ショルダープレスマシンの平均重量は、記録投稿サイトの集計で男性73kg・女性31kg(推定1RM)です。10回できる重量に直すには平均1RMの75%を計算し、小数点以下を切り捨てます。すると男性54kg・女性23kgになります。ただしこの集計サイトには、バーベル種目にある「バーの重さを含む」のような重量の定義文が無く、スタック式かプレート積載式かでも数字の中身が変わります。表の数字を自分のジムのマシンやバーベル版と比べる前に、この違いを確認してください。
- 主に効く部位
- 三角筋前部協働筋に大胸筋鎖骨部・上腕三頭筋
- 器具
- マシンスタック式・プレート積載式など複数の機構
- 重量の数え方
- 機種依存表示重量の定義が公開されていない
- 多い組み方
- 3セット×10回男性28%・女性18%
ショルダープレスマシンの平均重量|男女別・レベル別
| レベル | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 初心者(Beginner) | 25 | 8 |
| 初級者(Novice) | 45 | 18 |
| 中級者(Intermediate) | 73 | 31 |
| 上級者(Advanced) | 108 | 49 |
| エリート(Elite) | 148 | 70 |
出典: Machine Shoulder Press Standards (kg)/Strength Level(2026-09-27 確認)
※ 海外のトレーニング記録サービスに投稿された自己申告データです。有効結果117,539件(コミュニティ記録488,940件・男性105,396件/女性12,143件・2019年1月27日〜2026年3月5日)の集計。バーベル種目のページにある重量の定義文に相当する記述がこのページには無く、スタック式かプレート積載式か、片腕か左右合計かは公開情報からは確認できません。ジムをまたいだ比較には使えません
レベルの区切りは投稿された記録の中での順位で決まっています。初心者は下位5%より強い水準、初級者は20%、中級者は50%(ちょうど真ん中)、上級者は80%、エリートは95%より強い水準です。一般に「平均」として引用されるのは、ちょうど真ん中に位置する中級者の値です。
女性の有効結果は12,143件で、男性(105,396件)の9分の1ほどにとどまります。件数そのものは全体の集計としては十分な規模ですが、男性データに比べると分布の内訳を細かく見るときの手がかりは少なくなります。
体重別の目安
同じ性別でも体重が違えば扱える重量は変わります。集計サイトは体重比も公開していて、男性は体重の0.25倍(初心者)・0.50倍(初級者)・1.00倍(中級者)・1.50倍(上級者)・2.00倍(エリート)、女性は0.10倍・0.25倍・0.50倍・0.75倍・1.05倍がそれぞれの水準です。
| 体重(男性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 50kg | 11 | 25 | 44 | 70 | 100 |
| 60kg | 17 | 33 | 56 | 84 | 116 |
| 70kg | 23 | 42 | 66 | 97 | 131 |
| 80kg | 29 | 50 | 76 | 109 | 145 |
| 90kg | 35 | 57 | 86 | 120 | 158 |
| 100kg | 41 | 64 | 94 | 130 | 170 |
| 体重(女性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 40kg | 4 | 12 | 23 | 38 | 56 |
| 50kg | 6 | 14 | 27 | 43 | 62 |
| 60kg | 8 | 17 | 30 | 47 | 66 |
| 70kg | 9 | 19 | 32 | 50 | 71 |
体重70kgの男性が中級者の水準を狙うなら66kg前後、体重50kgの女性なら27kg前後という計算です。単位はkg、推定1RMです。
10回できる重量に直す(75%を切り捨て)
表の数字は推定1RMと、それを10回できる重量に直した値です。10回できる重量は平均1RMの75%を計算してから小数点以下を切り捨てています(四捨五入ではありません)。
| 1RM | 10回できる重量(1RMの75%を切り捨て) | |
|---|---|---|
| 男性・初心者 | 25kg | 18kg |
| 男性・中級者(平均) | 73kg | 54kg |
| 女性・初心者 | 8kg | 6kg |
| 女性・中級者(平均) | 31kg | 23kg |
表示重量に定義が無い理由|スタック式とプレート積載式
集計サイトのHTML全文を検索しても、バーベル・ダンベルのページにある「バーの重さを含む」に相当する定義文は見つかりません。種目の手順を読んでも「今の力に合った重量にセットする」としか書かれておらず、スタックの目盛りかプレートの合計か、片腕か左右合計かは公開情報からは確認できません。
メーカーが公表している仕様を並べると、機構の違いがどこに影響するかが具体的に見えてきます。
| 方式 | 製品 | 無負荷時/スタック | 最大 |
|---|---|---|---|
| ウエイトスタック式 | Hoist CL-3501 | Weight Stack 91kg | 同左 |
| ウエイトスタック式 | Hoist HD-3300(標準) | Weight Stack 98kg | 同左 |
| ウエイトスタック式 | Hoist HD-3300(ヘビースタック) | Weight Stack 109kg | 同左 |
| ウエイトスタック式 | Atlantis E149 | Weight Stack 113kg | 同左 |
| ウエイトスタック式 | Hoist ROC-IT | Weight Stack 116kg | 同左 |
| プレート積載(片腕) | Hammer Strength IL-SP | Starting Resistance(per arm) 4.5kg | Max Load(per arm) 4×20kgプレート |
| プレート積載(片腕) | Life Fitness Shoulder Press | Starting Resistance(per arm) 4.5kg | 4×25kgプレート/ロッド |
| プレート積載 | Hoist RPL-5501 | 記載なし | Max Exercise Capacity 204kg |
※ ウエイトスタック式は「Counter-balanced arm」「very low starting resistance」のように無負荷時の抵抗を小さく見せる設計。プレート積載式は片腕あたり4.5kgの初期負荷が最初からかかっている。Hammer Strength・Life Fitnessはper arm(片腕あたり)の数値を仕様として公表している
事実として言えることが2つあります。1つ目は、ウエイトスタック式の上限は公表値で91〜116kgの範囲にとどまることです。上級者の水準(男性108kg)ですら、Hoist CL-3501(91kg)やHD-3300標準(98kg)のスタックでは届きません。2つ目は、プレート積載式は片腕あたりで初期負荷・最大荷重を公表していることです。左右のアームが別々に動く機種では、記録を左右合計にするか片側だけにするかで、同じマシンでも表示が2倍近く変わります。
エリートの148kgは、公表値で見つかったどのウエイトスタックの上限も超えています。集計サイトはマシンの形式を分けずに1つの項目として扱っているため、上位レベルの記録にはプレート積載式マシンでの記録が混ざっている可能性がありますが、集計サイト側はマシンの形式を記録していないため確認できておらず、あくまで推論です。
日本の実測値とバーベル版との比較
日本人男子大学院生の実測は54.6kg。ただし前提が3つ付く
日本語の記事でよく見かける「ショルダープレスの平均は54.6kg」という数字の原典は、東京大学大学院の週1回の体育授業を対象にした研究(福崎, 2021)です。ショルダープレスの解析対象になった194名(男子学生・23.4±2.1歳)の1RMは、トレーニング前が平均54.6±15.3kgで、4週間後には61.2±15.6kg、8週間後には64.2±16.8kgまで伸びています。
この数字には前提が3つ付きます。1つ目は、対象が大学院生で体育専門外の学生が大半であることです。2つ目は、使用したマシンのメーカー・形式が記録に残っていないことです。3つ目は、1回を直接挙げて測ったのではなく、反復できた回数と負荷から換算する間接法による推定値であることです。体重も測定されていません。この3つの前提が付く数字であり、「成人男性の平均」として一般化できる数字ではありません。
マシンとバーベルで数字が逆に動く
同じ集計サイトには、バーベル・立位のショルダープレスの集計もあります。平均は男性62kg・女性33kgで、マシン版(男性73kg・女性31kg)と比べると、男性はマシンのほうが重く、女性はマシンのほうが軽いという、男女で向きが逆の結果になっています。
| 集計 | 男性平均 | 女性平均 |
|---|---|---|
| ショルダープレスマシン | 73kg | 31kg |
| バーベル(立位) | 62kg | 33kg |
※ 別々の集団・別々の期間の集計であり、この差の理由は切り分けられない。男女で向きが逆であることの観察にとどめる
この差の理由は、集計サイト側のデータからは切り分けられません。別々の集団・別々の期間の集計だからです。ただし同一人物でマシンとバーベルを比較した研究があり、参考になります。競技経験のある男性ボディビルダー8名を対象にした研究では、同じ人の1RMがバーベル(前方支持で82kg)よりマシン(前方ハンドルで95kg)のほうが高かったと報告されています。マシンはTechnogym製でした。男性ではマシンのほうが重いという向きは、この実測とも一致します。ただしこの研究の対象は8名で、アナボリックステロイドの使用も統制されていません。数字そのものは参考程度に留めてください。
効く筋肉と、マシンだから変わること
主働筋は三角筋の前部です。協働筋には三角筋の外側部・大胸筋の鎖骨部・上腕三頭筋・烏口腕筋・僧帽筋の中部と下部・前鋸筋が入り、上腕三頭筋の長頭と上腕二頭筋は動的に姿勢を支える動的安定筋として働きます。安定筋は僧帽筋の上部と肩甲挙筋です。この分類はバーベル版とほぼ同じで、違いは棘上筋が協働筋に入るかどうかと、二頭筋の表記の細かさだけです。プレート積載式で片腕ずつ動く機種では、棘上筋が協働筋に含まれない分類になります。
三角筋の前部は、歩行時に大胸筋と協調して腕を前に振り出す働きも担っている筋です。重い負荷を支えている間は、上腕骨が肩関節から下方へ抜けるのを防ぐ安定装置としても働きます。
トレーニングの効果がマシンとフリーウェイトで同じかどうかを調べた研究もあります。訓練歴のある男性38名を対象に、ショルダープレスを含む種目でフリーウェイト群とマシン群を8週間比較した研究では、どちらも同程度に筋力・筋肥大が向上し、関節の不快感も両群とも増えなかったと報告されています。一方、13研究・計1016名のメタ分析では、フリーウェイトで鍛えた人はフリーウェイトの測定で伸びやすく、マシンで鍛えた人はマシンの測定で伸びやすいという、測定した形式のほうが伸びる傾向がありました。マシンで重量を伸ばしても、バーベルの数字が同じだけ伸びるとは限りません。
ショルダープレスマシンのやり方
まず自分のマシンの形式を確認する― ピンを差すウエイトスタック式か、プレートを積むプレート積載式かで、表示重量の意味が変わります
シートに座り、背もたれに背中をつける― グリップが肩の高さに合うようシートの高さを調整します
重量をセットする― 今の力に合った重量を選びます。何も付けない状態で片腕4.5kg前後の初期負荷がかかっている機種もあります
順手かニュートラルグリップでハンドルを握る― グリップが広すぎると可動域が狭くなります
肘が伸びきるまで真上に押し上げる― ロックして反動をつけません
ガチャンと音を鳴らさないよう、支えながらネックの高さまで戻す― 動作の間、動きをコントロールし続けます
三角筋への意識づけを変えると、筋活動そのものが変わるという報告もあります。トレーニング未経験の31名を対象に、40%1RMのマシンショルダープレスで三角筋を意識するか上腕三頭筋を意識するかを変えた測定では、三角筋を意識した条件で三角筋の活動が高く、上腕三頭筋を意識した条件で上腕三頭筋の活動が高くなりました。押す動作そのものは同じでも、どこを意識するかで働く筋の配分が変わるという結果です。
まとめ
- 平均は男性73kg・女性31kg(推定1RM)。10回できる重量は平均1RMの75%を切り捨てて男性54kg・女性23kg
- 集計サイトにはバーベル・ダンベルにあるような重量の定義文が無い。片腕か左右合計かも確認できない
- スタック式の上限はメーカー公表で91〜116kg。上級者の108kgでも下回るスタックがある
- エリートの148kgは確認した5製品のどのスタック上限も超えている。プレート積載式が混ざっている可能性はあるが推論の域
- 日本人男子大学院生の実測54.6kgには、大学院生・機種不明・間接法という3つの前提が付く
- 男性はマシンがバーベルより重く、女性はマシンがバーベルより軽い。男女で向きが逆
- 比べる相手は他人の平均ではなく、同じマシンで取った前回の自分の記録
次にジムへ行ったら、マシンがウエイトスタック式かプレート積載式かを記録に一言足してみてください。片手ずつの記録に迷ったらダンベルショルダープレスの平均重量の片手あたりの数え方が参考になります。バーベル版の平均重量とミリタリープレスなど呼び方の整理はバーベルショルダープレスの平均重量にまとめています。表示重量の定義が無いという同じ論点は、チェストプレスの使い方でも扱っています。重量の記録の仕方は筋トレ記録のつけ方、伸びているかどうかの見方は重量を上げるタイミングの見極め方を参考にしてください。


