んで支えをつくる― 足裏全体で床を踏みます。腰は反りすぎないようにします
バーを胸の下部に下ろす― 手首を寝かせないようにします。肘を真横に開ききらないようにします
押し上げる― 肘は伸ばし切る手前で止めます。1回ごとに下ろす位置と深さをそろえます
記録の残し方
記録するのは種目・重量・回数の3つで足ります。重量はバー込みの合計で書くか、プレートだけで書くかを最初に決めて、以降は変えないようにします。
厚生労働省のe-ヘルスネットは、筋トレの負荷について「慣れてきたら少しずつ負荷を高めていく(=漸進性過負荷の原則)ことが重要です」と説明しています。同じ情報シートは「成人および高齢者に、筋トレを週2〜3日実施することを推奨する」ともしています。
重量が横ばいでも、回数が伸びていれば前進です。筋トレの成果を見える化する方法で回数の伸びも含めて追う方法を整理しています。重量が止まったときの切り分けはベンチプレスが伸びない原因にまとめています。
まとめ
- ベンチプレスの平均は男性96kg・女性51kg。バー込み1RMの数字
- 「男性40kg」は未経験者の測定値。原典の報告値は46±9kg
- 100kgが上位何%かは体重で変わる。単一の数字では答えられない
- 10回できる重量はおよそ1RMの75%という換算。男性72kg・女性38kgが目安
- デクラインはフラットより1割前後重い。ただし効き方まで変わるわけではない
- 記録は重量の数え方(バー込みかプレートだけか)を最初に決めて変えない
比べる相手は平均ではなく、前回の自分です。まずは今日の重量と回数を1つ記録するところから始めてください。



