ラットプルダウンの平均は男性82kg・女性47kg(推定1RM)です。10回に直すと男性約61kg・女性約35kgになります(平均1RMの75%・小数点以下切り捨て)。ケーブル種目のため重量の定義文が無く、プーリーの掛け方やスタックの刻みはメーカーで違います。日本の大学生を測った実測値は65.4kgと44.9kgで20.5kg差があり、体重別・レベル別の表とあわせてその理由をまとめます。

主に効く部位
背中広背筋・大円筋・僧帽筋ほか
器具
ケーブルレバー式マシンでも可
重量の数え方
定義文なしプーリー比・スタックの刻みはメーカー次第
多い組み方
3セット×10回男性22%・女性22%

ラットプルダウンの平均重量|男女別・レベル別

ラットプルダウンの平均重量の目安(kg・推定1RM)
レベル男性女性
初心者4223
初級者6034
中級者8247
上級者10763
エリート13480

出典: Lat Pulldown Standards (kg)/Strength Level(2026-09-27 確認)

※ 海外ユーザーの自己申告データにもとづく推定1RMです。有効結果728,094件(コミュニティ記録2,011,718件・男性598,899・女性129,195・2017年5月17日〜2026年3月8日)の集計。ラットプルダウンはケーブル種目に分類されていて、バーベル種目のページにある重量の定義文(バー込みである旨の記載)に相当する文はどこにも見当たりません

レベルの区切りは、記録を投稿した人の中での順位で決まっています。初心者は下位5%より強い水準、初級者は20%、中級者は50%(ちょうど真ん中)、上級者は80%、エリートは95%より強い水準です。一般に「平均」として引用されるのは、中級者の値です。

体重別の目安

同じ性別でも体重が違えば扱える重量は変わります。単位はkg、推定1RMです。

体重(男性)初心者初級者中級者上級者エリート
50kg29436079101
60kg35506990113
70kg42577799123
80kg476485108133
90kg527092116142
100kg577698123150
110kg6281104130157
120kg6686110136164
130kg7091115142171
140kg7495120148177
体重(女性)初心者初級者中級者上級者エリート
40kg1726385166
50kg2030425672
60kg2333466076
70kg2536496481
80kg2738526885
90kg2941557188
100kg3143577491
110kg3345597694
120kg3447627997

体重に対する比率で確認する方法もあります。米国の大学生男女を対象にした研究では、ラットプルダウンの1RMは体重の男性0.93倍・女性0.55倍でした。同じ研究の懸垂(プルアップ)の比率は懸垂の平均重量にまとめています。

10回できる重量に直す(75%を切り捨て)

表の数字は1回だけ挙げられる重量、つまり推定1RMです。セットで扱う重量に直すには回数から逆算します。1RM計算機で使っているEpley式「1RM=重量×(1+回数÷30)」を10回で逆算すると、10回できる重量は1RMの75.0%です。Brzycki式「1RM=重量×36÷(37−回数)」で計算しても同じ75.0%になります。本記事では平均1RMの75%を小数点以下で切り捨てて示します。

1RM10回できる重量(75%を切り捨て)
男性・初心者42kg31kg
男性・中級者(平均)82kg61kg
女性・初心者23kg17kg
女性・中級者(平均)47kg35kg
1RM計算機重量と回数から最大挙上重量を推定できます。Epley式・Brzycki式の両方と%1RM換算表つき(登録不要)

換算式のくわしい違いは1RM換算式の一覧にまとめています。

日本の大学生の実測は65.4kgと44.9kgで20.5kg違う

同じ「日本の男子大学生のラットプルダウン1RM」を測った調査が2本あり、数字が大きくずれています。

慶應義塾大学の体育実技を受けた男子368名(19.4±1.2歳、体重62.6±7.7kg)を対象にした調査では、ラットプルダウンの1RM(初回)は65.4±14.0kgでした。使用したのは、紀要の本文に「カイザー社製の空気圧を負荷とするマシン」と明記されたマシンです。1RMは間接法で、10回挙上できた重量を0.75で割って求めています。10週間のトレーニング後には74.5±14.4kgまで伸びています。

一方、大学院の体育授業を対象にした別の調査では、日本人男子学生194名(23.4±2.1歳)のラットプルダウン1RM(トレーニング前)は44.9±12.6kgでした。1RMは反復回数と%1RMの関係から推定する間接法ですが、使用したマシンのメーカーや負荷方式、対象者の体重は本文に記載がありません。

65.4kgと44.9kgの差は20.5kgです。候補になりうるのは、①マシンの違い(慶應は空気圧式と明記、もう一方はメーカー不明)、②対象集団の違い、③調査年度の違いの3つですが、どれが原因かは公開されている情報からは切り分けられません。手幅を変える程度の操作では、扱える重量への影響はもっと小さく、狭い手幅80.3kgと中間の手幅80.0kgに対し広い手幅でも77.3kgという実測(差は数kg)があります。20.5kgという差は、手幅のような操作の違いだけでは説明できない大きさです。

表示重量が全部の機種で同じ意味とは限らない理由

ラットプルダウンの表示重量は、マシンのウェイトスタックの数字です。ただしその数字がケーブルを通じて手にかかる荷重と一致するかは、メーカーが公表するプーリー比で決まります。

XMARKの複合マシンは、同じ1台の中で「ラットプルダウンは1:1、ローローは2:1」というプーリー比を公表しています。1台の中でも種目によって比が変わる例があるということは、比率が種目・メーカーをまたいで揃っているとは限らないということです。Eleikoは1:1のプーリー比を採用したうえで「スタックの表示(kgとlb)は牽引側の荷重を示す」と明記し、Bells of Steelも1:1を公表しています。今回確認できたのは3社だけで、「ラットプルダウン専用機は1:1が標準」とまでは言えません。

刻みも製品で違います。Eleikoは6kg刻み、XMARKは10lb(約4.5kg)刻みです。前回から2.5kgだけ増やす、という調整ができるかはマシン次第です。

スタック上限のメーカー公表値(2026-09-27 閲覧)
製品スタック上限刻み
Hoist HD-3200(標準)102kg—
Hoist CL-3201136kg—
Eleiko(標準・増設可)120kg(150kgまで増設可)6kg
Atlantis D123141kg—
Hoist ROC-IT RS-2201152kg—

※ XMARKは220lb(約100kg)・10lb(約4.5kg)刻み。刻みが公表されていない製品は「—」

スタック上限は製品によって102〜152kgの幅があります。集計上のエリート男性134kgは、上限102kgのマシン(Hoist HD-3200標準仕様)では物理的に出せず、上限141kgのAtlantis D123では95%に達する重量です。上位レベルの数字に届かないことが、力ではなく機械の天井の低さで説明できる場合があります。

プレートを積んで負荷を作るレバー式のマシンでは、公表の仕方も変わります。あるレバー式マシンは「Starting Resistance (per arm) 0.5kg」「Max Load Capacity (per arm) 5×20kgプレート」と片腕あたりで仕様を公表しています。ケーブルのスタック式が全体の1つの数字で表すのに対し、レバー式は片腕あたりで記録される場合があるということです。

同じ集計サイトの中には、握り方で分かれる別集計もあります。Close Grip(89kg/52kg)とReverse Grip(90kg/53kg)は、ワイド順手のラットプルダウン(82kg/47kg)より高い数字です。ただしこの2つの集計期間は2020年開始で、ワイド順手(2017年開始)とはそろっていません。「狭く握ると重く挙がる」とまでは言えず、集計が分かれていて数字も違う、というところまでです。

効く筋肉とケーブル・レバー式の違い

ワイド順手のラットプルダウンで動員されるのは、主働筋の広背筋、協働筋の上腕筋・腕橈骨筋・上腕二頭筋・大円筋・三角筋後部・棘下筋・小円筋・烏口腕筋・菱形筋・肩甲挙筋・僧帽筋下部・僧帽筋中部・小胸筋です。上腕三頭筋長頭は動的安定筋として働きます。広背筋が停止するのは上腕骨の結節間溝までで、大円筋・大胸筋とともに上腕を内転・内旋させます。

レバー式マシンで同じ分類を確認すると、主働筋・協働筋・動的安定筋の全15項目がケーブル式と完全に一致します。つまりケーブルとレバーで動員される筋は変わりません。前半で見たプーリー比・スタックの刻み・片腕あたりの記録という違いは、筋ではなくマシンの機構の側にあるということです。

握り方や手幅を変えたときの効かせ方の違いは、実際に測定した研究をもとにラットプルダウンの効かせ方にまとめています。垂直に引くラットプルダウンと水平に引くローの重量比較はシーテッドローを参照してください。

ラットプルダウンの基本のやり方

  1. 太もものパッドを合わせて座る― パッドの高さを合わせ、ワイドグリップでバーを握ります

  2. 腕を伸ばした状態でスタックを持ち上げる― 座った姿勢のまま、腕を伸ばしてウェイトスタックを浮かせた状態から始めます

  3. 上胸まで引き下ろす― 反動をつけず、上腕を下ろす動きから引きます

  4. 腕と肩が伸び切る位置まで戻す― 戻す側を途中で止めないようにします

  5. 終わりはスタックを下ろしてから立つ― バーを保持したまま立つとスタックが落下し、衝撃で肩を痛める恐れがあります

手幅・グリップの向き・引く位置による効き方の違いや、よくある詰まりどころはラットプルダウンの効かせ方で測定結果つきで解説しています。

まとめ

  • 平均は男性82kg・女性47kg(推定1RM)。10回に直すと男性約61kg・女性約35kg(1RMの75%を切り捨て)
  • ケーブル種目のため重量の定義文が無く、プーリー比(1:1・2:1)とスタックの刻みはメーカーで違う
  • スタック上限は102〜152kgの幅がある。上位レベルの数字に届かないのは機械の天井の低さで説明できる場合がある
  • 日本の大学生の実測は65.4kgと44.9kgで20.5kg差がある。マシンか集団か年度かは切り分けられない
  • 動員される筋の分類はケーブル式とレバー式で完全に同じ。差は筋ではなくマシンの機構の側
  • 比べる相手は他人の平均ではなく、同じマシンで取った前回の自分の記録

次にジムへ行ったら、マシンのメーカーか形式を記録に足してみてください。