カーフレイズは、かかとを上げ下げしてふくらはぎを鍛える種目です。効果として実測が取れているのは筋体積・筋厚の増加で、そこには膝を伸ばしているかかかとをどこまで下ろすかの2つが効きます。この記事では、立位と座位を12週間比べた研究、可動域の下半分だけで比べた試験、マシン・自重・ダンベルそれぞれの手順、公開データにもとづく重量と回数の目安を順に扱います。

主に効く部位
ふくらはぎ下腿三頭筋
器具
マシン・自重シーテッド・ダンベルも
動作の分類
単関節足首の底屈のみ
難易度
初級土台になる姿勢が要点

カーフレイズで効く筋肉と、膝の角度で入れ替わるもの

ふくらはぎの主要な筋は下腿三頭筋で、腓腹筋(内側頭・外側頭)とヒラメ筋の2つからなります。腓腹筋は大腿骨から起こるため膝をまたぎ、ヒラメ筋は脛骨・腓骨から起こるため膝をまたぎません。この構造の違いが、立位と座位で主働筋を入れ替える理由になります。

立位では主働筋が腓腹筋、協働筋がヒラメ筋です。座位(膝90度屈曲)ではこの関係が入れ替わり、主働筋がヒラメ筋、協働筋が腓腹筋になります。膝が曲がると腓腹筋が縮んだ状態に近づき、力を出しにくい活動性不全という状態に入るためです。

膝の角度による主働筋・協働筋の入れ替わり
区分立位(マシン・自重とも)座位(膝90度)
主働筋腓腹筋ヒラメ筋
協働筋ヒラメ筋腓腹筋
位置づけBasic(基本種目)Auxiliary(補助種目)

12週間で増えたのは立位だけだった

分類上の話だけでなく、実際の肥大量を測った研究があります。Kinoshitaほか2023年の研究では、未経験の成人14名が片脚を立位・膝伸展、もう片脚を座位・膝90度屈曲でカーフレイズを行いました。条件は70%1RMで10回×5セット、週2回、12週間、MRIで筋体積を測定しています。

12週間後の筋体積の増加率(Kinoshitaほか2023)
立位座位
腓腹筋 外側頭+12.4%+1.7%
腓腹筋 内側頭+9.2%+0.6%
ヒラメ筋+2.1%+2.9%
下腿三頭筋 全体+5.6%+2.1%

p値は上から0.001・0.002・0.410(差なし)・0.011。座位側の腓腹筋(外側頭・内側頭)は単独では有意に増えていない(p=0.147〜0.508)(2026-08-11取得)

「座位=ヒラメ筋」はどこまで正しいか

分類のうえでは、座位の主働筋がヒラメ筋というのは正しい整理です。ただし上の表の最終列を見ると、ヒラメ筋は立位でも座位と同じだけ増えています(+2.1%対+2.9%、差は確認されず)。

ふくらはぎは、そもそも増えにくい

Kinoshitaらは研究の背景で、下腿三頭筋がレジスタンストレーニングへの反応が薄く、逆に不活動では萎縮しやすい筋だと述べています。「効かない」という相談に対しては、フォームより前にこの前提を置く必要があります。

同じ前提を裏づける材料が、レッグカールの記事で扱ったMaeoほか2021年の研究です。あちらは片脚をシーテッド、もう片脚をライイングのレッグカールで12週間トレーニングし、ハムストリングス全体の筋体積が+14.1%(シーテッド)増えました。Kinoshitaの研究と著者・設計(70%1RM・10回×5セット・週2回・12週間)が一致しており、下腿三頭筋全体の+5.6%(立位)と並べると、同じ負荷・同じ期間でも増え方に差が出ています。ただし両論文は別々の研究で被験者も異なり、直接比較したわけではありません。条件がたまたま揃っている、という限定つきの比較です。

脚のトレーニングでスクワット系を組む場合、ふくらはぎは脇役です。ハックスクワットでは協働筋にヒラメ筋、動的安定筋に腓腹筋が入りますが、主働筋は大腿四頭筋です。ふくらはぎを狙って増やしたいなら、カーフレイズを別種目として組む必要があります。

やり方|マシン・自重・ダンベルの手順とコツ

かかとの上げ下げという動作そのものは、マシンでも自重でも共通です。

  1. かかとを浮かせて母趾球の上に立つ台やプレートの端につま先と母趾球を乗せ、土踏まずとかかとは外に出す。膝は伸ばしたまま。

  2. かかとを最大まで持ち上げる足首を伸ばしてつま先立ちの姿勢を作る。

  3. かかとをゆっくり下ろすふくらはぎが伸びるところまで足首を曲げて戻す。反動は使わない。

マシン(スタンディングカーフレイズマシン)

肩をパッドの下に入れ、つま先と母趾球を台に乗せて土踏まずとかかとは台から外します。股関節と膝を伸ばして立ち、可能ならレバーを可動域の最下点のすぐ下に合わせておきます。膝は伸ばしたまま行うのが基本ですが、伸ばす局面だけわずかに曲げてもかまいません。そのとき大腿四頭筋が協働筋として働きます。

自重(スタンディングカーフレイズ)

段差やステップ台をカーフブロック代わりに使います。ひっくり返らないものを選び、手は支えに添えてバランスを取ります。負荷は支えにかける体重の量で下げられ、逆に片手にダンベルを持って上げれば負荷を足せます。

かかとはどこまで下ろすか

「かかとを深く下ろす」という助言はよく見かけますが、可動域の位置ごとに肥大量を比べた試験があります。Kassianoほか2023年の研究では、若年女性42名が8週間・週3日、ピン式の水平レッグプレスマシンでのカーフレイズを15〜20RM×3セットで行いました。専用のスタンディングカーフマシンでも自重でもありません。

足関節の可動域による内側・外側腓腹筋の増加率(Kassianoほか2023)
群(足関節の可動域)内側腓腹筋外側腓腹筋
INITIAL(-25°〜0°/かかとを深く下ろす側)+15.2%+14.9%
FULL(-25°〜+25°/全可動域)+6.7%+7.3%
FINAL(0°〜+25°/つま先立ちを保つ側)+3.4%+6.2%

0°は足と脛骨が90°になる角度。INITIAL対FULL・FINALはp≤0.009、外側のINITIAL対FINALはp<0.024(INITIAL対FULLはp=0.060で有意差なし)(2026-08-11取得)

最も増えたのは、可動域のうちかかとを深く下ろす側(INITIAL)だけを使った群でした。つま先立ちを保つ側(FINAL)だけの群は、全可動域を使った群にも劣ります。実務に落とすなら、「上でつま先立ちを粘る」よりも「下でかかとを下ろす側を取りこぼさない」ことが効きます。床の上で行うとこの下半分が物理的に作れないため、段差が要件になります。ここで使われたのはレッグプレスと同じ水平型のマシンです。

膝を曲げるシーテッドカーフレイズをどう位置づけるか

分類上、座位の主働筋がヒラメ筋になるのは事実です。ただし前の章のとおり、肥大の面で座位が立位に優る材料はありません。加えて、膝を伸ばしたまま座って押す型のシーテッドカーフプレスは、分類上は腓腹筋側の種目として扱われます。座っているかどうかではなく、膝が曲がっているかどうかで分類が決まるということです。

重量と回数の目安

トレーニング記録サービスのStrength Levelの集計では、マシンカーフレイズの平均は男性137kg・女性89kg、シーテッドカーフレイズの平均は男性91kg・女性66kgです。いずれも1回だけ挙げられる重量、1RMの推定値になります。

マシンカーフレイズ平均重量の目安(kg・1RM
レベル男性女性
初心者(Beginner)4322
初級者(Novice)8249
中級者(Intermediate)13789
上級者(Advanced)205140
エリート(Elite)284200

出典: Machine Calf Raise Standards (kg)Strength Level2026-08-11 確認)

海外のトレーニング記録サービスに投稿された自己申告データで、日本の平均を示すものではありません。集計対象は350,435件の投稿から絞り込まれた有効記録77,203件(男性66,968件・女性10,235件)、期間は2017年12月10日〜2026年3月5日。マシン種目のため、表示重量が何を指すかの定義はページ上に見当たりませんでした

シーテッドカーフレイズ平均重量の目安(kg・1RM
レベル男性女性
初心者(Beginner)2815
初級者(Novice)5435
中級者(Intermediate)9166
上級者(Advanced)137106
エリート(Elite)190154

出典: Seated Calf Raise Standards (kg)Strength Level2026-08-11 確認)

集計対象は253,479件の投稿から絞り込まれた有効記録42,129件(男性36,941件・女性5,188件)、期間は2019年1月27日〜2026年3月5日。表示重量の定義はこのページにも見当たりませんでした

自重のスタンディングカーフレイズは重量ではなく回数で集計されています。

自重スタンディングカーフレイズの回数の目安
レベル男性女性
初心者6回1回未満
初級者27回16回
中級者57回42回
上級者95回74回
エリート140回111回

出典: Bodyweight Calf Raise Standards (kg)2026-08-11 確認)

有効記録9,726件(男性8,664件・女性1,062件)、期間は2020年8月15日〜2026年3月5日

片手にダンベルを持って行うダンベルカーフレイズの平均は男性34kg・女性22kgです。この数字はダンベル1本分の重量で、シャフトの約2kgを含みます。カーフ系4ページのうち、単位の定義文があるのはダンベル版だけです。

マシンの表示重量は機種をまたいで比べられない

マシン137kg、シーテッド91kg、ダンベル34kg(片手)、自重は回数と、同じ「カーフレイズ」という名前でも桁と単位が総入れ替えになります。マシン・シーテッド・自重のいずれのページにも、表示重量が何を指すかの定義文は見当たりませんでした。てこの比も可動域の取り方も機種で違うぶん、比べる相手は同じマシンで記録した前回の自分だけです。記録には機種・段数・かかとの下ろし方を添えておくと、後で数字が動いた理由をたどれます。

1RM計算機(%1RM換算表つき)表の1RMを実施セットの重量に翻訳できます(登録不要)

回数別の重量は1RM換算表、記録する項目の決め方は筋トレ記録のつけ方にまとめています。自重で回数が伸びたあとの負荷の足し方はプログレッシブオーバーロードを参照してください。自宅でマシンなしに行う場合は自宅トレーニングガイドで、自重・ダンベル中心の種目一覧に絞り込めます。

まとめ

  • 出典を付けて言える効果は、下腿三頭筋全体の筋体積が12週間で約5.6%(立位)増えたという報告まで
  • 立位では腓腹筋、座位ではヒラメ筋が主働筋になる。ただしヒラメ筋は立位でも座位と同じだけ増えており、座位はヒラメ筋のための置き換えにはならない
  • 可動域のうち、かかとを深く下ろす側を通ることが増加量に効く。床でできないなら段差かマシンが要る
  • 下腿三頭筋はそもそも増えにくい筋なので、変化は数週間ではなく期間で見る
  • 平均1RMはマシン男性137kg・シーテッド男性91kg・ダンベル男性34kg(片手)、自重は男性57回。数字は同じマシンの中でだけ比べる