ペックフライの平均重量は、記録サイトの集計で男性85kg・女性40kg(推定1RM)です。ただしこの種目は表示重量の定義文が公開されておらず、肘や前腕をパッドに当てる型とハンドルを握る型が同じ1つの項目に集約されています。同じ記録サイトの中ではチェストプレスとほぼ同じ比率(0.99)なのに、日本の大学生368名を同じマシンメーカーで比べると約半分(0.51)という食い違いも起きます。この記事ではレベル別・体重別の目安と、10回できる重量への直し方までまとめます。

主に効く部位
大胸筋胸肋部が主働筋
器具
マシンパッド型・ハンドル型の2系統
重量の数え方
マシン依存表示重量の定義文は非公開
多い組み方
3セット×10回男性24%・女性19%

ペックフライの平均重量|男女別・レベル別

表を見る前に確認したいこと

ペックフライという名前で調べると、別名として使われる名称もすべて同じ集計に転送されます(2026-09-27確認)。肘や前腕をパッドに当てる型と、ハンドルを握る型という機構の違いも、この1つの項目の中に混ざったまま数えられています。バーベル種目のページにある「表示重量はバーの重さを含む」に相当する定義文もこのページには無く、片側の値か左右合計かも公開情報からは確認できません。

レベル別の平均重量

ペックフライの平均重量の目安(kg・推定1RM)
レベル男性女性
初心者3713
初級者5824
中級者8540
上級者11859
エリート15480

出典: Machine Chest Fly Standards (kg)/Strength Level(2026-09-27 確認)

※ 海外ユーザーの自己申告にもとづく推定1RMです。有効記録145,334件(コミュニティ記録487,945件・男性134,143件/女性11,191件・2019年1月27日〜2026年3月5日)の集計。バーベル種目のページにある「表示重量はバーの重さを含む」に相当する定義文がこのページには無く、肘・前腕をパッドに当てる型とハンドルを握る型が同じ項目に混ざっています。ジムをまたいだ比較には使えません

レベルの区切りが意味するもの

レベルの区切りは、記録を投稿した人の中での順位で決まっています。初心者は下位5%、初級者は20%、中級者は50%(ちょうど真ん中)、上級者は80%、エリートは95%より強い水準です。一般に「平均」として引用されるのは、ちょうど真ん中に位置する中級者の値です。女性の有効記録は全体の約7.7%と少なく、女性の表は男性より母数が小さい点も添えておきます。

体重別の目安

同じ性別でも体重が違えば扱える重量は変わります。単位はkg、推定1RMです。

体重(男性)初心者初級者中級者上級者エリート
50kg21365681108
55kg25416288117
60kg29466895124
65kg325073101132
70kg365579107139
75kg395984113145
80kg426389119152
85kg466793124158
90kg497198130164
95kg5274102135170
100kg5578107140175
体重(女性)初心者初級者中級者上級者エリート
40kg715264158
45kg817294562
50kg1019324866
55kg1121345170
60kg1323375474
65kg1425395777
70kg1526415980

元データは男性140kgまで・女性120kgまで掲載されています。この範囲を超える場合は出典のページで確認してください。

1回の重量から、実際に組む重量へ

表の数値は1回だけ挙げられる最大重量、つまり1RMの推定値です。セットで扱う重量に直すには回数から逆算します。1RM計算機で使っているEpley式「1RM = 重量 ×(1 + 回数 ÷ 30)」なら、10回できる重量は1RMの75%にあたります。Brzycki式「1RM = 重量 × 36 ÷(37 − 回数)」で計算しても同じ75%になります。

1RM10回できる重量(約75%)
男性・初心者37kg約27kg
男性・中級者(平均)85kg約63kg
女性・初心者13kg約9kg
女性・中級者(平均)40kg約30kg
1RM計算機重量と回数から最大挙上重量を推定できます。Epley式・Brzycki式の両方と%1RM換算表つき(登録不要)

この早見表の10回換算は式による目安で、ペックフライのような単関節種目にどこまで当てはまるかは検証されていません。

同じ10回のつもりの重量でも、その前に何をやったかで届く回数は変わります。訓練経験のある男性14名を対象にした研究では、ベンチプレスを先にやってから同じ10RM負荷でマシンチェストフライを行うと、フライを先にやった場合よりも総反復回数が減りました(27.85回 対 33.50回)。種目順の考え方全般はダンベルフライとダンベルプレスの順番にまとめています。

セットの組み方にも男女差があります。男性は3セット×10回が24%で最多ですが、3セット×15回を選ぶのはわずか5%です。女性も3セット×10回が19%で最多なのは同じですが、次に多いのは3セット×15回の17%で、男性より高レップ寄りに使われています。

効く筋肉と、数字が食い違う理由

パッド型とハンドル型で分類が違う

主働筋はどちらの型も大胸筋の胸肋部です。ただし協働筋・安定筋の分類はパッド型とハンドル型で違います。

動員される筋の分類(2026-09-27確認)
区分パッド型(前腕をパッドに当てる)ハンドル型(ハンドルを握る)
主働筋大胸筋 胸肋部大胸筋 胸肋部
協働筋大胸筋 鎖骨部/小胸筋/烏口腕筋/前鋸筋大胸筋 鎖骨部/小胸筋/烏口腕筋/前鋸筋/三角筋前部/上腕二頭筋 短頭
安定筋特になし上腕二頭筋/上腕筋/手関節屈筋群

※ 記録サイトはこの2つの型を1つの項目に集約している。平均値にどちらの型の記録がどれだけ混ざっているかは分からない

違いが出るのはハンドル型だけです。三角筋前部と上腕二頭筋の短頭が協働筋に加わり、安定筋として上腕二頭筋・上腕筋・手関節屈筋群が並びます。パッド型は前腕をパッドに預ける姿勢のため、腕の筋を安定に使う必要がありません。大胸筋そのものの働きは、肩関節における腕の屈曲・内転・内旋です。

パッド型に近い姿勢の筋電図を測った報告では、大胸筋の活動がバーベルベンチプレスとほぼ同等という結果も出ています。測定の詳細はケーブルクロスオーバーのやり方にまとめています。ダンベルで行うフライも主働筋は同じ大胸筋の胸肋部で、片手あたりの重量はダンベルフライの平均重量にまとめています。

同じ記録サイトでもチェストプレスとの比が割れる

同じ記録サイトの中で、ペックフライとチェストプレスの比を取ると、レベルによって変わります。

ペックフライ÷チェストプレスの比(同一集計・当方計算・2026-09-27時点)
レベルペックフライ(男性)チェストプレス(男性)比(男性)ペックフライ(女性)チェストプレス(女性)比(女性)
初心者37kg34kg1.0913kg11kg1.18
初級者58kg56kg1.0424kg22kg1.09
中級者85kg86kg0.9940kg37kg1.08
上級者118kg121kg0.9859kg57kg1.04
エリート154kg161kg0.9680kg79kg1.01

※ チェストプレスの値は同日(2026-09-27)に同じ記録サイトから取得。中級者どうしでは男性0.99・女性1.08とほぼ同じ比率になる。別々の集団の別々の集計であることに変わりはない

この集計だけを見ると、単関節のペックフライと多関節のチェストプレスは近い重量で組めそうに見えます。ところが、同じ人を対象にした別の測定では、まったく違う比が出ます。

日本の大学生368名では、同じマシンで約半分

大学の体育実技を履修した男子学生368名(19.4±1.2歳)を対象にした報告があります。カイザー社製の空気圧を負荷とするマシンで、肘をパッドに当てる姿勢のバタフライ(BF)とチェストプレス(CP)の1RMを、同じ授業の初回に測定しています。BFは30.9±8.4kg、CPは60.6±14.8kgでした。同じ368名・同じマシンメーカーで比べると、BF÷CPは0.51です。

記録サイトの集計では中級者どうしで0.99、同じ368名の実測では0.51。測った集団とマシンが違うだけで、比そのものが半分近くまで変わります。表示重量は強さの単位ではなく、集団とマシンに固定された単位だということです。

チェストプレス側の数字と機種の詳細はチェストプレスの使い方にまとめています。

内側だけを狙って厚くする効果は確認されていない

大胸筋を鎖骨部と胸肋部に分けて厚みを測った研究があります。トレーニング未経験の男性15名が、パッド型のペックデックを週1セットまたは週3セットで12週間続けたところ、鎖骨部の厚みは17%と18%、胸肋部の厚みは21%と21%、それぞれ同程度に増えました。1RMも46%と43%とほぼ同じだけ伸びています。1セットと3セットで差は出ず、部位によって効き方が変わるという結果も出ていません。

ペックフライのやり方

重量が中心の記事なので、フォームは型ごとの要点にまとめます。まず自分が座っているのがパッド型かハンドル型かを確認してください。

パッド型(前腕をパッドに当てる型)

  1. マシンに座り、背中をパッドに預ける― フットレバーがあれば踏んでパッドを手前に寄せる

  2. 前腕をパッドに乗せる― 上腕がほぼ平行になる位置に合わせる

  3. フットレバーを解除する― ある場合は、押した状態から離す

  4. パッドを閉じるように押し合わせる

  5. 胸の筋肉が伸びるところまで戻す― ここまでを繰り返す

ハンドル型(ハンドルを握る型)

  1. マシンに座り、背中をパッドに預ける

  2. 両サイドのハンドルを肩の高さで握る

  3. 肘を軽く曲げ、肩を内旋させて肘が後ろを向く向きにする

  4. 肩の内旋を保ったまま、ハンドルを前方・内側へ動かす― 肘が先に伸びないようにする

  5. 胸か肩に軽い伸びを感じるところまで戻す― ここまでを繰り返す

まとめ

  • 平均は男性85kg・女性40kg(推定1RM)。ただしパッド型・ハンドル型が同じ1項目に集約され、表示重量の定義文も無い
  • 動員される筋の分類はパッド型とハンドル型で違う。ハンドル型だけ三角筋前部・上腕二頭筋の短頭が協働筋に入る
  • 同じ記録サイトの中ではチェストプレスとほぼ同じ比率(0.99)。日本の大学生368名を同じマシンメーカーで比べると約半分(0.51)
  • 10回できる重量はおよそ1RMの75%。男性63kg・女性30kgが中級者の換算目安
  • ベンチプレスを先にやると、同じ10RM負荷でもフライの総反復回数は減る
  • トレーニング未経験者は12週間で1RMが4割以上伸びる。部位を狙って効かせられるという結果は出ていない
  • 比べる相手は他人の平均ではなく、同じマシンで取った前回の自分の記録

次にジムへ行ったら、座っているマシンがパッド型かハンドル型かを記録に一言添えてみてください。