ヒップアブダクションの平均重量は男性92kg・女性71kg、内ももを閉じるアダクションは男性99kg・女性67kgです(いずれも推定1RM)。2種目は別々の集計で、男女差の向きも逆になります。10回で扱う重量は平均1RMの75%を小数点以下切り捨てで計算した値で、アブダクションは男性約69kg・女性約53kg、アダクションは男性約74kg・女性約50kgです。
- 主に効く部位
- 外もも・内もも中臀筋・小臀筋ほか(外転)/内転筋群(内転)
- 器具
- マシン重量スタック式・プレート積載式の両方がある
- 重量の数え方
- マシン依存表示重量の定義文が無い
- 多い組み方
- 3セット×10〜15回女性は3×15が最多になる集計もある
表の数字はいずれも推定1RM(1回だけ挙げられる重量)と、それを10回で扱う重量(1RMの75%・小数点以下切り捨て)に直した値です。
| 1RM | 10回で扱う重量(約75%・切り捨て) | |
|---|---|---|
| アブダクション・男性(中級者) | 92kg | 69kg |
| アブダクション・女性(中級者) | 71kg | 53kg |
| アダクション・男性(中級者) | 99kg | 74kg |
| アダクション・女性(中級者) | 67kg | 50kg |
ヒップアブダクションの平均重量|男女別・レベル別
まず全体の分布から確認します。次の表は、トレーニング記録サービスが公開しているレベル別の重量です。
| レベル | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 初心者(Beginner) | 34 | 27 |
| 初級者(Novice) | 59 | 46 |
| 中級者(Intermediate) | 92 | 71 |
| 上級者(Advanced) | 132 | 102 |
| エリート(Elite) | 178 | 136 |
出典: Hip Abduction Standards (kg)/Strength Level(2026-09-27 確認)
※ 海外のトレーニング記録サービスに投稿された自己申告データです。有効記録47,927件(コミュニティ記録203,182件・男性22,679件/女性25,248件・2019年1月2日〜2026年3月5日)の集計。バーベル種目のページにある重量の定義文に相当する記述がこのページには無く、表示重量にマシン自体の重さが含まれるかは公開情報からは確認できません
レベルの区切りは投稿された記録の中での順位で決まっています。初心者は下位5%より強い水準、初級者は20%、中級者は50%(ちょうど真ん中)、上級者は80%、エリートは95%より強い水準です。一般に「平均」として引用されるのは、この中級者の値です。
体重別の目安
同じ性別でも体重が違えば扱える重量は変わります。
| 体重(男性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 50kg | 23 | 42 | 70 | 104 | 143 |
| 60kg | 28 | 50 | 79 | 115 | 156 |
| 70kg | 33 | 57 | 88 | 126 | 168 |
| 80kg | 38 | 63 | 95 | 135 | 179 |
| 90kg | 43 | 69 | 103 | 143 | 188 |
| 100kg | 47 | 74 | 109 | 151 | 197 |
| 体重(女性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 40kg | 20 | 37 | 59 | 87 | 119 |
| 50kg | 23 | 41 | 65 | 93 | 126 |
| 60kg | 26 | 45 | 69 | 99 | 132 |
| 70kg | 29 | 48 | 73 | 103 | 137 |
体重70kgの男性が中級者の水準を狙うなら88kg前後、体重50kgの女性なら65kg前後という計算になります。単位はkg、推定1RMです。
女性の有効記録がアブダクションで男性を上回る
この集計のもとになっているのは、2019年1月2日から2026年3月5日までに投稿された203,182件から絞り込まれた有効記録47,927件です。内訳は男性22,679件・女性25,248件で、女性の記録のほうが多くなっています。全体に占める割合は52.7%です。
ヒップアダクションの平均重量|男女別・レベル別
内ももを閉じるアダクションは、アブダクションとは別の集計です。
| レベル | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 初心者(Beginner) | 38 | 23 |
| 初級者(Novice) | 64 | 42 |
| 中級者(Intermediate) | 99 | 67 |
| 上級者(Advanced) | 142 | 98 |
| エリート(Elite) | 190 | 133 |
出典: Hip Adduction Standards (kg)/Strength Level(2026-09-27 確認)
※ 海外のトレーニング記録サービスに投稿された自己申告データです。有効記録35,674件(コミュニティ記録344,261件・男性21,353件/女性14,321件・2019年1月3日〜2026年3月5日)の集計。定義文が無いことと、マシン自体の重さが含まれるか確認できない点はアブダクションと同じです
体重別の目安
| 体重(男性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 50kg | 26 | 48 | 78 | 116 | 158 |
| 60kg | 32 | 55 | 87 | 126 | 171 |
| 70kg | 36 | 62 | 95 | 136 | 182 |
| 80kg | 41 | 67 | 102 | 145 | 192 |
| 90kg | 45 | 73 | 109 | 152 | 201 |
| 100kg | 49 | 78 | 115 | 159 | 209 |
| 体重(女性) | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | エリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 40kg | 16 | 31 | 53 | 80 | 111 |
| 50kg | 19 | 36 | 59 | 87 | 120 |
| 60kg | 22 | 40 | 64 | 94 | 127 |
| 70kg | 25 | 43 | 68 | 99 | 134 |
体重70kgの男性が中級者の水準を狙うなら95kg前後、体重50kgの女性なら59kg前後という計算になります。
アダクションは男性の記録が多い|アブダクションとは向きが逆
アダクションの集計は男性21,353件・女性14,321件で、女性の割合は40.1%です。アブダクション(女性52.7%)とは逆に、男性の記録のほうが多くなっています。内もも・外ももという似た対の種目でも、女性の記録が男性を上回るのはアブダクション側だけです。理由は公開情報からは分かりません。
アブダクションとアダクション、重い方が男女で逆になる
中級者どうしの平均値を比べると、男女で逆の関係になります。
- 男性: アブダクション92kg ÷ アダクション99kg = 0.929(アダクションのほうが重い)
- 女性: アブダクション71kg ÷ アダクション67kg = 1.060(アブダクションのほうが重い)
体重比で見ても同じ傾向があります。中級者の体重比は、アブダクションが男性1.25倍・女性1.00倍、アダクションが男性1.25倍・女性1.00倍と男女差は同じ形ですが、実際の重量ではアブダクションのほうが男女差が小さくなっています(女性÷男性はアブダクション0.772、アダクション0.677)。どちらの種目も、内もも・外ももの片方だけが強い・弱いと判定する材料にはなりません。
「男子大学生47名」の実測値と、記録アプリの数字の違い
記録サイトの中級者の値(男性92kg・99kg)とはかなり差がある数字が、日本語の記事で引かれることがあります。出どころをたどると、大学の授業を対象にした研究に行き着きます。
対象は、A大学のフィットネス授業を履修した大学生男子47名(18〜22歳、運動部などに所属する運動群19名・一般群28名)です。ただし重量の測定値が集計されているのは、そのうち46名分(一般群28名・運動群18名)です。トレーニング前の1RMは、アブダクター(座位で外転する種目)が43.92±8.60kg、アダクター(座位で内転する種目)が49.02±15.31kgでした。
この数字には、記録サイトの値と比べる前に押さえておくべき条件が3つあります。
- 対象が大学生。フィットネス授業を履修した男子学生で、記録サイトへ自発的に投稿する層とは違います
- 1RMが間接推定。実際に1回挙げさせたわけではなく、反復できた回数から関係式で計算した値です
- マシンの機種が不明。座って外転・内転する種目という説明のみで、重量スタック式かプレート積載式かの記載はありません
記録サイトの男性中級者92kg・99kgとこの研究の43.92kg・49.02kgは、対象・測定方法・マシンが違うため、そのまま比べられません。どちらも正しく、測っている対象が違うだけです。
表示重量はマシン固有の単位|メーカー仕様と比べる
なぜ定義文が無いのかを補う材料として、メーカーが公表している機械の仕様を見てみます。
| 製品 | 形式 | スタック上限 |
|---|---|---|
| Hoist Fitness HD-3800 | 内外兼用・重量スタック | 82kg(増設で84kg)/重いスタックで98kg(増設で100kg) |
| Hoist Fitness CL-3800 | 内外兼用・重量スタック | 約90.7kg(200lb・筆者換算) |
| Life Fitness Axiom Series | 内外兼用・重量スタック | 約64.6kg(142.5lb・筆者換算) |
※ 3製品とも1台でアブダクションとアダクションの両方を行う設計。kg表記が無い製品の換算は筆者による計算
3製品とも、外転と内転を1台で兼ねる構造です。スタック上限は64.6kgから、重いスタックを積んだ場合の98〜100kgまでの幅があります。男性中級者のアブダクション92kg・アダクション99kgは、この範囲と同程度か、標準スタックを上回ります。上級者の132kg・142kgは、どの製品のスタックも超えます。
記録サイトの数字は反復できた回数からの推定1RMなので、スタックいっぱいの状態で何回もできた記録は、スタックの容量を超える数値として集計されることがあります。「スタックを超える数字=不正確」ではなく、表示重量は機種とスタックの範囲に縛られる単位という読み方になります。この論法はレッグプレスの平均重量で確認した「表示重量はマシン固有の単位」と同じです。
1回の重量から、10回で扱う重量へ
表の数値は1回だけ挙げられる最大重量、つまり1RMの推定値です。よく使われるEpley式「1RM=重量×(1+回数÷30)」とBrzycki式「1RM=重量×36÷(37−回数)」は、10回のときにちょうど同じ値になり、逆に解くと10回できる重量はおよそ1RMの75%になります。本記事の10回換算は、この75%を小数点以下切り捨てで計算しています。
| レベル | アブダクション男性 | アブダクション女性 | アダクション男性 | アダクション女性 |
|---|---|---|---|---|
| 初心者 | 34→25 | 27→20 | 38→28 | 23→17 |
| 初級者 | 59→44 | 46→34 | 64→48 | 42→31 |
| 中級者 | 92→69 | 71→53 | 99→74 | 67→50 |
| 上級者 | 132→99 | 102→76 | 142→106 | 98→73 |
| エリート | 178→133 | 136→102 | 190→142 | 133→99 |
※ 左が1RM、右が10回で扱う重量(1RM×0.75を小数点以下切り捨て)。lib/tools/one-rm.tsのEpley式・Brzycki式で検算済み
この換算はあくまで目安です。同じ%1RMで挙げられる回数は種目ごとに違い、アブダクション・アダクションのような単関節種目でどこまで当てはまるかは分かりません。推定式が想定しているのは12回程度までなので、女性で最多だった3セット×15回や、上位に入る3セット×20回・4セット×20回には当てはめられません。
動員される筋肉と構造
| 区分 | アブダクション | アダクション |
|---|---|---|
| 対象 | 股関節の外転筋群 | 内転筋群 |
| 協働筋 | 中臀筋・小臀筋・大臀筋・梨状筋・外閉鎖筋 | 恥骨筋・薄筋 |
| 力の向き | Push(開く) | Pull(閉じる) |
| 関節の動員 | 単関節 | 単関節 |
※ 安定筋は両種目とも特に無し
外転側の主役は中臀筋です。中臀筋には、反対側の脚が支えられていないときに骨盤が傾かないよう支える役割もあります。内転側の内転筋群は、恥骨筋・薄筋のほか大内転筋が主体で、大内転筋は前部・後部の2つに分かれます。
マシンとほかの方法、筋活動の結果は割れている
マシンでの活動が優れているかどうかは、比較対象で結果が変わります。男性11名を対象に、側臥位での脚上げ・クラムシェル(いずれも自重)・マシンの3種目を比べた研究では、中臀筋の活動に3種目間で差が無く、大腿筋膜張筋の活動はマシンが最も低いという結果でした。比較相手は自重の2種目で、ダンベルなどのフリーウェイトではありません。一方、未経験の女性16名を対象にゴムバンドとマシンを比べた研究では、アブダクションでゴムバンドのほうが中臀筋の活動が高いという結果でした。対象と比較相手が違う2本なので、「マシンが一番効く」「ゴムのほうが効く」のどちらにも決められません。
大内転筋は「内転」より「伸展」に向いた構造
15名の若年成人を画像解析した研究では、大内転筋の後部と前方遠位部が筋全体の8割以上を占め、これらの部分は股関節を伸ばす方向のほうがモーメントアームが長いという結果でした。筋全体で見た最大トルクは、内転より伸展のほうが2倍以上大きいという計算です。名前は「内転筋」でも、構造としては伸展の力を出しやすいつくりになっています。この筋がスクワットの深さでも増えるという報告は、スクワットの平均重量にまとめています。
「内もも痩せ」「外もも痩せ」は起きない
体脂肪は、遺伝・性ホルモン・年齢の影響を受けたパターンで全身から増えたり減ったりします。アブダクションやアダクションのような種目は、その下にある筋肉を動かすだけで、脂肪を選んで燃やすわけではありません。
基本のやり方
座って行うタイプには、重量スタック式とプレート積載式の両方があります。どちらも動きの向きは同じです。
アブダクション(外転)の手順
脚を閉じた位置からセットする― パッドの内側に脚を入れ、フットバーがあれば足を乗せます。レバーで脚を閉じた位置に固定します
上体を預けて横のハンドルを握る― 背もたれに上体を預けます
脚を外側に開く― 開ける範囲まで開き、同じ速さで戻します
アダクション(内転)の手順
脚を開いた位置からセットする― 中央のパッドの外側に脚を置き、レバーで脚を開いた位置に固定します
上体を預けて横のハンドルを握る― 背もたれに上体を預けます
脚を閉じる― 中央まで閉じ、同じ速さで戻します
LiftLogの標準の種目一覧に、ヒップアブダクション・ヒップアダクションは入っていません。使う場合はカスタム種目として自分で追加することになります。
まとめ
- 平均はアブダクション男性92kg・女性71kg、アダクション男性99kg・女性67kg(推定1RM)。2種目は別々の集計
- アブダクションはヒップスラストと同じく、女性の有効記録が男性を上回る(52.7%)。アダクションは逆で女性は40.1%
- 男女で重い方が逆転する。男性はアダクションが重く、女性はアブダクションが重い。別集団の平均どうしの比較
- 日本語で見かける「40kg台」の数字は、大学生を対象にした間接推定の研究が元。対象・測定法・マシンが違う
- 表示重量の定義文が無く、機種のスタック上限も64.6〜98kg程度とまちまち
- 10回で扱う重量はおよそ1RMの75%(小数点以下切り捨て)。高回数のセットにはそのまま当てはめられない
比べる相手は他人の平均ではなく、同じマシンで取った前回の自分の記録です。


