顧客管理アプリは「店舗を回す道具」と「担当クライアントを見る道具」に分かれ、個人で活動しているなら必要な範囲が違います。比べる軸は、業務の範囲・料金の見え方・クライアント側に届くもの・それを開く理由・記録が集まる経路・渡した予定の実施確認の6つです。この記事では国内5サービスの公開情報を2026年8月16日時点で確認し、確認できなかった項目は空欄にしています。

顧客管理アプリは「店舗を回す道具」と「担当クライアントを見る道具」に分かれる

同じ「顧客管理」という言葉でも、指している範囲は製品によって違います。予約・決済・入退館・POSまで含むものと、担当クライアントの記録に絞ったものがあります。

TRESULは、予約管理・決済管理・オンライン入会・施錠管理・トレーニング管理・食事管理・健康管理・分析管理までを持つ店舗管理システムです。hacomonoも、会員管理・予約・決済の一元管理に加えて、LINE連携・Zoom連携・POSレジ・入退館連携をオプションで持ちます。Gym'sも、公式サイトの見出しに「予約・顧客管理から店舗分析や決済まで 全部できるアプリ」と掲げています。いずれも、受付を通す会員が複数いる店舗を前提にした機能構成です。

一方でトレカルテは「パーソナルトレーナー専用 クライアント管理アプリ」と明記されていて、クライアント管理・セッション予約・トレーニング記録が中心です。

個人で活動していて、受付を通す業務が無いなら、店舗運営システム側の機能の多くは使わない可能性があります。次の3つが自分に当てはまるかを、先に確認してください。

  • 受付を通す会員がいるか
  • スタッフが複数いるか
  • 入退館の管理が要るか

どれも当てはまらないなら、担当クライアントの記録と予定に絞った道具でも足りる可能性があります。逆にどれか1つでも当てはまるなら、店舗運営システム型を検討する価値があります。

比べる軸を6つに整理する

候補を絞り込むには、次の6つの軸を先に決めておくと動きやすくなります。

  1. 業務のどこまでを引き受ける道具か — 予約・決済・入退館・POSまで含む店舗運営システムか、担当クライアントの記録と予定に絞った道具か
  2. 料金の見え方 — 公式サイトで金額を確認できるか、初期費用の有無、無料で使える範囲
  3. クライアント側に何が届くか — クライアント用の画面・アプリの有無と、そこでできること
  4. クライアントがそれを開く理由 — 管理のために入れてもらうものか、本人が自分のために使う理由があるものか
  5. 記録が集まる経路 — トレーナーが転記するのか、クライアントが入力するのか、端末やヘルスケア連携で入るのか
  6. 渡した予定の実施を確認できるか — 日付付きの予定を渡す手段があるか、実施が数字になって返ってくるか

軸1は、個人トレーナーが店舗の受付業務を持たないことが多く、必要な範囲を最初に決めないと料金も機能も比べられないために置いています。軸2は、公開されているかどうかが実際に分かれる情報で、担当人数と機能を決める前に知りたい内容です。軸3は「会員アプリ ○」の一言では見えない差で、クライアントが日々触れるものが何かによって運用が変わります。軸4は、クライアントにアプリを入れてもらうお願いのしやすさに直結します。軸5は、機能表には出てこない差で、手で埋める運用は忙しい週から先に止まりやすいという実感につながります。軸6は、セッション外に渡した内容が出しっぱなしになるかどうかを左右します。

1→2で候補を業務範囲と予算で絞り、3→4でクライアント側の負担を確認し、5→6で運用が続くかどうかを見ます。読者が実際に迷う順に並べました。

公開情報で横並びにする

国内5サービスとliftlog Coachを、6つの軸で公開情報から横並びにしました。表Aが軸1・2(業務の範囲と料金)、表Bが軸3〜6(クライアント側に届くものと運用)です。

パーソナルトレーナー向け顧客管理ツールの対象と料金(2026年8月16日時点の各社公開情報)
サービス主な対象公式サイトの料金表示提供形態
トレカルテパーソナルトレーナー専用のクライアント管理アプリ(ジム・スタジオ向けプランもあり)フリー ¥0(クライアント最大1名)/プロ ¥980/月(クライアント無制限)/ユニット〜MAX ¥2,980〜¥9,800/月iOS(iPhone)+Webブラウザ
BeKARTEパーソナルジム向けの電子カルテ・顧客管理(個人店〜チェーン店)レンタル月額8,400円+10GBストレージ500円(初期費用は別途)パソコン(Windows・Mac)+タブレット(Android・iPad)※スマホは非対応
Gym'sパーソナルトレーナー・ジムトレーナー・個人経営〜複数店舗のジムオーナー向けトレーナー向けアプリ(iOS・macOS・visionOS)+会員向けアプリ(iOS・iPadOS)
TRESULフィットネスジム・スポーツクラブ・パーソナルジム向けの店舗管理システムベーシックプラン 月額20,000円(税抜)〜+初期導入費用120,000円(税抜)クラウド(管理はブラウザ)+会員向けアプリ(iOS・Android)
hacomonoパーソナルジム向け(小規模店舗・マイクロジムも対応)基本プラン 月額35,000円+初期費用150,000円(税抜)/定期スクール向けプランは月額99円〜クラウド(ブラウザ)+スマートフォン・タブレット対応
liftlog Coach個人でパーソナルジムを運営、または業務委託で活動するトレーナーβ期間中は無料(価格は正式版で案内)Web(トレーナー)+liftlogアプリ(iOS・Android、クライアント側)

各社の欄は公式サイトおよび各ストアの掲載(2026年8月16日閲覧)。空欄は公開情報の範囲で確認できなかった項目で、機能の不存在を示すものではありません。liftlog Coachの欄は自社の実装内容です

クライアント側に何が届くか(2026年8月16日時点の各社公開情報)
サービスクライアント側の画面・アプリクライアント側でできること(公開情報)トレーニング記録の扱い渡した予定の実施確認
トレカルテ同じアプリ(iOS)。QRコードまたは招待リンクでアカウント作成体重や記録の変化を自分でリアルタイムに確認トレーナー側で種目・セット数・重量・有酸素などを記録する機能がある
BeKARTEWEB予約ページ(オプション導入時)ネット・アプリでの予約トレーナー側にトレーニング写真管理の機能がある
Gym's会員向けアプリ「Gym's パーソナル・トレーニング・アシスタント」次回予約の確認/前日のプッシュ通知/ワークアウト後の結果確認/トレーナーとのコミュニケーショントレーナー向けアプリでスケジュール・トレーニング内容を管理できると記載
TRESUL会員向けアプリ(iOS 13.0以上・Android 8.0以上)ジム予約・食事管理・トレーニング管理、プロフィール変更、プラン変更、休会・退会申請会員向けアプリに「トレーニング管理」の項目がある
hacomonoマイページ(LINEからログイン可)・会員証提示(QR)Web予約(体験予約・通常予約)、マイページ確認、会員証提示、決済登録
liftlog Coachliftlogアプリ(iOS・Android。一般公開済みの無料の記録アプリ)自分のトレーニング・栄養・体組成を記録。配信された予定を確認できるクライアントが記録すると、トレーニング実績・食事・体重が自動で集まる予定を完了すると実績セッションと自動でリンク。消化率(完了数 ÷ 配信数)として確認できる

各社の欄は公式サイトおよび各ストアの掲載(2026年8月16日閲覧)。liftlog Coachの欄は自社の実装内容です。「確認できなかった」は公開情報の範囲で確かめられなかったという意味です

表を見るときは、まず自分の業務範囲に合う行を2〜3本に絞り、そのうえで右側の列を見ていくと判断しやすくなります。

軸1・2|業務の範囲と、料金の見え方

料金の見え方は、大きく2つに分かれます。公式サイトで金額を確認できるものと、条件を伝えて見積もる形のものです。前者なら、担当人数と必要な機能を決めてから比べられます。

トレカルテ・BeKARTE・TRESUL・hacomonoの4社は、公式サイトに金額の記載があります。金額の桁は、業務の範囲とおおむね対応します。クライアント単位の道具は月額千円台から、店舗運営システムは月額2万円台以上に初期費用が加わる構成が中心です。

  • トレカルテ: プロプラン 月額¥980(クライアント無制限)。フリープランは¥0でクライアント最大1名
  • BeKARTE: レンタル月額8,400円+10GBストレージ500円(初期費用は別途)
  • TRESUL: ベーシックプラン月額20,000円(税抜)〜+初期導入費用120,000円(税抜)
  • hacomono: 基本プラン月額35,000円+初期費用150,000円(税抜)

トレカルテは、担当するトレーナーの人数によってもプランが分かれています。ユニットプラン(トレーナー最大5人)は月額¥2,980、チームプラン(同10人)は月額¥4,980、MAXプラン(トレーナー無制限)は月額¥9,800です。スタッフを何人か抱えている場合は、この段差も比べる材料になります。

TRESULは決済手数料が3.24〜3.74%かかると記載されています。hacomonoは基本プランに加えて、決済機能や入退館連携、データ分析パックなどのオプションが月額3,000〜18,000円で用意されています。基本プランの金額だけでなく、必要なオプションを足した金額で比べることが大切です。

liftlog Coachは、β期間中は無料です。価格は正式版で案内します。

金額を並べるところまでが、この記事の役割です。担当している人数と必要な機能に照らして、判断は読者に委ねます。

軸3・4|クライアント側に何が届き、それを開く理由がどこにあるか

予約を確認する画面か、記録が残るアプリか

クライアント側に用意されているものの中身は、サービスによって分かれます。

予約とマイページ・会員証が中心のものがあります。hacomonoの会員側は、Web予約(体験予約・通常予約)、マイページ、会員証提示(QR)、決済登録です。

トレーニング記録や食事の管理まで含むものもあります。TRESULの会員向けアプリは、ジム予約に加えて食事管理・トレーニング管理、プロフィール変更、プラン変更、休会・退会申請ができると記載されています。Gym'sの会員向けアプリは、次回予約の確認・前日のプッシュ通知・ワークアウト後の結果確認・トレーナーとのコミュニケーションができると記載されています。

トレーナーと同じアプリを共有する形もあります。トレカルテは、クライアントも同じアプリをダウンロードでき、QRコードや招待リンクからアカウントを作成できます。体重や記録の変化を、クライアントが自分でリアルタイムに確認できると記載されています。

BeKARTEは、紙の顧客情報の電子化・顧客情報の共有・役務契約書作成・トレーニング写真管理といった、紙のカルテを置き換える機能が中心です。会員側は、WEB予約ページ(オプション導入時)の記載があります。会員側でトレーニング記録を残せるかどうかは、公開情報からは確認できませんでした。

クライアントがそれを開く理由は、どこにあるか

クライアントに入れてもらうものである以上、本人にとって開く理由があるかどうかで、運用の続き方が変わります。公式サイトの記載を見るかぎり、理由は「次回の予約を確認する」「自分の記録を見返す」「体重の推移を見る」のどれかに置かれています。

liftlog Coach側は、この構造が少し違います。クライアントはliftlog(iOS・Androidで一般公開済みの無料の記録アプリ)を、これまで通り自分のために使います。AIトレーナー・Apple Watch・ウィジェット・HealthKit連携を備えていて、トレーナー向けの機能とは別に、単体で使う理由があるアプリです。トレーナーは、その同じ記録を見て予定を返します。

hacomonoのマイページはLINEからのログインに対応していると記載されています。専用アプリを新しく覚えてもらう形と、普段使っているLINEの延長で操作できる形とでは、開いてもらうまでのハードルが違います。

導入時にお願いすることの重さも、公式の記載にあるものだけを比べると差があります。トレカルテはアプリのインストールとQRコード・招待リンクでのアカウント作成、hacomonoはマイページの利用(LINEからのログインに対応)、liftlog CoachはliftlogアプリのインストールとWeb上の招待リンクの承諾です。

軸5|記録は誰の手で集まるか

記録が集まる経路には、トレーナーが転記する形・クライアントが自分で入力する形・端末やヘルスケア連携で入る形があります。どの経路かによって、続くかどうかが変わります。手で埋める運用は、忙しい週から先に止まりやすいものです。

トレカルテは種目・セット数・重量・有酸素などのトレーニング記録機能を持ち、体重や記録の変化をクライアントが自分でリアルタイムに確認できると記載されています。TRESULの会員向けアプリにも、トレーニング管理の項目があります。

この3つの経路のうち、トレーナーが手で転記する運用は、セッション数が増えるほど後回しになりやすい経路です。クライアントが自分で入力する経路は、クライアント側にその作業を続けてもらう理由が要ります。端末やヘルスケア連携で自動的に集まる経路は、どちらの手間もかからない代わりに、対応しているアプリでなければ成立しません。

liftlog Coach側は、クライアントが記録すれば、トレーニング実績・食事・体重が自動で集まる構造です。トレーナーが手で転記する運用は前提にしていません。

記載項目そのものの設計(カルテに何を書き、次のセッションまでに何を渡すか)は、この記事とは別の話になるため、ここでは扱いません。

軸6|渡した予定の実施を、どう確認するか

セッション外に出した宿題は、実施を確認する手段が無いと出しっぱなしになります。確認の形は、本人の自己申告・記録アプリを見せてもらう・渡した予定と実績が結びついて数字で返る、の3つに分かれます。自己申告は「まあまあです」で止まりやすく、記録アプリを見せてもらう方法はセッションの場でしか確認できません。

liftlog Coachでは、日付・種目・セット(重量・回数)・メモで予定を作って配信します。複数日まとめて作成する、前回の予定を複製する、過去の実績から取り込む、といった形で作成の手間を減らしています。クライアントが完了すると予定と実績セッションが自動でリンクし、消化率(完了数 ÷ 配信数)として数字になります。実施できているかどうかを、体感ではなく数字で確認できます。

クライアントに入れてもらう前に決めておくこと

クライアント側にアプリを入れてもらう選択をするなら、何が共有され、何が共有されないかを説明できる状態で渡すことが大切です。解除の方法も、先に伝えておくと安心材料になります。

liftlog Coachでは、招待リンクの承諾画面で、共有される情報(トレーニング実績・栄養・体組成・自己ベスト・今後の予定)と共有されない情報(AIチャット履歴・アカウント情報)を列挙しています。トレーナー側は閲覧のみで、書き込めるのはトレーニング予定だけです。連携はいつでも解除でき、解除すると即座に閲覧できなくなります。

何が見えるようになるのかをクライアントに聞かれたときに答えられる状態にしておくと、案内そのものがスムーズになります。共有される範囲と、解除すればどうなるかの2点を先に自分の言葉で説明できるようにしておくと、導入をお願いする場面での説明が楽になります。

個人情報の取り扱いや契約書まわりの実務は、この記事の範囲を超えます。必要な場合は専門家に確認してください。

条件別に当てはめる

ここまでの軸を、条件に当てはめます。

  • 受付を通す会員がいて、入退館や決済まで自動化したい → 店舗運営システム型が噛み合います。予約・決済・分析までを一元化した構成が候補になります
  • 担当は自分ひとりで、記録と予定の管理だけ足したい → クライアント単位の道具が噛み合います。クライアント管理とセッション予約に絞った、料金の低い構成から検討できます
  • 紙のカルテを電子化して共有したいのが主目的 → カルテ型が噛み合います。顧客情報の電子化と共有を中心にした構成です
  • クライアントがすでに記録アプリを使っている → その記録をトレーナー側から見られる形かどうかを、先に確認してください
  • セッション外に渡した内容の実施まで確認したい → 予定の配信と実施が結びつく形が噛み合います。公開情報で確認できた範囲では、liftlog Coachがこれにあたります(β期間中のサービスです)
  • 今の管理方法(LINEやスプレッドシート)に大きな不便を感じていない → 乗り換えを急がず、まず表計算のまま整えることから始めても間に合います

まとめ

  • 顧客管理アプリは、店舗運営システム型とクライアント単位の道具に分かれます
  • 料金は、トレカルテ・BeKARTE・TRESUL・hacomonoが公式サイトで金額を確認できます
  • クライアント側に届くものは、予約確認や会員証が中心のものと、トレーニング記録・食事管理まで含むものに分かれます
  • 記録が集まる経路(転記・入力・連携)は、機能表には出てこない差ですが、続くかどうかを左右します
  • 渡した予定の実施を数字で確認できる仕組みは、公開情報で確認できた範囲ではliftlog Coachの消化率です

まず今の道具のまま2〜3週間、記録と予定の受け渡しがどこで止まるかを見てから決めても、間に合います。